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この戦いでは、[[マフディー軍]]に所属する[[武装]]勢力の襲撃を受けたイギリス陸軍部隊が銃剣突撃を敢行し、武装勢力の撃退に成功した。この戦い以降も[[イギリス軍]]は度々銃剣突撃を行っている。
この戦いでは、[[マフディー軍]]に所属する[[武装]]勢力の襲撃を受けたイギリス陸軍部隊が銃剣突撃を敢行し、武装勢力の撃退に成功した。この戦い以降も[[イギリス軍]]は度々銃剣突撃を行っている。


== SA80シリー ==
== ション ==
[[ファイル:A_Cadet_Fires_the_L98_GP_Rifle.jpg|thumb|200px|L98A1 CGP]]
SA80とは、'''S'''mall '''A'''rms 19'''80''''sから由来している。一種のファミリーネームと考えることもでき、重要部を共通設計として、次のような派生形が開発された。
SA80とは、'''S'''mall '''A'''rms 19'''80''''sから由来している。一種のファミリーネームと考えることもでき、重要部を共通設計として、次のような派生形が開発された。
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; L85 IW(Individual Weapon)
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: [[アサルトライフル]](当項目)。
: [[アサルトライフル]](当項目)。

2015年1月3日 (土) 07:13時点における版

L85
L85A1
L85
種類 軍用小銃
製造国 イギリスの旗 イギリス
設計・製造 ロイヤル・オードナンス
ロイヤル・スモール・アームズ・ファクトリー
ヘッケラー&コッホ(改修)
年代 1985年-現代
仕様
種別 アサルトライフル
口径 5.56mm
銃身長 495mm
ライフリング 6条右転
使用弾薬 5.56x45mm NATO弾
装弾数 30発(箱形弾倉
作動方式 ガス圧利用、ターンロックボルト
全長 785mm
重量 3,820g(本体のみ)
4,980g(弾倉に30発装填、SUSAT装着時)
発射速度 610-775発/分
銃口初速 940m/秒
歴史 
設計年 1980年代
製造期間 1985年
配備期間 1985年-1994年
2000年から改修開始)
配備先 イギリス軍
関連戦争・紛争 湾岸戦争
アフガニスタン紛争 (2001年-)
イラク戦争
バリエーション L85
L86
L22
L98など
製造数 350,000丁
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L85は、イギリスアサルトライフルイギリス軍のSA80ファミリーのうちの一つである。

概要

銃剣を装着したL85を持つイギリス近衛兵
SUSAT光学照準器の視界
現在はACOGに交換されつつある

1985年XL70XL64の改良型)をベースに、L1A1およびL2A3と更新する形で採用された。ブルパップ方式を採用し、発射機構は銃の最後部に収められ、全体のコンパクト化を図っている。また、本体はプレス鉄板、ハンドガードやグリップ部分はプラスチックを使用し、優れた生産性・耐久性を持ちながら生産当時としては低コスト化に成功している。

日本では雑誌や漫画の影響で、後述の改修前の欠陥のイメージから粗雑な銃とみなされ「非常に重い銃」「操作性の面などでも劣る極めて劣悪な銃」という情報が誤って広まっており、一種のミームのような扱いを受けているが、実際にはブルパップ構造による重量増加や操作性の悪さは他の同形式のアサルトライフルでも見られるもので、本銃特有のものとは言い難い。

メカニズムはAR-18をベースとしており、STANAG マガジンを使用できる。また、命中精度を高めるために取り外し可能なSUSAT光学照準器を備えている。SUSATを使用しない場合は後付けのフロントサイトと、固定式リアサイトを搭載した着脱式キャリングハンドルを装着する。

本来は5.56mm弾を参考に開発した独自規格の4.85x44mmまたは4.85x49mm弾を使用する予定だったが、結局は5.56x45mm NATO弾を採用した。初期にはイギリス軍に配備されてすぐに多くのトラブルが発生し、幾多の大小規模の改造を経てL85A1となるが、問題解決には至らなかった。後述の大改修前にクウェートで行われた試験では平均99発毎に作動不良を起こしたとのことである[1]

そのため、陸軍特殊部隊SASではL85ではなく、アメリカ軍M16シリーズ、或いはそのライセンス生産品であるカナダのディマコC7を使用していたことが知られている。

配備された部隊では、バッキンガムでの衛兵任務の際も使用し、伝統的な衣装に近代的なL85小銃を抱えた姿で警衛にあたっている。

動作不良の原因

野戦分解状態のL85

SA80がジャムを起こした原因は多い。SA80のボルトにはコッキングレバーが直接取り付けられており、これが発射の際に激しく前後運動する事になる。そして、SA80のレバーは同じような構造のAK-47と違って配置も悪く、排出された薬莢がこのコッキングレバーに当たってしまう。その結果、排莢スピードが妨げられるだけでなく、薬莢が排莢口に挟み込まれ、最悪の場合は孔の中に跳ね戻ったりしてしまう。当然、それは作動不良を引き起こす。また、マガジンの信頼性が非常に低かった。SA80のマガジンは弾薬を押し出すためのスプリングが弱く、ほとんどの兵士は装填を28発以下に留めていた。それでも弾薬は途中で止まってしまい、装填不良の原因となった。また、マガジン挿入口を広く取ったのは良いが、マガジンキャッチのスプリングが貧弱で、マガジンが自重によって滑り落ちてしまう事もあった。

この結果、発射と同時に装填と排莢がどちらも正しく行われず、弾薬が薬室に送り込まれる段階で噛み合って止まってしまったり、或いは薬莢が機関部の中に戻ってしまったりして、作動不良を引き起こした。コッキングレバーを動かして手動で排莢したりマガジンを入れ直して撃てれば良し、フィールド・ストリッピングでも直らず、最悪機関部が破損して工場送りになる事も珍しくなかったと言われている。

SA80の大改修

L85A2
L85A2に取り付けられたEMAG

SA80A1はそれまでに幾多の改良を加えられたにもかかわらずトラブルはなくならず、これらの致命的なトラブルを解決するため、1991年に軍用銃の開発・製造で実績のあるヘッケラー&コッホ(H&K)社が改修作業を請け負うことが決定した。H&Kがイギリス航空機メーカーであるブリティッシュ・エアロスペースの一部門、ロイヤル・オードナンスに買収されていた時期である[1]

H&Kが改修を施した200挺のテストは成功裏に進み、9,200万ポンド(約150億)を投じて20万挺のSA80A1を改修する契約が結ばれた。これは、1挺あたり実に7万5千円にもなり、ドイツ連邦軍などで採用されているH&KのG36ライフルの新品1挺とほぼ同じ(無論、イギリスがG36を輸入、或いはライセンス生産した場合に掛かる費用などは除く)額になる[1]

改良箇所は以下の通り。

  • ロッキングシステムのヘッドにエキストラクターネイルを追加。
  • ファイアリングピンをややテーパーのついた形状に変更。
  • コッキングハンドルの変更による薬莢の戻りを解消。
  • ガスシステム周りをよりクリアランスの大きなものに。
  • H&K HK416と同じような信頼性の高いスチール製マガジンの採用。

また、作動不良の解消とは関係ないが、ライフルグレネードからの転換としてL123A2 グレネードランチャーを使用できるようになった。装着の際、SA80のハンドガードは取り外され、グレネードランチャーと一体のものに置き換えられる。

その他にも様々な改良を加えた結果、作動不良の回数は平均25,200発に1回と、劇的に低下した[2]

こうした改修の結果SA80A2ができた。これをイギリス軍L85A2として採用している。

2009年頃からはハンドガードのダニエルディフェンス社製RISへの置き換え、光学サイトACOGへの変更が行われている。2011年ごろからはマグプル社製の軽量なEMAG弾倉の配備も開始された。また、フラッシュサプレッサーはシュアファイア社製の先割れ型のものに交換されつつある。

銃剣突撃

現代戦において銃剣突撃の例は極めて少なく、例えばアメリカ陸軍では2010年銃剣術訓練を廃止している[3]が、イギリス陸軍2004年イラクで発生した「ダニーボーイの戦い」において、ブルパップ式で銃剣格闘に向かないL85を使用してフォークランド紛争以来となる銃剣突撃を成功させている。

この戦いでは、マフディー軍に所属する武装勢力の襲撃を受けたイギリス陸軍部隊が銃剣突撃を敢行し、武装勢力の撃退に成功した。この戦い以降もイギリス軍は度々銃剣突撃を行っている。

バリエーション

SA80とは、Small Arms 1980'sから由来している。一種のファミリーネームと考えることもでき、重要部を共通設計として、次のような派生形が開発された。

L86A2
L22A2
L98A1 CGP
L85 IW(Individual Weapon)
アサルトライフル(当項目)。
L86 LSW(Light Support Weapon)
ブレン軽機関銃の改良型L4の後継として開発された分隊支援火器銃身が646mmに延長され、銃身先端部に二脚ストックに伏射用のグリップを装備する。後に分隊支援火器としての役割はミニミ軽機関銃に譲るが、遠射能力と精度の高さからマークスマンライフルに転換された。また、余剰となった一部は下記のL22A1へと改造された。
カービン
  • 初期モデル
東南アジア地域の立地条件に合わせて開発されたが、少数生産に留まった。銃身は442mmまで短縮され、ハンドガードはL86用の短いものを使用していた。
  • 現行モデル
318mmの銃身を持ち、ハンドガードの代わりにフォアグリップ(前期型はL86の伏射用グリップを流用、後期型はピカティニー・レールに装着)を標準装備としている。また、サイズ上の問題でアイアンサイトは装着できず、SUSATなど光学照準器を必要とする。イギリス陸軍は後期型をL22A1として採用し、装甲戦闘車両ヘリコプターの搭乗員に配備している。
なお、現行モデルは上記の改修の後に開発されたため、内部機構などはL85A2に準ずる。
L98 CGP(Cadet General Purpose)Rifle
訓練用モデル。Combined Cadet Forceにより使用される。
  • L98A1
  • ガスシステムを排除しており、弾薬を発射するにはグリップ前方まで引き伸ばされたコッキングハンドルを射撃のたびに引く必要がある。ボルトは後ろに引かれた後にスプリングで閉じられるので、厳密にいうとボルトアクションではない。
  • L98A2
  • L98A1の後継。機構や操作方法などはL85A2と同一であるが、セミオートのみである。
L41A1
L85A1、L86A1、L98A1で.22LR弾を射撃できるようにするコンバージョンキット。

使用国

L85が登場する作品

L85の登場作品を表示するには右の [表示] をクリックしてください。

映画・テレビドラマ

イギリス軍兵士が使用。
「Mr. Bean Goes to Town」に登場。バッキンガム宮殿の衛兵が保有。
イギリス軍がSA80と呼称しながら所持。
新世界秩序の武装集団が所持、撮影にはエキストラが持ち込んだ物が使われた。
イギリス兵が所持。
ラスベガスでチェイスが使用。

漫画・アニメ

ミレニアムに寝返ったイギリスが、英国安全保障特別指導部本営に突入する際に使用。OVA第6巻ではピップ・ベルナドット配下の傭兵が使用。
L85A1が「える」という名前で擬人化されて登場している。動作不良の件も、病弱ということで取り入れられている。
「左眼に気をつけろ POKER FACE」にて国連軍に参加したイギリス兵が使用。グレネードランチャーが装備されている。
プライヤチャットの店の壁にかけてある。

ゲーム

2013年7月24日日本でL85A2が実装され、以前よりも攻撃力や安定性が見直された。
DLCの"British Armed Forces"に各種バリエーションが登場。
「ENFIELD」という名称でL85A1が登場。ズームができるアサルトライフルでは最強の威力。
「Bullpup」という名称でL22A2が登場。ホログラフィックサイトを装備。
LV6より使用可能なメイン武器
L85A1が登場。改修前のA1モデルだが、誤って改修費用の経緯を反映しているのか同ゲームのG36より2倍近く値段が高い。ジャムのシステムがないため装弾不良は発生しないが性能は低い。
「IL86」という名でL85A1が「英国陸軍がこの銃から新モデルへの更新後に大量に闇市場に流れ、Zoneへ流通した」という設定で登場。ジャム率が高い。命中精度は高いが威力は低い。以降全てのシリーズに共通するが、何故か3Dモデルはマズルカバーが装着されたまま。
銃自体の性能は前作より向上しているものの、やはり大変よく装弾不良を起こす。
前作のジャム率が嘘のように普通に撃てるようになっているが、やはり性能は低め。
L85A1が登場。
戦闘兵専用の3番スロット武器に有料で登場。
L85A2が登場。
有料武器で使用可能。
軽機関銃としてL86 LSWが登場する。ドラムマガジンのためリロードが早く使いやすいが、入手頻度が低い。
L85の前身であるXL64が「エンフィールド」の名称で登場。
L86が機関銃として登場。
衛生兵の実績解除武器として登場。
NATO軍の武器として登場。
DLC「Back To Karkand」にて突撃兵である一定の条件を満たせば実績解除武器として登場。
拡張パック「Chinna Rising」にてL85A2が実装。命中率が低い(ただし、このゲームではブルパップの自動火器は全て命中精度が低い設定である)。
アサルトライフルとして登場。

関連項目

脚注

  1. ^ a b c Robert Bruce 斎木信生訳 (2003). コンバットマガジン 2003年1月号. ワールドフォトプレス. pp. 33-37. T1103967010903 
  2. ^ THE ARMED FORCES MINISTER ANNOUNCES THE SA80 A2’s RELIABILITY”. British Army Press Center. 2014年5月6日閲覧。
  3. ^ US Army thrusts bayonet aside after centuries of faithful service”. 2011年3月29日閲覧。

外部リンク