浮遊選鉱

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浮遊選鉱(ふゆうせんこう、flotation method )とは、選鉱法の一種。

原理[編集]

一般に岩石の表面は親水性であり、金属疎水性であることが多い。そこで水と油性溶液が混じったものにそれら鉱石の粉末を加えて撹拌する。すると親水性の粒子は水がついて沈み、疎水性の粒子は油性溶液にまとわりついて浮く。浮遊選鉱はそうした原理に基づいている。もっとも、示唆したように鉱石の親水性・疎水性の度合いは非金属かどうかで一概に決まるものではないし、また、薬品を添加することにより度合いを人工的に操作できる。

この原理は金属以外の物質の選別にも応用できる。実際に粘土の選鉱にも一部行われている。

金属を選る場合[編集]

鉱山から産出された岩石を大型のミルで粉砕、液体を加えてスライム状にする。溶液で満たした撹拌装置にスライム上の粉末鉱石を投じ、さらに気泡剤を添加する。一般に気泡剤は界面活性剤や油脂など、鉱物や廃水処理の状況を踏まえて使い分けられる。気泡剤を加えた状態で攪拌させると金属を含む鉱石の表面に濃集して回収が容易になる。有用鉱石を含んだ泡はフロスと呼ばれる。これをシックナーと呼ばれる水槽に集め、鉱石と水分・薬品を分離して精鉱を回収する。

脈石を多く含む泥状の物体は撹拌装置の底へ沈殿する。これはスライムと呼ばれ、経済的に可能ならば使える粘土をさらに選鉱した上で、最終的に廃棄される。スライムは鉱石や薬品由来の有害成分を含むので鉱滓ダムに堆積させる。水分を失ったスライムはそのまま放置か、もしくは坑道においての充填材として再利用する事がある。

功罪[編集]

従来は廃棄されていた低品位の鉱石からの回収率が画期的に上昇し、鉱山の採算性ひいては金属価格の下落を促し、工業の発展に貢献することとなった。アフリカのユニオン・ミニエールは典型である。日本の場合もダムをつくらなかった時代の河川やボタ山黒鉱から、特に亜鉛を生産する手段として行われ、大正にはイギリスへ輸出するほどに産業が成長した。

一方で、選鉱に用いられる廃水中の重金属が下流で濃集し、足尾銅山鉱毒事件イタイイタイ病に代表される鉱害を発生させる事故も、世界的には時代に関係なく起こっている。なお、発生地域が発展途上域に限られないことを断っておく。