浮体原子力発電所

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浮体原子力発電所(ふたいげんしりょくはつでんしょ)とは、水上/海中の船体・浮体に原子炉が実装された発電所である。現在、フランスにおいて海底設置型の原子力発電所の開発、および ロシアにおいて海上に浮かべられた原子力発電所の建造が進められている。地震に強い、陸上から遠く離れた沖合いに設置して原子力災害の損害を押さえ込める、移設が可能などの、陸上原発にはない長所を有している。

概説[編集]

海中型の場合 陸上の原発に比べ下記のような特徴を有している

長所

  • 地震に強い
  • 津波に強い
  • 落下物および軍事攻撃に強い
  • 全電源喪失でも海水の注水は容易
  • 船体が海水で冷やされているのでメルトスルーしにくい
  • 万一爆発しても水圧で爆発が減殺されセシウム散布半径が狭まる
  • 離島沖合いに設置した場合、万一爆発しても本土にセシウムはかからない
  • 移設が可能で、先進国に運搬してメンテナンスすることも可能

短所

  • 船体建造費がかかる(一隻で1500億円程度の建造費/浜岡堤防は建設費1000億円)
  • 通勤が困難(無人・遠隔操縦化するか 離島に社宅学校整備してそこから通勤か)
  • 海中送電線は直流高圧送電でコストは下がったが建設費10億円/km程度は掛かる。
  • 海中への固定・位置保持が問題である。
  • 現状、存在するフランスのフレックスブルー(Flexblue、後述)計画は、原子力災害への対応を想定した設計というより、途上国への輸出や遠隔植民地の島嶼への設置を設計意図としているために、陸地との離隔、潜水深度が充分ではない。原子力災害を想定するなら陸地から数百km沖合いで、あんこう等の商業海産資源の生存域(水深500m)より深海設置でなくてはならない。

船体コスト[編集]

ロシアの海上原発は3億3600万ドル 原子炉込みで270億円である

過去にGDが見積もった潜水LNGタンカーの船価から2012年価格で原子炉数基搭載サイズで1000-3000億円と推定される。因みに浜岡原子力発電所の堤防工事費用は1000億円であり、かつ想定以上の津波や地震や軍事攻撃や落下物には堤防工事は効果がない。

シベリアアラスカ油田ガス田を開発するための原子力潜水式タンカーの計画があった。ジェネラル・ダイナミクスは1980年代に、極地から北アメリカやヨーロッパへ液化天然ガスLNGを運ぶための、1隻あたり7億2500万米ドルの原子力駆動もしくは7億米ドルのメタン駆動のLNG輸送潜水タンカーの建造について提案していたとされる[1]

スペック

  • 全長 LNG機関型1470ft(448m) 原子力型1270ft(387m)
  • 全幅 228ft(69.5m)
  • 深さ 92ft(28m)
  • LNG運搬量 14万立米
  • 乗員 32人
  • 船価 7億ドル/525億円(LNG機関)7億2500万ドル/544億円(原子力)
  • 但し1980年代。2010年なら概略倍額。

[2]

同一運搬量の通常型LNGタンカー

  • 全長 約288m
  • 全幅 約49m
  • 深さ 約27m
  • 総トン数 12万3000t
  • タンク容量 14万5400立米
  • 船価 170-200億円/隻

[3]

フランスの海中原発[編集]

Flexblueは、フランスのDCNによって増加する世界のエネルギー需要を満たすための解決提案として開発されている。発展途上国の電力供給を改善すること、及び先進国では遠隔離島などへの設置を設計意図としている。 長さ約100m、直径約12-15m 排水量1.2万tで、離島沖合5-15km 水深60-100mに設置され、5万-25万kwの出力で発電し、10万-100万人の島民に電気を供給できる。 フランスから重量物運搬船で運ばれ、現地で海面に降ろされ潜水して設置される。また原潜とPWR原子炉の共通化を図ってコストダウンする予定である[4][出典無効]

DCNはAREVAやEDFやCEAと連携して第五ステップとして2013年から2016年に下記を詰める予定である

  1. 技術的選択肢と基本設計
  2. 市場調査
  3. 他の競合する発電方式との競争力比較
  4. 生物的影響
  5. 第三世代原子炉としての安全性の確認

ロシアの水上原発[編集]

ロシア連邦原子エネルギー局で建造が進められている自己完結、低容量の浮かぶ原子力発電所であり、2基の改良型KLT-40Sソビエト海軍核推進動力炉をそなえる施設となる。現在数隻の建造が計画されている。

この施設はまず造船所において大きな構造物を造り上げ、電力消費地である市や町、工場群地帯の近くの沿岸部まで曳航されてゆく。それぞれの船は最大70MWの電力または300MW分の熱エネルギーを供給し、これはほぼ20万人の人々が住む市への供給分に相当する。これは24万㎥/日の脱塩化処理プラントに改造することが出来る。[5][6]

燃料[編集]

このプラントは3年毎に核燃料の交換が必要となり、これは毎年20万メートルトンの石炭や10万トンの石油の消費削減に貢献することになる。この原子炉は40年の寿命が見込まれており、12年毎に故郷である造船所へと曳き戻されて波止場につながれオーバーホールを受ける。核廃棄物は、造船所とロシアの核エネルギー産業による組織がすべての処理を行う予定である。これにより発電する場所での放射性物質の痕跡は一切残らないことになる。

アカデミック・ロモノソフ[編集]

2007年4月15日に一号機のアカデミック・ロモノソフ(Academician Lomonosov)がセヴェロドヴィンスク(Severodvinsk)のセブマアシュ(Sevmash)潜水艦造船所で建設が始まった。2013年の完成を見込んでいたが、造船所の破産などのトラブルから建造・試験の遅れ、稼動開始は2019年頃に変更された。

今後の計画[編集]

これまでには2015年までに7隻を建造する予定があった[7]が、上述のように完成は遅れている。 いくつかは、タイミル半島ドゥディンカカムチャツカ半島ヴィリュチンスクチュクチ半島ペヴェクを含むロシアの北極圏で使われる予定であり、いくつかは輸出の計画がある[5]。ロシア連邦原子エネルギー局によれば15ヶ国がこの船の購入に興味を示している。[7]

中国の海上原発[編集]

中国政府により、建造が進められている海上原子力発電所。中国広核集団有限公司(CGNパワー)の開発した小型原子炉「ACPR50S」(加圧水炉)を搭載する。建造は中国船舶重工集団(CSIC)により進められており、完成後は南シナ海の島々や石油・ガス掘削リグへの電力を供給を目的として、20基程度建設する予定である。開発には他にも中国海洋石油(CNOOC)や中国核工業集団(CNNC)が参加している。

2020年より前に北東部の渤海にて実証プロジェクトが行われる予定。

脚注[編集]

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関連項目[編集]

外部リンク[編集]