桜の代紋 (映画)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
桜の代紋
監督 三隅研次
脚本 石松愛弘
原作 若山富三郎
製作 若山富三郎
眞田正典
出演者 若山富三郎
音楽 村井邦彦
撮影 森田富士郎
編集 谷口登司夫
製作会社 勝プロダクション
配給 東宝
公開 日本の旗 1973年4月21日[1]
上映時間 89分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
テンプレートを表示

桜の代紋』(さくらのだいもん)は、1973年4月21日に公開された日本映画。監督は三隅研次、主演は若山富三郎

あらすじ[編集]

岩国基地から150丁の拳銃が紛失した夜、2名の警察官が射殺される。刑事の奥村昭夫(若山富三郎)と加藤(関口宏)は、西神会の若頭の杉山(石橋蓮司)の行方を追う。

奥村から捜査への協力を求められていた橋田組の組員は、杉山を見つけるが、彼に殺されてしまう。橋田組の組長の宮川(大木実)は西神会の事務所へ乗り込み、西神会の組員たちと格闘を繰り広げた末、1名を殺害する。そこへ現れた奥村が宮川を殺人の現行犯で逮捕する。これまで懇意にしていた宮川のために、奥村夫婦は宮川の娘の悦子(東三千)を養子に迎え入れて、破談になりかけていた彼女の婚約を成就させる。

奥村たちは、杉山の恋人のミチ(真山知子)を尾行した末、杉山を逮捕する。厳しい取り調べを経て、杉山は拳銃の隠し場所を自供する。奥村たちは廃車場へ向かうが、自動車のトランクにあるはずの拳銃は消えていた。警察署に戻った奥村が杉山を問い詰めると、杉山は、警察内部にいる密告者の存在を奥村に伝える。後日、重要参考人として杉山を護送する途中、護送車が銃撃を受けて、杉山と護送車の警官が殺される。護送車に同乗していた奥村は、その責任を問われて、自宅での謹慎を命じられる。

自宅を訪ねてきた加藤に、奥村は密告者の名を告げる。加藤は、刑事の滝本(小林昭二)を尾行し、西神会の組員から滝本へ賄賂が渡される場面を目撃する。加藤からの電話を受けた奥村は急いで駆けつけるが、加藤は電話ボックスの中で殺されていた。奥村は、加藤の胸元から拳銃を取り出し、自らのズボンに差し入れる。奥村は滝本を待ち伏せし、深夜の路上で彼を問い詰めるが、滝本は何者かに撃たれて命を落とす。

奥村は、ミチの自宅を訪れて、西神会に関する話を彼女から聞き出そうとする。しかし、ミチと関係を持つ西神会の村越(渡辺文雄)が電話をかけてきて、奥村の妻の佳代(松尾嘉代)を誘拐したと奥村に告げる。西神会の事務所を訪れた奥村は、事件から手を引くよう誓わされ、西神会の組員たちから暴行を受けた果てに、1人で自宅へ帰り着く。後日、同僚の江川刑事(江幡高志)が奥村のもとを訪ねてくる。奥村が死体安置所へ向かうと、そこには、佳代の死体が冷たく横たわっていた。

奥村は銃を携えて西神会の事務所へ乗り込み、幹部と組員を次々と射殺してゆく。最後に残された西神会の会長の大星(大滝秀治)は必死で逃げ惑うが、命乞いも空しく、奥村に殺される。7名を殺害した罪により、奥村に無期懲役の判決が下される。報道陣から判決について聞かれた奥村は、自分は警察官だから控訴する意思は持っていない、と語るのであった。

出演者[編集]

スタッフ[編集]

評価[編集]

青山真治は、1999年、本作を「日本映画の負の臨界点」と評した[2]。2005年、雑誌『Cut』にて「わが心の映画」の3本に本作を挙げた黒沢清は、「日本のアクションもじゅうぶん世界レベルじゃないかとほれぼれした」と語っている[3]篠崎誠は、2012年、雑誌『Sight & Sound』にて「史上最高の映画」の10本に本作を挙げた[4]

併作上映[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Stuart Galbraith IV (2008). “1970s”. The Toho Studios Story: A History and Complete Filmography. Scarecrow Press. p. 289. ISBN 978-0-8108-6004-9 
  2. ^ 青山真治「オールタイムベスト10」『われ映画を発見せり』青土社、2001年、233-234頁。ISBN 4-7917-5903-6 
  3. ^ 黒沢清「わたしたちが選ぶ、わが心の映画150本」『Cut』第176号、ロッキング・オン、2005年2月、105頁。 
  4. ^ 篠崎誠 (2012年). “Shinozaki Makoto”. Sight & Sound. British Film Institute. 2016年4月23日閲覧。

外部リンク[編集]