柏葉幸子
柏葉 幸子 (かしわば さちこ) | |
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誕生 |
1953年6月9日(69歳)![]() |
職業 | 小説家・翻訳家・薬剤師 |
言語 | 日本語 |
国籍 |
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教育 | 学士 |
最終学歴 | 東北薬科大学 |
活動期間 | 1995年 - |
ジャンル | 児童文学、一般小説 |
代表作 |
『地下室からのふしぎな旅』 『モンスター・ホテル』シリーズ 『ミラクル・ファミリー』 『牡丹さんの不思議な毎日』 『つづきの図書館』 『岬のマヨイガ』 |
主な受賞歴 |
第15回講談社児童文学新人賞 第9回日本児童文学者協会新人賞 第45回産経児童出版文化賞 第54回産経児童出版文化賞 第59回小学館児童出版文化賞 |
デビュー作 | 『霧のむこうのふしぎな町』 |
柏葉 幸子(かしわば さちこ、1953年6月9日 - )は、日本の児童文学作家・翻訳家。岩手県宮古市生まれ、花巻市出身、盛岡市在住[1]。東北薬科大学(現:東北医科薬科大学)卒業。本業は薬剤師。日本ペンクラブ会員。
人物[編集]
児童文学のフィールドで、見ず知らずの子供と大人が出会い、血の繋がりのない親子関係を結ぶ物語を書き続け、和製ファンタジーの作り手として孤高の存在感を放っている[2]。作中で大人は子供を守る役割を担うが、同時に、子供の存在によって大人の側も支えられ守られているのが特徴[2]。
デビュー作『霧のむこうのふしぎな町』が、宮崎駿監督のアニメ映画『千と千尋の神隠し』に影響を与えたことでも知られる[2][3][4][注 1]。
来歴[編集]
1969年、岩手県立花巻北高等学校入学、1972年、東北薬科大学入学[5]。
大学在学中の1974年、『気ちがい通りのリナ』が第15回講談社児童文学新人賞を受賞。翌1975年に『霧のむこうのふしぎな町』と改題して刊行し、作家デビュー[1]。
1976年、東北薬科大学卒業[5]。その後、岩手県盛岡市で薬剤師として働きながら執筆活動を続ける。
2019年、累計発行部数50万部突破のベストセラー『地下室からのふしぎな旅』を原作としたアニメ映画『バースデー・ワンダーランド』が劇場公開される[6][7]。
2021年、第54回野間児童文芸賞受賞作『岬のマヨイガ』を原作とした同題のアニメ映画が劇場公開される[8]。同作は、東日本大震災で特に大きな被害を受けた岩手県、宮城県、福島県の東北3県を舞台としたアニメーションを制作することで被災地への長期的な支援を行うことを目的としたフジテレビの企画「ずっとおうえん。プロジェクト 2011+10…」の第一作として制作された[9][10]。同年、岩手県の「いわて暮らしアンバサダー」に就任[11][12]。
2021年、初めて児童文学ではなく、一般向け小説に挑戦した長編『亜ノ国へ 水と竜の娘たち』を刊行[2]。
受賞歴[編集]
- 1974年 - 第15回講談社児童文学新人賞(『気ちがい通りのリナ』)
- 1976年 - 第9回日本児童文学者協会新人賞
- 1998年 - 第45回産経児童出版文化賞(『ミラクル・ファミリー』)
- 2007年 - 第54回産経児童出版文化賞大賞(『牡丹さんの不思議な毎日』)
- 2010年 - 第59回小学館児童出版文化賞(『つづきの図書館』)
- 2016年 - 第54回野間児童文芸賞(『岬のマヨイガ』)
- 2022年 - The Batchelder Award(『Temple Alley Summer』『帰命寺横丁の夏』英訳版)
著書[編集]
- 『霧のむこうのふしぎな町(原題:気ちがい通りのリナ)』 講談社、1975年(のち講談社文庫、青い鳥文庫)
- 『おばあさんと空とぶカレー』 講談社 1978年
- 『よばわりやま』 フレーベル館 1979年
- 『地下室からのふしぎな旅』 講談社、1981年(のち講談社文庫、青い鳥文庫) - 2019年公開のアニメ映画『バースデー・ワンダーランド』の原作
- 『くれくれコヤマジラ』 ひくまの出版 1984年
- 『天井うらのふしぎな友だち』 講談社、1985年(のち講談社文庫、青い鳥文庫)
- 『ふしぎなおばあちゃんがいっぱい』 講談社 1986年(『ふしぎなおばあちゃん×12』講談社青い鳥文庫、1995年)
- 『1077号室は森のなか』 ひくまの出版、1986年
- 『とび丸竜の案内人 時間をとんだ竜と女の子の冒険』 偕成社 1988年
- 『りんご畑の特別列車』 講談社、1989年(のち青い鳥文庫)
- 『エバリーン夫人のふしぎな肖像』 講談社文庫、1989年
- 『まいごのたまご』 国土社、1990年
- 『モンスター・ホテル』シリーズ 小峰書店
- 『モンスターホテルでおめでとう』1991年
- 『モンスター・ホテルでこんばんは』1991年
- 『モンスター・ホテルであいましょう』1992年
- 『モンスター・ホテルでなつやすみ』1993年
- 『モンスター・ホテルでプレーボール』1993年
- 『モンスター・ホテルでクリスマス』1994年
- 『モンスター・ホテルでインターネット』2001年
- 『モンスター・ホテルでおばけバラ』2002年
- 『モンスター・ホテルでおどりましょう』2003年
- 『モンスター・ホテルでパーティーだ』2003年
- 『モンスター・ホテルでおひさしぶり』高畠純絵 2014年
- 『モンスター・ホテルでたんていだん』2014年
- 『モンスター・ホテルでごしょうたい』2015年
- 『モンスター・ホテルでひみつのへや』2015年
- 『モンスター・ホテルでピクニック』2016年
- 『モンスター・ホテルでそっくりさん』2016年
- 『モンスター・ホテルでパトロール』2017年
- 『モンスター・ホテルでプレゼント』2018年
- 『おばけ塾ひらきます』 教育画劇 1992年
- 『大おばさんの不思議なレシピ』 偕成社、1993年(のち偕成社文庫)
- 『かくれ家は空の上』 講談社 1993年(のち青い鳥文庫)
- 『かいとうドチドチ』シリーズ
- 『かいとうドチドチびじゅつかんへいく』 講談社 1995年
- 『かいとうドチドチ雪のよるのプレゼント』 講談社 1995年
- 『かいとうドチドチどろぼうコンテスト』 日本標準 2009年
- 『チカのふしぎなアルバイト』佼成出版社、1995年
- 『ファンファン・ファーマシィー』 小学館 1997年
- 『ふしぎなファンファン・ファーマシィー』 小学館 1998年
- 『ふしぎ魔法ファンファンファーマシィー』(アニメ版のシール絵本) 小学館、1998年
- 『ミラクル・ファミリー』 講談社 1997年(のち文講談社庫)
- 『ドードー鳥の小間使い』 偕成社、1997年
- 『とぶキャベツのひみつ―黒うさぎ王国』 旺文社 1998年
- 『天使のまささんおひるね中』 大日本図書、1998年
- 『ヨネせんせいのおばけ塾』シリーズ 教育画劇
- 『ろくろっ首の日記』 1999年
- 『ゆうれいの日記』
- 『きゅうけつきの息子の日記』
- 『トマト魔女の魔女修行』 フレーベル館、1999年
- 『ざしきわらし一郎太の修学旅行』 あかね書房、1999年
- 『ラ・モネッタちゃん』シリーズ 偕成社
- 『ラ・モネッタちゃんはきげんがわるい』 2001年
- 『ラ・モネッタちゃんはあきらめない』 2003年
- 『ゆうれいばばさまのクリスマス』 佼成出版社、2001年
- 『バケルノ小学校 ヒュードロ組(1)おばけきのこマッシュ 』 講談社、2001年
- 『ブレーメンバス 柏葉幸子短編集』 講談社、2003年
- 『たぬき親父』 全国学校図書館協議会 2003年
- 『魔女モティ』 講談社、2004年(のち青い鳥文庫)
- 『とねりこ屋のコラル 魔女モティ』 講談社 2009年(のち青い鳥文庫)
- 『ピーポポ・パトロール』シリーズ 童心社、2005年
- 『ピーポポ・パトロールはんぶんおばけのマメンキサウルス』 童心社 2007年
- 『百本きゅうりのかっぱのやくそく ピーポポ・パトロール』 童心社 2009年
- 『くいしんぼくまのさん』 偕成社 2005年
- 『なきむしやぎのさん』 偕成社 2005年
- 『ゆっくりかめのさん』 偕成社 2005年
- 『牡丹さんの不思議な毎日』 あかね書房、2006年
- 『おばけ美術館』シリーズ ポプラ社
- 『おばけ美術館へいらっしゃい』 2006年
- 『妖精ケーキはミステリー!?』 2007年
- 『ふしぎ列車はとまらない』 2008年
- 『うたちゃんちのマカ』 講談社、2007年
- 『花守の話』 講談社 2009年
- 『つづきの図書館』 講談社 2010年
- 『すずちゃんと魔女のババ』 高畠純絵 講談社 2010年
- 『ハッピー・バースデー・ババ : すずちゃんと魔女のババ』 講談社 2013年
- 『帰命寺横丁の夏』 佐竹美保絵 講談社 2011年
- 『狛犬「あ」の話』 安藤貴代子絵 講談社 2011年
- 『狼ばば様の話』 安藤貴代子絵 講談社 2012年
- 『おつかいまなんかじゃありません』 つちだのぶこ絵 ポプラ社 2012年
- 『バク夢姫のご学友』 児島なおみ絵 偕成社 2012年
- 『こやぶ医院は、なんでも科』 山西ゲンイチ絵 佼成出版社 2013年
- 『竜が呼んだ娘』 佐竹美保絵 朝日学生新聞社 2013年
- 『ハカバ・トラベルえいぎょうちゅう』 たごもりのりこ絵 BL出版 2014年
- 『岬のマヨイガ』 さいとうゆきこ絵 講談社 2015年 - 2021年公開のアニメ映画の原作
- 『王様に恋した魔女』 佐竹美保絵 講談社 2016年
- 『父さんはドラゴン・パティシエ おしごとのおはなしパティシエ』 中村景児絵 講談社 2016年
- 『遠野物語』柳田國男原作、柏葉幸子編著、田中六大絵 偕成社 2016年
- 『涙倉の夢』 青山浩行絵 講談社 2017年
- 『あんみんガッパのパジャマやさん』 そがまい絵 小学館 2018年
- 『亜ノ国ヘ 水と竜の娘たち』 角川書店、2021年、ISBN 978-4041095553
翻訳[編集]
- ゲイル・カーソン・レビン『ディズニーフェアリーズ プリラの夢の種』 講談社 2005年
- ゲイル・カーソン・レビン『ラニーと魔法の杖 ディズニーフェアリーズ』 講談社 2007年
- ゲイル・カーソン・レビン『プリラの夢の種』 講談社 2008年
- L・M・モンゴメリ『赤毛のアン』 垂石眞子絵 ポプラ社 2015年
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ 当初は『霧のむこうのふしぎな町』そのものの映画化に取り組んだものの断念。その後、同作の影響を反映する形で映画を制作したと、宮崎駿本人が明らかにしている。
出典[編集]
- ^ a b “第54回野間児童文芸賞受賞作家・柏葉幸子の一般向け小説に初挑戦!”. PR TIMES. (2021年7月14日) 2022年1月10日閲覧。
- ^ a b c d 吉田大助 (2021年9月23日). “異世界の冒険の果てに辿り着いたのは 大人があらゆる子供の「親」となる姿――『亜ノ国ヘ 水と竜の娘たち』柏葉幸子著 書評”. KADOKAWA 2022年1月10日閲覧。
- ^ 愛蔵版『霧のむこうのふしぎな町』(2019年刊)の紹介文より。
- ^ スタジオジブリ編集『ジブリの教科書12 千と千尋の神隠し』より。
- ^ a b 「柏葉幸子略歴」『霧のむこうのふしぎな町』講談社文庫、1979年、ISBN 4061380877、149頁
- ^ “映画『バースデー・ワンダーランド』原恵一監督インタビュー”. アニメイト. (2019年5月2日) 2021年9月28日閲覧。
- ^ “映画『バースデー・ワンダーランド』原恵一監督インタビュー”. アニメイト. (2019年5月2日) 2022年1月10日閲覧。
- ^ “「岬のマヨイガ」監督が“岩手愛”を熱弁「今すぐにでも行きたいくらい思い入れができた」(イベントレポート)”. コミックナタリー. 株式会社ナターシャ (2021年8月28日). 2021年9月28日閲覧。
- ^ “芦田愛菜 “声”で被災地支援 東北が舞台のアニメ映画「岬のマヨイガ」で17歳の少女・ユイ役”. フジニュースネットワーク. FNNプライムオンライン (2021年5月4日). 2022年1月10日閲覧。
- ^ “震災から10年…フジテレビが被災地を舞台にしたアニメ3作品を制作”. シネマトゥデイ. (2020年11月5日) 2022年1月10日閲覧。
- ^ “岩手ぐらし、あると思います…「天津」木村卓寛さんら移住PRへ”. 読売新聞オンライン (2021年9月19日). 2021年9月28日閲覧。
- ^ “移住促進へアンバサダー 県が著名人3人へ委嘱”. 岩手日報. (2021年8月28日) 2022年1月10日閲覧。