廿日市女子高生殺害事件

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廿日市女子高生殺害事件
場所 日本の旗 日本広島県廿日市市上平良135番地1
座標
北緯34度21分20.304秒 東経132度19分8.994秒 / 北緯34.35564000度 東経132.31916500度 / 34.35564000; 132.31916500座標: 北緯34度21分20.304秒 東経132度19分8.994秒 / 北緯34.35564000度 東経132.31916500度 / 34.35564000; 132.31916500
日付 2004年平成16年)10月5日
15時 (UTC+9)
概要 男が被害者宅に侵入し刃物で殺傷した
攻撃手段 刺殺
武器 刃物
死亡者 1人
負傷者 1人
犯人 男(逮捕時35歳:山口県宇部市在住)
対処 2018年4月13日に被疑者を逮捕
管轄
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廿日市女子高生殺害事件(はつかいち じょしこうせいさつがいじけん)とは、2004年平成16年)10月5日広島県廿日市市に住む女子高生が自宅で刺殺され、その祖母が重傷を負わされた事件。

事件当日の状況、特徴[編集]

2004年10月5日午後3時ごろ、広島県廿日市市上平良の住宅にて、一家の長女が若い男に刃物で刺された。
  • 長女は高校から帰宅後、自宅離れ2階の自室で仮眠を取っていた。
  • 長女の悲鳴と階段を駆け下りる音を聞き、長女の祖母と次女が駆けつけた。離れ玄関先で長女が刺され、大量の血があった。
  • 長女の部屋の枕元の音楽機器に接続されていたイヤホンが外れており、長女はあわててベッドを離れたと思われる。
  • 離れ1階で男は祖母にも襲いかかり、背中や腹を10か所ほど刺して逃走した。
  • 次女は裸足のまま、30m離れた近所の園芸店に助けを求めた。
  • 長女と祖母は重体に陥って病院に運ばれた。長女はまもなく出血多量で死亡、祖母はその後回復した。
事件直後、広島県警察捜査一課廿日市警察署捜査本部を設置して犯人の男の行方を追った[1]。被害者を1階の玄関まで追って刺すという凶悪性の高い犯行であったが、長女は学校内でのトラブルなどもなく、犯人の動機などは不明であった。そのため、被害者である次女と祖母以外の目撃者や有力情報などもないまま、長らく未解決事件となっていた。

被疑者の逮捕[編集]

逮捕に至るまでの経緯[編集]

事件発生から14年間にわたり犯人が逮捕されず、父親はブログで事件の風化せぬよう、非常に熱心に呼びかけを続けていた。2008年3月には、犯人逮捕につながる有力情報の提供者に最高300万円の懸賞金を支払う捜査特別報奨金制度対象事件ともなったこともあり、報道や難事件を扱うテレビ番組などで未解決事件として取り上げられるようになった[2]

2010年には、殺人事件における公訴時効(15年)が廃止されたものの、まったく捜査の進展が見られなかった。

別の暴行事件から犯人逮捕[編集]

2018年4月13日、別の暴行事件で任意捜査対象であった山口県宇部市の35歳の会社員の男(事件当時21歳)のDNA型・指紋が、当時現場で採取されたDNA型・指紋などと一致したため、本件の殺人容疑で逮捕された[3]

この被疑者は、宇部市内にある土木建築会社に、13年前から勤務していた[4]。社長は「無断欠勤などなく、仕事態度は真面目であった」と評価しており、口数は少なくて大人しかったという[4]。被疑者の父親も、「気は弱いし、引っ込み思案の性格」と評している。

しかし、2018年4月上旬にイラついたという理由で、後ろを向いていた部下の左足上部大腿部を走り寄って蹴り上げ、警察に通報された。その際に山口県警察が男の指紋を採取し、このデータを本件遺留物の指紋と照合したところ一致を見たことから、被疑者のDNAを採取して鑑識によるDNA鑑定を経て、本事件における殺人罪での逮捕につながった[4][5][リンク切れ]

供述によると事件当日は、山口県宇部市から広島県廿日市市の犯行現場までバイクで向かったという[6]。事件発生前後には、バイクに乗った不審な男性の目撃情報が複数寄せられていた。また、犯行現場の廿日市市に居住歴はなく、「以前務めていた会社を解雇され、自棄自暴になった」「通りすがりに犯行に及んだ」などと供述した[7][8]

同年5月3日に被疑者は、重傷を負わされた祖母に対する殺人未遂罪で再逮捕され、5月24日に殺人罪と殺人未遂罪で広島地検に起訴された[9][10]

裁判[編集]

2020年3月3日、広島地方裁判所で開かれた裁判員裁判において、被告人は起訴事実を認めた[11]

同年3月10日に論告求刑公判が開かれ、検察官は身勝手な動機、長期間逃亡していることから再犯が懸念されることなどを挙げ、被告人に無期懲役を求刑した一方、被告人の弁護人は最終弁論で「殺害は突飛的な行動だった」として量刑の減軽を求め、結審した[12]

3月18日、広島地裁(杉本正則裁判長)は検察官の求刑通り被告人を無期懲役とする判決を言い渡した[13]。検察側・被告人側の双方とも控訴しなかったため、同年4月2日付で無期懲役が確定した[14][15]

脚注[編集]

  1. ^ a b 日本経済新聞』2004年10月6日東京朝刊39頁「高2女子刺され死亡、若い男逃走 広島 自宅で、祖母も重体」(日本経済新聞東京本社
  2. ^ 女子高生に何が…。消えた“似顔絵の男” - NHKスペシャル 未解決事件追跡プロジェクト(一例)[出典無効]
  3. ^ 14年前の高2殺害で逮捕=山口の35歳会社員-指紋、DNA型一致・広島県警」『時事通信』、2018年4月13日。2018年4月13日閲覧。オリジナルの2018年4月13日時点におけるアーカイブ。
  4. ^ a b c ××容疑者の知人ら「まじめ」「信じられない」=広島高2殺害」『時事通信』、2018年4月13日。2018年6月12日閲覧。オリジナルの2018年6月12日時点におけるアーカイブ。
  5. ^ “14年前の高2刺殺 35歳男逮捕 別の暴行事件で採取のDNA型、指紋一致”. Sponichi ANNEX. スポーツニッポン新聞社. (2018年4月14日). https://www.sponichi.co.jp/society/news/2018/04/14/kiji/20180413s00042000483000c.html 2018年4月15日閲覧。 
  6. ^ 小山美砂、東久保逸夫、松田栄二郎「「廿日市は通りすがり」 容疑者、バイク利用か」『毎日新聞』、2018年4月14日。2018年4月14日閲覧。オリジナルの2018年4月14日時点におけるアーカイブ。
  7. ^ 容疑者 広島に居住歴なし、被害者との関係焦点」『産経新聞』、2018年4月14日。2018年6月12日閲覧。オリジナルの2020年9月21日時点におけるアーカイブ。
  8. ^ 「騒がれて逃げようとしたので刺した」と35歳男」『産経新聞』、2018年4月16日。2018年6月12日閲覧。オリジナルの2020年9月21日時点におけるアーカイブ。
  9. ^ 広島高2刺殺事件で男を再逮捕」『徳島新聞』、2018年5月3日。2018年6月12日閲覧。オリジナルの2018年6月12日時点におけるアーカイブ。
  10. ^ “乱暴目的で侵入、逃げられ殺害 地検判断、男を起訴”. 産経新聞. (2018年5月24日). オリジナルの2020年9月21日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20200921165101/https://www.sankei.com/west/news/180524/wst1805240078-n1.html 2018年6月12日閲覧。 
  11. ^ 【初公判詳報】廿日市女子高生殺害事件 被告、起訴事実認める」『中国新聞』、2020年3月3日。2020年3月4日閲覧。オリジナルの2021年1月27日時点におけるアーカイブ。
  12. ^ 『読売新聞』2020年3月11日大阪朝刊第二社会面36頁「高2女子殺害 無期求刑 広島地裁 弁護側「突飛的行動」」(読売新聞大阪本社)
  13. ^ 『読売新聞』2020年3月19日大阪朝刊第二社会面34頁「高2刺殺 無期判決 広島地裁 「身勝手極まりない」」(読売新聞大阪本社)
  14. ^ 『読売新聞』2020年4月2日大阪夕刊第二社会面8頁「広島高2刺殺 無期判決確定」(読売新聞大阪本社)
  15. ^ 《廿日市女子高生殺害事件裁判傍聴記14》【最終回】 遺族に感情移入し、会見で感極まった裁判員”. 鹿砦社 (2020年10月5日). 2023年2月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年10月26日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]