広島連続保険金殺人事件
広島連続保険金殺人事件(ひろしまれんぞくほけんきんさつじんじけん)は、1998年と2000年に広島県で発生した保険金詐取を目的とした殺人事件。
事件の概要[編集]
1998年(平成10年)10月、生コン会社の会社役員であったOは、広島市佐伯区の会社敷地内で養父の頭を鈍器で殴り殺害。交通事故に装って保険金約6000万円を手に入れた。さらに2000年(平成12年)3月、妻に睡眠導入剤入りのお茶を飲ませて風呂場で殺害、事故(水死)を装うために宇品港付近の海岸に遺体を遺棄。保険金300万円を手に入れた[1]。
裁判[編集]
2005年(平成17年)4月27日、広島地方裁判所の岩倉広修裁判長は「心の底から反省しているとは言い難い」としてOに対して求刑通り死刑を言い渡す。2007年(平成19年)、広島高等裁判所の楢崎康英裁判長は控訴を棄却。2011年(平成23年)6月7日、最高裁判所第3小法廷の大谷剛彦裁判長は「犯行態様は非情で刑事責任は極めて重大。死刑を是認せざるを得ない」として被告側の上告を棄却する判決を言い渡した。これにより、Oの死刑が確定した[2]。
2022年(令和4年)8月14日時点で、死刑囚Oは広島拘置所に収監されている。
脚注[編集]
- ^ 養父・妻殺害に死刑 保険金狙い事故装う『朝日新聞』2005年4月27日夕刊 4版 19面
- ^ “広島市で養父と妻殺害、死刑確定 最高裁、上告を棄却”. 日本経済新聞 (2011年6月7日). 2022年7月28日閲覧。
参考文献 [編集]
刑事裁判の判決文
- 広島高等裁判所第一部判決 2007年(平成19年)10月16日 、平成17(う)115、『詐欺、窃盗、有印私文書偽造、同行使、殺人、死体遺棄被告事件』、“ 本件は(1)会社の清算人であった被告人が、会社の清算方法を巡って対立していた代表清算人の養父を交通事故を装って殺害することを計画し、養父の頭部を鉄アレイで殴打した上、自己が運転する車の助手席に乗せ、車を高速でコンクリートブロック壁に衝突させて殺害し、保険金詐欺を行った、(2)妻から離婚されると思い、いっそのこと妻を殺害しようと決意し、浴室で妻を湯に漬けて殺害し、その死体を岸壁から海中に遺棄し、妻が誤って転落したと偽って保険金を詐取した等の事案について、原審が言い渡した死刑判決は、(1)量刑が重過ぎて不当であり、(2)憲法に違反するという理由で被告人が控訴したところ、量刑は不当でなく、死刑制度は憲法に違反しないとして、控訴を棄却した”。
- 最高裁判所第三小法廷判決 2011年(平成23年)6月7日 、平成19(あ)2275、『詐欺、窃盗、有印私文書偽造、同行使、殺人、死体遺棄被告事件』「死刑の量刑が維持された事例(広島の養父・妻殺害事件)」。