コンテンツにスキップ

読楽

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
問題小説から転送)

読楽』(どくらく)は、徳間書店発行の月刊小説誌1967年10月創刊の『問題小説』(もんだいしょうせつ)の後身。2012年1月号よりリニューアル・新創刊された。2016年1月号より頒価形式の文芸雑誌(PR誌)へリニューアル[1]2023年6月号より紙版の刊行を停止し、それまでも発売していた電子書籍版のみでの発行となった[2]

『問題小説』創刊から

[編集]

アサヒ芸能出版株式会社が徳間書店と合併した1967年10月に、『別冊アサヒ芸能 問題小説特集』(1967年12月号)として発刊した。キャッチコピーは「男のためのセンセーショナル小説集」で、発行部数は11万3千部。創刊号の内容は、小説では巻頭に梶山季之、他に清水一行北原武夫近藤啓太郎山田風太郎大藪春彦生島治郎など。連載劇画小島剛夕多湖輝佐野洋の対談、大森実五島勉らのルポ、ドキュメントなど。当初は季刊の予定だったが、売れ行きがよかったため隔月刊となり、第5号となる1968年6月特大号から誌名を『問題小説』として月刊となった。

同時期に多くの中間小説誌が創刊されて消えていった中で、大手の『オール讀物』『小説新潮』『小説現代』に続いて生き残った。部数は最高時で33万部にまで伸びるが、その後は20万部程度となる。長編の一挙掲載などを特徴としている。1975から1976年に一挙掲載した西村寿行君よ憤怒の河を渉れ』、『娘よ、涯なき地に我を誘え』(後に『犬笛』に改題)はベストセラーとなって、映画化もされた。

中間小説誌、成人男性向けのエンターテイメント誌として、官能小説推理小説アクション小説ビジネス小説時代小説などを中心に掲載していた。

2012年に「新装刊」としてリニューアルされてからは、女性や若年層にもターゲットを広げている。

増刊号など

[編集]
  • 1979年、『問題小説SPECIAL SFアドベンチャー』創刊。
  • 1980年、『問題小説SPECIAL 瑠伯 LUPIN』創刊。
  • 「問題小説増刊号」として、
    • 「戦後小説 性の系譜」1971年
    • 西村京太郎読本」1985年
    • 「追悼特集 大藪春彦の世界」1996年
    • 赤川次郎読本 問題小説SPECIAL ルパン」1983年

新人賞等

[編集]
受賞リスト
  1. 1975年 栗栖喬平「秋の鈴虫」、稲角良子「終審」
  2. 1976年 喜多唯史「星空のマリオネット」、津山紘一「13」、土門冽「東京のカナダっぺ」
  3. 1977年 島野一「朱円姉妹」、川ゆたか「小説・エネルギー試論」
  4. 1978年 今野敏「怪物が街にやってくる」
  5. 1979年 峰隆一郎「流れ灌頂」
  • 1999年から開始された大藪春彦賞は、『問題小説』誌上で発表される。

主な掲載作品

[編集]
  • 三好徹「迷子の天使」1968年1月号(天使シリーズ第1作)
  • 中薗英助「小説円投機」1978年 - 1979年
  • 山田風太郎「人間臨終図巻」1978年9月号 - 1987年2月号
  • 船戸与一「運河の流れに」1985年1月号、「巣窟の鼠たち」1985年7月号、「銃器に自由を」1985年10月号(「東京難民戦争」、未完)
  • 隆慶一郎「風の呪殺陣」1986年10月号 - 1987年1月号
  • 佐高信「喜怒哀楽のうた」1996年2月号 - 2000年12月号
  • 石田衣良「ブルータワー」2002年1月号 - 2004年9月号

関連書籍

[編集]
  • 問題小説創刊30周年記念として問題小説傑作選と題して徳間文庫から9巻を刊行。
    • 「かくも美しきエロス - 問題小説傑作選1 官能篇」1999年
    • 「煌めきの殺意 - 問題小説傑作選2 ミステリー篇」1999年
    • 「男たちのら・ら・ば・い - 問題小説傑作選3 ハード・ノベル篇」1999年
    • 「剣光、閃く! - 問題小説傑作選4 剣戟小説篇」1999年
    • 「闇の旋風 - 問題小説傑作選5 捕物帖篇」2000年
    • 「逢魔への誘い - 問題小説傑作選6 時代情恋篇」2000年
    • 「密やかな匂い - 問題小説傑作選7 秘悦篇」2000年
    • 「あやかしの宴 - 問題小説傑作選8 女流官能篇」2001年
    • 「耽溺(おぼ)れるままに - 問題小説傑作選9 女流官能篇」 2002年

脚注

[編集]

出典

[編集]
  1. ^ 文芸誌「読楽」リニューアルのお知らせ”. 徳間書店 (2015年12月2日). 2016年1月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年8月7日閲覧。
  2. ^ 「読楽」完全電子化のお知らせ”. 徳間書店. 2023年4月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年11月13日閲覧。

参考文献

[編集]