先住民
先住民(せんじゅうみん)とは、ある土地に元来住みついている人間集団のことである[1]。とくに、外来の侵略者や植民者から区別して呼ぶ場合に用いられる[1]。原住民とも。歴史的には、とくに大航海時代(「地理上の発見」)以降、主としてヨーロッパ人が南北アメリカ大陸やオセアニアの地域で初めて接触した諸民族を指すことが多い[1]。
「民族」という概念を強調し、「先住民族」(英語: Indigenous peoples)と呼ばれる場合もあるが、「民族」という概念の多義性を踏まえ、その定義などに注意を要する。
日本では、原住民という言葉が差別的な意味を含むみなされるようになってからは、先住民という言葉が代替されるようになった。ただし、台湾では先住民は文字通り「以前は住んでいた民族(現在は存在しない民族)」のことを指し、差別的な意味を持たず、公式に用いる。
歴史
国家の形成段階において、先住民は国家への従属を強いられ、疫病や奴隷化・虐殺によって弱体化を余儀なくされた例が多数存在する。先住民には、かつては国家を持ち、繁栄を極めていたもの(チャム族など)や、多数派民族を支配していた歴史をもつもの(満州民族)も存在する。従来、先住民の文化は「野蛮」「未開」とされ否定的に扱われてきた。一方で、先住民の尊厳と文化の継承・再生が近年認められつつある。
南北アメリカ大陸の(エスキモーを除く)先住民はインディアン・インディオと一括して呼ぶことが多い。アメリカ大陸には互いに異なる文化を持った様々な先住民族が存在することに注意が必要である。「インディアン」・「インディオ」は本来はインド人を指し,アメリカの先住民を指すには不適当な名称だが(アメリカ大陸を発見したクリストファー・コロンブスがインドと勘違いしたのが原因)、先住民の言葉にはアメリカ大陸の多様な民族を一括して呼ぶ自称がないため、今では先住民の側も「インディアン」・「インディオ」を使っている。
国連による活動
国際連合は1994年以降、毎年8月9日を、「先住民の日」 (International Day of the World's Indigenous Peoples) に制定している[2]。
2007年には先住民族の権利に関する国際連合宣言が国際連合総会において採択された。
孤立先住民居住地の保護
- インド - インド政府は、アンダマン・ニコバル諸島に居住する外部の人間との交流を拒絶する部族(例:北センチネル島のセンチネル族)との軋轢を防ぐため、特定の島への上陸を禁止している[3]。
- ブラジル - ブラジル政府は、アマゾン川上流域に居住する外部の人間との交流を持たない部族の居住地を保護するため、2016年に先住民居住区の設定を開始した[4]。
主な先住民(先住民であるとすることに異論のあるものも含む)
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ヴェッダ
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サン人
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台湾原住民・ツォウ族
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チャモロ人
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ベルベル人
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マオリ
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チベット人
脚注
- ^ a b c ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
- ^ International Day of the World's Indigenous People 国際連合(英語)
- ^ “インドの孤立部族、米国人宣教師を殺害か 北センチネル島”. AFP (2018年11月21日). 2018年11月22日閲覧。
- ^ “アマゾンの孤立部族を保護へ、ブラジル政府”. ナショナル ジオグラフィック (2018年5月27日). 2018年11月22日閲覧。