併用軌道
併用軌道(へいようきどう)とは、道路上に敷設された軌道の事を指す。路面電車などで良く見かける敷設形態だが、一般的な鉄道車両が走行する場合もある。これに対して、道路上以外の場所に確保された軌道のことを新設軌道[1](通称「専用軌道」)と呼ぶ。
日本国内においては、基本的には軌道法に準拠する軌道として敷設されているが、例外的に鉄道事業法に準拠している場合もある。自動車交通の普及に伴う路面電車の廃止により減少傾向にあったが、国のLRT整備の方針の下、富山ライトレールが一部区間(富山駅北駅 - 奥田中学校前駅付近)で新たに導入している。
日本における概要[編集]
軌道法によるもの[編集]
軌道法に於ける路線については、第二条に「軌道ハ特別ノ事由アル場合ヲ除クノ外之ヲ道路ニ敷設スヘシ」とあるように道路への敷設を原則としている。併用軌道から新設軌道へは工事方法書の変更により行うことが出来、鉄道より変更が容易になっている。道路上を走行するため、運転は日本においては軌道運転規則だけでなく道路交通法にも準拠して行われる。通常の鉄道と違う点は概ね以下の通りである。
- 列車の長さは30m以下に制限される。ただし広島電鉄の5000形(グリーンムーバー)や、4両編成で運行している京阪京津線は編成長が30mを超えるため許可を得ており、それ以外でもそのような路線は過去に複数存在していた。
- 最高速度は40km/h以下に制限される(これ以上の速度を出す区間も存在する)。[要出典]
- 系統や行き先を車両外部に明示しなければならない。
- 複線区間では閉塞設備を要せず、目視で続行運転できる。
- 通票が存在する単線区間においても、最後尾以外の車両は続行標(続行運転を行っていることを示す、車両に取り付ける標識)を掲出して続行運転できる。(併用軌道区間でのスタフ閉塞を参照)
- 信号機は軌道信号機と呼ばれており、進行信号は黄色の矢印、停止信号は赤色×印だが、単線区間では、鉄道での自動閉塞による運転と続行運転の両方ができるように、行き違いができる停車場に単線区間での車両数と進行方向を表示する信号が併設されている場合がある。
- 自動車用の信号機にも従う。
なお、大型の(路面電車サイズではない)鉄道車両が軌道を走行する場合は後述の鉄道事業法に基づく場合のみならず、福井鉄道福武線のように専用軌道部分は鉄道事業法、併用軌道は軌道法に基づき建設されている場合や、京阪京津線のように専用軌道を含め全線が軌道法に基づき建設されている場合もあり、車両の大きさと適用される法令は一致しない。この場合には軌道を大型の鉄道車両が走行していることになる。
住宅地を走るアメリカのサウスショアー線
広島電鉄の併用軌道と、同社の中で最長の全長30.52mの「GREEN MOVER」(2005年4月撮影)
鉄道事業法によるもの[編集]
併用軌道は鉄道事業法(旧・地方鉄道法)に基づくものも存在する。鉄道事業法による場合、同法第61条は道路への線路敷設を原則禁止しているが、同条2項に基づく政令による手続きを経て許可を得ている。現存するものでは江ノ島電鉄線と、熊本電気鉄道藤崎線がある。いずれも元は軌道として敷設され、後に鉄道へ変更されたものである。
過去のものでは近鉄奈良線奈良市内(軌道より変更したもの)の他、鉄道道路併用橋として名鉄犬山線の犬山橋、東急大井町線の二子橋など、日本各地に多くが存在した。
なお、軌道法ではなく、鉄道事業法で併用軌道区間を運転しているため、極論で云えば、鉄道信号以外に従う必要はなく、道路交通の信号機や、道路の最高速度を守る必要もない。[要出典]
脚注[編集]
- ^ 軌道建設規程(大正12年内務省令・鉄道省令第1号)第3条
関連項目[編集]
- 鉄道道路併用橋 - 併用軌道となっている橋のことを含めていう用語。