佐藤康宏

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佐藤 康宏(さとう やすひろ、1955年1月17日 - )は、日本の美術史学者、東京大学大学院人文社会系研究科・文学部教授。日本美術史、特に近世絵画史が専門。

経歴[編集]

1978年東京大学文学部美術史学専修課程卒業、1980年同大学院人文科学研究科修士課程修了、東京国立博物館技官、1981年文化庁文化財保護部美術工芸課技官、1989年同絵画部門文化財調査官、1994年東京大学文学部助教授、2000年同教授。

2008年から放送大学客員教授を兼任。雑誌『UP』(東京大学出版会)の439号(2009年5月)から「日本美術史不案内」を連載中。

2015年10月20日、放送大学で第一学期単位認定試験に出題した際の冒頭で審議中の政治的テーマに関する自説を述べた[1]。試験後に受験者の一人から、現政権への批判、審議中の事案への意見は教育者による思想誘導と取られかねない、との疑義を訴えたメールが来たとの連絡を受けた。佐藤は問題文の趣旨に賛成でも反対でも回答に差が出る種類の問題ではないと答え、この疑義を無視した。大学側が「現政権批判は公平性に欠き、単位認定試験のあり方として認められない」などを理由に、学内サイトで設問文を公開する際に一部文章の削除を通告した。しかし佐藤は、今回冒頭に記したのは戦前・戦中期の美術について、今に生きる自身の問題として考えてほしいという受験者へのメッセージであり、これは単に警告を呼びかけるに過ぎず、法案への反対や津田青楓のように議会への告発を表明しているわけではないと説明した。[2]。更に試験問題は放送法の適用を受けず、同意なき削除は著作権の侵害などを理由に反論し[3]、2019年度までの契約だった客員教授を15年度限りで辞めた[4]

著書[編集]

  • 共著 『原色日本の美術 第27巻 在外美術(絵画)』(小学館、1980年)
  • 共著 Japanese Ink Painting (Los Angeles County Museum of Art, 1985)
  • 『日本の美術 256 伊藤若冲』(至文堂、1987年)
  • 共著 The Paintings of Jakuchu (The Asia Society Galleries, 1989)
  • 『新編名宝日本の美術(27) 若冲・蕭白』(小学館、1991年)。第4回國華賞受賞
  • 『湯女図 視線のドラマ』(平凡社「絵は語る 11」、1993年/ちくま学芸文庫、2016年2月)。第6回倫雅美術奨励賞受賞
  • 『日本の美術 365 歌麿写楽』(至文堂、1996年)
  • 『新潮日本美術文庫(14) 浦上玉堂』(新潮社、1997年)
  • 『もっと知りたい 伊藤若冲 生涯と作品』(東京美術「アート・ビギナーズ・コレクション」、2006年、改訂版2011年)
  • 『日本の美術 484 祭礼図』(至文堂、2006年)
  • 『日本美術史』(放送大学教育振興会、2008年、改訂版2014年)
  • 『国宝の美 41 風俗画』(朝日新聞出版、2010年)

編著[編集]

  • 『講座日本美術史 第1巻 物から言葉へ』(東京大学出版会、2005年)
  • 『講座日本美術史 第3巻 図像の意味』(東京大学出版会、2005年)

注釈[編集]

  1. ^ 問題文の冒頭は次のとおり(放送大学はホームページに公開する際この部分を削除した)。
    現在の政権は、日本が再び戦争をするための体制を整えつつある。
    平和と自国民を守るのが目的というが、ほとんどの戦争はそういう口実で起きる。
    1931年の満州事変に始まる戦争もそうだった。それ以前から政府が言論や報道に対する統制を強めてきた事実も想起して、昨今の風潮には警戒しなければならない。
    表現の自由を抑圧し情報をコントロールすることは、国民から批判する力を奪う有効な手段だった。
  2. ^ 佐藤康宏 「日本美術史不案内78 政治的中立」『UP』2015年10月号(通巻516号)、一般財団法人東京大学出版会、2015年10月5日、pp.44-45。
  3. ^ 放送大学、単位認定試験で“偏向”問題を出題「現政権は再び戦争を始めるための体制…」指摘受けサイトから削除1/22/2産経新聞2015年10月20日
  4. ^ 放送大学:政権批判の問題文削除 単位認定試験「不適切」 毎日新聞2015年10月20日。 佐藤康宏「日本美術史不案内80 放送大学で学ぶ 『UP』518号、2015年12月 。 佐藤康宏「放送大学試験問題文削除事件」『法学セミナー』 741号、2016年10月

関連項目[編集]