企業戦士YAMAZAKI

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

企業戦士YAMAZAKI』(きぎょうせんしヤマザキ)は、富沢順原作の漫画、及びそれを原作としたオリジナルビデオOVA1992年から1999年まで、集英社の『スーパージャンプ』に連載されていた。単行本は全12巻。

概要[編集]

過労死したサラリーマンの尾崎達郎が脳と皮膚を戦闘型サイボーグへ移植されて蘇り、企業戦士の山崎宅郎として日夜ビジネスという名の戦場に挑む。連載当時の現実世界と同じく、バブル崩壊直後の不況下の日本を舞台としている。

物語は主に1話完結形式で、仕事や人間関係など何らかの悩みを抱えたゲストキャラクターのいる企業へ派遣された山崎が職場の雰囲気に一喝しつつ、画期的な新商品や新企画を提案、それらの開発過程においての困難や障害、さらには競合他社の企業戦士の妨害(襲撃)を経て、ゲストキャラクターが自己の葛藤に対しての答えを導き出したところで山崎は業務を完遂し、次の派遣先へ去っていく、という流れが定番である。

登場人物の外見は、連載当時に人気のあった芸能人や著名人をモデルにしたものが多い。特に敵対する競合他社の企業戦士に関しては、外見がほぼそのままということもしばしばであった。

山崎が各回の登場人物に話す台詞はフリーライター・漫画評論家の中野晴行に「名言」として注目されており、「企業セミナーの講師になったらきっと大成功するだろう」と高評されている[1]。また、ダ・ヴィンチニュースの「がんばる企業戦士が記憶に残る小説・マンガランキング」では第8位を記録している[2]

ストーリー[編集]

NEO=SYSTEM社が派遣する凄腕の派遣社員・山崎宅郎は、ビジネスの達人として名高い人物である。高額な報酬と引き換えに短期間で業績を回復させるほどの猛烈な働きぶりは半ば伝説となっていたが、その人間離れした能力には秘密があった。NEO=SYSTEM社のみならず、凄腕派遣社員を抱える人材派遣会社には、秘密裏に「企業戦士(ビジネス・コマンドー)」と呼ばれるサイボーグ戦士たちが存在しており、山崎もその1人である。企業戦士は、最先端技術で作られた機械の身体に過労死したエリートビジネスマンの脳を移植された、文字通りのビジネス・マシーンだったのだ。しかし、生身の人間を凌駕する能力を持つ一方、移植された脳が徐々に拒否反応を起こして腐敗し、わずか数年で死に至る。短い余生を享楽的に過ごすために強引な手段もいとわない他の企業戦士に対し、山崎は遺された妻子のため、そして自ら理想とした「ビジネスの王道」を守るため、日夜戦い続ける。

企業戦士[編集]

一心不乱に仕事を行うサラリーマンを指す語句「企業戦士」を、本作では文字通りの企業のために戦う「戦士」として、サイボーグにあてている。山崎の派遣先と競合する敵企業戦士はビジネスが行き詰まると山崎を亡き者にして解決を図ろうとするのがお約束であり、山崎は戦闘モードにチェンジして説教しつつ敵を撃破する。

敵企業戦士の武器は荒唐無稽ながらもSF的でシリアスなものだが、山崎の必殺技は往年の特撮ヒーローやロボットアニメ、時事ネタなどを扱った、パロディやお笑い要素が強いギャグ漫画的なもので、かつ毎回のように必殺技が変わる。

登場人物[編集]

キャストはオリジナルビデオ版のもの。OVA版のキャストについては#OVAを参照。

山崎 宅郎(やまざき たくろう) / 尾崎 達郎(おざき たつろう)
演:イッセー尾形
山崎は偽名、尾崎は本名であり、かつてのあだ名は「オっさん」。かつて集英商事の社員だったが、旧ソ連での事業中に過労死したため、遺された家族に少しでも送金しようと、企業戦士として再生する。数々の経営不振に陥った企業を再生させた実績を持ち、ビジネスの達人と評される。仕事に厳しく一切の妥協を許さない最強の特A級企業戦士であるが、実は山崎としての戸籍が用意されておらず、そこから正体の露見につながったこともある。
仕事に対しては辣腕を振るうが、「ビジネスは人なり」という信念を持ち、後進の育成や仕事にかける情熱に人一倍こだわるがゆえ、あらかじめお膳立てしたり答えを用意しておきながらも後進の成長を促す目的でプランを敢えて不完全な形で出したり、他者を試すような行動に出ることもある。数々の商品をヒットさせるのも、商品を通じて人と人とのつながりを確認したいという想いからである。そのため、余計な戦闘にまきこまれることもしばしばで、毎回破損し続けることから維持費が膨大になっている。眼鏡をヤマザキ=アイ(サングラス状の変換アイテム)に交換することで、戦闘モードに切り替えられる。
女性とは戦えない(戦わないという信念を持っている)ため、敵企業戦士が女性の場合は一方的な攻撃を受けることになるが、なんらかの理由(多くは味方社員や倫子の協力)で顔面皮膚が破損して機械の顔が露出すると「もう女性ではない」「そんな(姿を晒されて平気な)女性はいない」と、普通に戦えるようになる。
原作での外見は、イッセー尾形が一人芝居などでよく演じているサラリーマンをモデルにしており、実写版での彼の出演につながっている。
ヤマザキ
戦闘モード変換後の山崎。眼鏡を変えただけで基本的にビジネススーツのまま。身体のあちこちから必殺武器が出るほか、キックやパンチ・敵の攻撃を反射する技などを駆使して敵を葬る。複数回用いられた必殺技に「名刺スラッシュ」がある。
サンダーヤマザキ
敵の攻撃で破損したヤマザキ=アイの代わりに、拒絶反応を抑えるニューヤマザキ=アイで変身した超戦闘モード。髪が帯電する。第20話から登場。
ヤマザキX3(エックススリー)
拒絶反応と幾多の戦いで疲弊した結果、モード変換ができなくなり破壊されたヤマザキをリニューアルした最新戦闘モード。ヤマザキ=アイに大型のデコレーションが増えている。第48話から登場。
ヤマザキGT(ジーティー)
拒絶反応により自爆したために廃棄処分となりかけたヤマザキが復活した、最終形態。ヤマザキ=アイが曲面を主体とした新たなデザインになった。
鹿島 倫子(かしま りんこ)
演:菅野美穂
家出中の不良少女。第3話から登場し、山崎の押しかけ助手としてレギュラー出演。現代の若者として、ヤマザキが派遣される会社の人材や商品について忌憚のない感想や意見を述べることが多い。父はインター石油の専務であり、冷徹な仕事人間だった。そのため、家族が崩壊したことを恨み父への反発から素行不良となっていたが、山崎と同行することで人間的に成長してゆく。
最終的にはカウンセラーに自分の道を見出し、終盤ではそれになるための勉強を始めている。
貴理香(きりか)
山崎をはじめとする数々の企業戦士を生み出してきた、NEO=SYSTEM社の女性エンジニア。実はAX電気工業社長の娘でもあるが、父が愛人に走って母を捨てたことから両親が離婚して母が自殺したため、姓を名乗らない。
当初はビジネスライクなクールビューティーだったが、残り少ない命を家族のために使う山崎の姿にやがて心を打たれ、最後は彼の理想に殉じて身を挺し、山崎を救う。
尾崎 香織(おざき かおり)
山崎宅郎(尾崎達郎)の妻。元は集英商事のOL。過労死した夫が企業戦士として生きていることは知らず、今は娘と2人で暮らしている。山崎が企業戦士として戦うことで得られる高額の報酬は、遺族年金として香織たちのもとへ渡っているが、それに頼りきりにならずに小さな料理教室を開いている。
尾崎 実里(おざき みのり)
山崎宅郎(尾崎達郎)の娘。父親のことはほとんど覚えていないが、グレたりすることもなく成長している。
黒崎 卓二郎(くろさき たくじろう)
最終話までの山崎の全業績データを入力されたレプリカ。容姿はハイライトのないサングラス以外は山崎と同一。NEO=SYSTEM社が次期主力派遣社員として生み出した、心を持たない企業戦士であり、クロサキ=アイによって戦闘モード「クロサキ=デビル」になる。

山崎の新商品・新企画[編集]

山崎が派遣先で立案・開発するさまざまな新商品・新企画は、いかにも漫画風の発案に過ぎないものから、実現可能なものまで幅広く登場する。中には実際に似たような商品が開発されたり、より洗練された形で世に出たものもある。また、連載が約7年もの長期に渡ったために現実の社会状勢の変化も著しく、例えば連載開始当時の1990年代初頭には携帯電話は一般層へ普及していなかったが、連載終了当時の同年代末期には高校生くらいの世代まで普及する兆しが見えていた頃であった。そのため、連載中にはまだ市販されていなかったものが単行本発売時には市販されていたという例の際、読者から既存の製品であるという旨の指摘が入ったこともあった。その一方、実現の可能性がありそうなものでも実現に至らなかった場合があるほか、作中で山崎が否定した概念の商品が現実では人気商品や定番普及商品となった例もある。

以上の事情については、最終巻のあとがきで作者がコメントしている(特にワイドテレビについては、作中で山崎が否定したものの、後に作者自身が買ってしまったとのことである)。

  • カードカメラ(薄型のデジタルカメラ。メモリーにはMDを使用。現在ではSDメモリーカードを使用する小型デジカメ、スマートフォンが普及している)
  • 燃やせる缶
  • スーパーマーケットのデリバリーサービス(ネットスーパーとして、作中よりもより進歩した形で実現)
  • ゴーグル型テレビ(ヘッドマウントディスプレイとして、作中での登場とほぼ同時期に製品が発売される)
  • 携帯型電子新聞(タブレット端末によるネットへの接続で、作中よりも広範囲で使える機器として実現)
  • 尿検査機能付き便器
  • アロマ文具
  • 環境に優しい洗剤(シュガー酸エステル製の、摂取しても人体に完全無害な台所用粉末洗剤。さすがに飲用は出来ないが、現実でも自然派志向洗剤が発売されている)
  • 残留農薬を変色させるスプレー
  • 出張フレンチシェフ派遣システム(若干形態はことなるがケータリングサービスが普及した)
  • 豪邸ホテル
  • 写音機(こどものおもちゃレコメール。子供向けのトイカメラや録音装置なども今日では普及している)
  • 自動録画機能つきテレビ(作中では固定式かつ非円形型のMOを使用。現実にはHDD内蔵の録画テレビとして実現)
  • 一般の自転車に後付けして電動アシスト自転車化するモーター(作中では将来的に電気自動車分野に参入する布石とされた。この製品そのものは実現していないが、非自動車メーカーによる電気自動車製造への新規参入は実現している)

単行本[編集]

2006年には電子書籍化されている[3]

オリジナルビデオ[編集]

1995年3月24日にJSDSS(ジーダス)から発売された。VHS、90分。キャストは#登場人物:キャストを参照。

2008年4月25日にはDVD化された[4]

スタッフ
  • 原作:富沢順
  • 企画:末吉博彦、円谷粲
  • プロデューサー:伊藤靖浩、岩田靖浩、今井朝幸
  • 監督:服部光則
  • 脚本:佐々木哲也
  • 撮影:須藤昭栄
  • 製作:須崎一夫

OVA[編集]

1997年10月25日ハピネット・ピクチャーズから一般向けに発売された後、2015年現在はオフィスCHKのウェブサイトにて通信販売されている[5]。VHS、45分[6][7]

内容は原作第3話「LONG DISTANCE CALL」が下敷きとなっている。

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

主題歌[編集]

主題歌「sweet」[7]
作詞・歌:Romi / 作曲:松本理恵 / 編曲:葦澤伸太郎
イメージソング「Ring a Ding(倫子のテーマ)」[7]
作詞:水沢晶子 / 作曲:萩原渚 / 編曲:菊池和久[8] / 歌:水野あおい

出典[編集]