フリーランス

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フリーランス: freelance)は、特定の企業団体組織に専従しておらず、自らの技能を提供することにより社会的に独立した個人事業主もしくは個人企業法人である。日本では『自由業』『自由職業』[1]『フリーランス』と呼ばれる。請け負った業務を実際に遂行する本人はフリーランサーフリーエージェントと呼ばれる。

概要[編集]

単発の仕事として様々な仕事はするものの、その仕事を引き受ける都度契約を結ぶという形態をとる請負であり、小説家芸能人など個人の能力によって成果が決まる職種に多いが、大工プログラマなどの技術者、漁師のような古典的な職業も存在する。

派遣会社と契約している派遣社員は、派遣会社に属する従業員と見なされるため、フリーランサーではない。フリーランスという言葉には、自営業・自由業・個人企業(合同会社、パパママ法人などと呼称される中小事業者)等の複数の法制度が混在しているため、福利構成や税制度が一律に提供できず、また実態を把握しにくいという社会的な課題がある。

収入は、本人の営業力と業務遂行能力によって決定され、同業の会社員よりも高収入を得る者がいる一方で全く仕事が無いという状況もあり、収入が不安定なためローンクレジットカードの契約では不利になりがちである。このため公務員や会社員よりも不安定な働き方とされている。

インターネットが浸透してきたことで、フリーランスの増加や社会の構造変化により、フリーランス化や社会回帰が取り上げられるようになった。

2000年アメリカの政策評議会において公式レポートが提出された。アメリカのフリーランスの実態を調査したそのレポートは「全米国内の就業人口4200万人のうち、1300万人・就業人口の4人に1人が、何らかの形態でフリーランサーとして就労している」[2]という内容であった。

日本国内におけるフリーランス人口の公的調査は、1990年代後半以降、明確なフリーランスへの職業分類としての再定義が行われておらず、正確な現状を把握することは難しい。当時の調査では「自由業者の数が 200万人から230万人・事業所の登録数600万ヶ所以上」との数字があるが、これは、当時の日本国内の就業人口の40分の1程度である。

民営会社に依る調査として、独自の「フリーランス実態調査[3]」が2010年代後半から実施されているが、「全国の20-69歳男女(3,096人)を対象」[4]としており、統計調査としての母体数は少ない。内容は「広義のフリーランスの推計経済規模が初の20兆円を超え、日本の総給与支払額の10%を占める[5]」という経済規模の提示に対して「広義のフリーランス個人の平均報酬は186万円となり、昨年比12%増加傾向[6]」と続き、フリーランス人口ひとりへの所得配分率と総経済規模が矛盾しており、生活水準としての国内最低給与水準には達していない事実が社会課題、クラウドソーシング等のインターネット事業者を経由した単価下降の傾向、所得配分比率の手数料が阻害原因等として伺われる結果となっている。

「日本における広義のフリーランス人口は前年に比べ横ばい、日本の労働力人口に対して17%を占めるという割合[7]」となっているが、日本国内の現在労働力人口の「5人に1人以上」という設定値には、クラウドソーシングサイトへのアカウント開設者を主体対象とした調査母体である背景が予測されるため、「副業(本業・副業を区別していない労働者を含む)フリーランスの人口は744万人、経済規模は7兆8,280億円と8兆円近い規模になり、報酬は堅調に増加し、業務委託ベースのパラレルワーカー数が伸長している傾向にあります。[8]」という最終記述への、公的な中立体による調査による精緻化を行うことで、副業解禁への政策、同一労働同一賃金制度の改定による労働人口の流動化について、正しく実態と社会福祉費用を把握していく必要がある。

語源[編集]

英語freelance」の語源は、中世に遡る。中世は貴族は主力となる騎士を中心とした封建軍の補強として、戦争の度に傭兵団(フリーカンパニー)と契約して戦争に臨んだ。この中には正式に叙勲されていない騎士黒騎士)や傭兵団を離れ戦場に臨む兵士がいた。当時は槍騎兵 (lancer) が自分の従卒として歩兵や弓兵を連れている形態が多かったため、契約の際には槍の本数=1戦闘単位としてカウントされた。まだ敵勢力と契約を交わしていない (: free) 戦闘単位 (: lance) を指す言葉として「freelance」が用いられるようになった。当時は兵士を指していた「free lancer」が、近世以降組織を離れて働く状態を指す言葉に変化した。フリーランスのフリー(: free)は、“拘束されない”という意味で、無償の労働者という意味ではない。英語でこの表現が初めて用いられたのはスコットの『アイヴァンホー』である[9]

日本では略してフリーと呼ばれることもある。

[編集]

日本の税制上におけるフリーランス業の収入は営業等所得として、経費を差し引いた分から決算して確定申告する必要がある。また、その収入が所得税法第204条に掲げる報酬等に該当する場合は所定の金額(原則として100万円以下であれば支払額の10%)が源泉徴収される。

芸能事務所に所属する芸能人など、ほぼ全員が自身のマネジメントを所属事務所に委託している立場にあるため所属事務所から支払われるギャラは「事業所得」となり、専属芸能人であってもフリーランサー同様自分で確定申告を行う必要が生じる契約となっていることもある。ただし自身を代表とする法人を設立し、法人と芸能事務所の間で契約する形を取っている場合、タレント業収入は法人のものとなり、自身はその法人から役員報酬という形の給与所得を受け取ることとなる。

保険・年金[編集]

日本では国民健康保険国民年金に加入することが求められるが、職業によっては文芸美術国民健康保険組合のような職業団体が結成した国保組合の保険に加盟することもある。ただし個人企業法人(合同会社など代表が同一人のみ、純粋親族企業、など)として法人を組成している、いわゆる「法人成り」をしている自営業者は、社会保険制度に加入を求められ、会社法人の制度と同一の適用が行政運用から先行されているケースが混在している。社会構造として、法人と個人間の異なる制度あるいは一方の理解においてフリーランスの実態を捉える議論には注意が必要とされる。

保護[編集]

日本においては、フリーランスは個人事業主もしくは個人企業法人であることから、労働者を保護する労働基準法の適用対象とはされず、事業者間の適切な取引を守る独占禁止法の適用対象とみなされる[10]。そのため、企業によるフリーランスの囲い込みは優越的地位の濫用として、同業者間での引き抜き防止協定はカルテルとして独禁法違反となる[11]

フリーランス業の例[編集]

国税局では自由職業の例として、医師弁護士作家俳優職業野球選手、外交員、大工を挙げている[1]

医療[編集]

  • 開業医(個人医院を経営する医師)
  • あはき業

報道・放送・マスメディア分野[編集]

以下の「フリー」は前述のとおり「フリーランス」の略

芸術分野[編集]

技術職(技術者)・研究職[編集]

スポーツ[編集]

  • プロ野球選手(年ごとに球団と契約する)
  • JRA所属騎手(厩舎に所属しないフリー騎手
  • プロレスラー(現在、プロレス団体乱立に伴って経営難に陥る団体が多くなり、人件費を抑えるため所属レスラーを必要最小限とし、団体に所属しない実力のあるレスラーとシリーズ毎に契約して興業を行うことが多くなっている

農林水産業[編集]

その他[編集]

  • 保険外交員(保険会社と契約している)
  • 講師業(予備校や塾と契約している者とフリーランスの者がいる)
  • ディスカッションパートナー(壁打ち相手)
  • 日雇い期間労働者(業務単位ごとに企業と契約する形態)
  • バイク便ライダー、自転車便のメッセンジャー(被雇用者との区別は曖昧だが、バイク便会社によっては荷主に登録ライダーを斡旋するという形態をとる)
    • ただし2007年平成19年)9月27日、日本の厚生労働省は特定のバイク便業者と契約を行うライダー(フリーランス)を正式に労働者とみなす判定を下した)

自営業の延長的な業態[編集]

契約ごとにサービスを提供

脚注[編集]

  1. ^ a b 手順2 収入金額等、所得金額を計算する|確定申告に関する手引き等 - 国税庁
  2. ^ Boyd, David W. (2002年1月). “Free Agent Nation: How America's New Independent Workers Are Transforming the Way We Live, Daniel H. Pink Daniel H. Pink . Free Agent Nation: How America's New Independent Workers Are Transforming the Way We Live. New York. Warner Books, Inc.. 2001. 356ISBN: 0-446-52523-5. $24.95.”. Journal of Forensic Economics 15 (1): 99–100. doi:10.5085/0898-5510-15.1.99. ISSN 0898-5510. https://doi.org/10.5085/0898-5510-15.1.99. 
  3. ^ “フリーランス実態調査 2018年版を発表 | ランサーズ株式会社” (日本語). ランサーズ株式会社. (2018年4月4日). https://www.lancers.co.jp/news/pr/14679/ 2018年5月29日閲覧。 
  4. ^ “フリーランス実態調査 2018年版を発表 | ランサーズ株式会社” (日本語). ランサーズ株式会社. (2018年4月4日). https://www.lancers.co.jp/news/pr/14679/ 2018年5月29日閲覧。 
  5. ^ “フリーランス実態調査 2018年版を発表 | ランサーズ株式会社” (日本語). ランサーズ株式会社. (2018年4月4日). https://www.lancers.co.jp/news/pr/14679/ 2018年5月29日閲覧。 
  6. ^ “フリーランス実態調査 2018年版を発表 | ランサーズ株式会社” (日本語). ランサーズ株式会社. (2018年4月4日). https://www.lancers.co.jp/news/pr/14679/ 2018年5月29日閲覧。 
  7. ^ “フリーランス実態調査 2018年版を発表 | ランサーズ株式会社” (日本語). ランサーズ株式会社. (2018年4月4日). https://www.lancers.co.jp/news/pr/14679/ 2018年5月29日閲覧。 
  8. ^ “フリーランス実態調査 2018年版を発表 | ランサーズ株式会社” (日本語). ランサーズ株式会社. (2018年4月4日). https://www.lancers.co.jp/news/pr/14679/ 2018年5月29日閲覧。 
  9. ^ free-lance - Online Etymology Dictonary
  10. ^ タレントや選手の「移籍制限」契約、業界に見直す動き”. 朝日新聞 (2018年2月15日). 2018年2月17日閲覧。
  11. ^ フリーランス、独禁法で保護 企業の過剰な囲い込み防止”. 日本経済新聞 (2018年2月16日). 2018年2月17日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]