ミズワラビ

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ミズワラビ
Ceratopteris thalictroides.JPG
分類
: 植物界 Plantae
: シダ植物門 Pteridophyta
: シダ綱 Pteridopsida
: シダ目 Pteridales
: ホウライシダ科 Adiantaceae
: ミズワラビ属 Ceratopteris
: ミズワラビ C. thalictroides
学名
Ceratopteris thalictroides (L.) Brongn.
和名
ミズワラビ

ミズワラビ(水蕨、学名:Ceratopteris thalictroides)は、シダ植物門ホウライシダ科に属するシダである。分類によってはイノモトソウ科[1]ミズワラビ科 (Ceratopteridaceae) とする場合もある。シダとしては珍しい水草で、水中、あるいは湿地に生える。熱帯地方に広く分布し、日本では本州中部以南に分布する。水田によく生えたが、現在では見ることが少ない。

分類[編集]

Masuyama & Watano (2010) は従来一括りとされてきた Ceratopteris thalictroides よりミズワラビ(学名: Ceratopteris thalictroides)、Ceratopteris gaudichaudii var. gaudichaudiiヒメミズワラビ(学名: Ceratopteris gaudichaudii var. vulgaris[1]、新変種)、Ceratopteris oblongiloba(新種)、Ceratopteris froesii を細分したが、これらを Hassler (2018) は以下のような扱いとしている。

Masuyama & Watano (2010) Hassler (2018)
ミズワラビ Ceratopteris thalictroides (L.) Brongn. C. thalictroides Brongn. subsp. thalictroides
C. gaudichaudii Brongn. var. gaudichaudii C. thalictroides subsp. gaudichaudii (Brongn.) Fraser-Jenkins & Pariyarシノニム
ヒメミズワラビ C. gaudichaudii Brongn. var. vulgaris Masuyama & Watano
C. oblongiloba Masuyama & Watano 独立種
C. froesii Brade C. thalictroides Brongn. subsp. thalictroides のシノニム

分布[編集]

アメリカ合衆国フロリダ州)、アンゴラインドケーララ州タミル・ナードゥ州)、ウガンダエクアドルエチオピアエルサルバドルオーストラリアガーナガイアナガボンカメルーングアテマラグアムコートジボワールコスタリカコロンビアコンゴ民主共和国ザンビアシエラレオネジャマイカジンバブエスーダンスリナムスリランカスワジランドセイシェルセネガルソマリアソロモン諸島タイタンザニア中華人民共和国甘粛省広東省)、トーゴナイジェリアナミビアニカラグア、日本(九州、本州、四国)、ネパールパナマパプアニューギニアフィリピンプエルトリコブラジルフランス領ギアナブルンジベトナムベネズエラマダガスカルミクロネシア連邦南アフリカ共和国クワズール・ナタール州)、南スーダンメキシコモザンビークリベリアに分布する[2]

熱帯では多年生であるが、日本の本州では一年草として、夏に胞子をつけると枯れてしまう生活をしている場所もある。

特徴[編集]

根茎はごく短い。葉は栄養葉と胞子葉の二型に分化する。栄養葉は二回ないし三回羽状複葉で、小葉は丸みを帯びた三角形だが、葉全体が黄緑色で柔らかく、主軸は多肉質で一般的なシダの葉とはかなり印象が異なる。水中ではさらに葉が薄くなる。胞子葉は小葉が厚みのある線形になっている。大きさは40cmにも達するが、寒冷な地域では小型化する。ほとんど葉が分かれないものもある。

葉の先端から新芽が出て新しい株を生じる場合もある。熱帯魚の水槽内では、沈水性の水草として育てる場合が多いが、水面に葉を浮かべ、水中に根をぶら下げた浮草の形でも育つ。水中では胞子葉はつかない。

利用[編集]

ミズワラビの一種ウォータースプライト

よく育つ地域では葉を食用にする。日本でも用いられたようだが、現在では除草剤のためか、他の多くの水田雑草と共に姿を消している場所が多く、食用とされるほどには手にはいらない。

より多く見かけるのは熱帯魚の水槽の中である。熱帯魚用の水草としてよく販売されており、ウォータースプライト(Water Sprite)の名で流通している。あるいは水面に浮かせてその根を小魚の産卵場所に使う場合もある。より葉のきめの細かいタイプがベトナム産とされる。

諸言語における呼称[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ a b c 米倉・梶田 (2003-).
  2. ^ a b Irudayaraj (2011).

参考文献[編集]

英語:

  • Hassler, M. (2018). World Ferns: Checklist of Ferns and Lycophytes of the World (version Apr 2018). In: Roskov Y., Ower G., Orrell T., Nicolson D., Bailly N., Kirk P.M., Bourgoin T., DeWalt R.E., Decock W., De Wever A., Nieukerken E. van, Zarucchi J., Penev L., eds. (2018). Species 2000 & ITIS Catalogue of Life, 24th September 2018. Digital resource at http://www.catalogueoflife.org/col. Species 2000: Naturalis, Leiden, the Netherlands. ISSN 2405-8858. 2018年10月31日閲覧。
  • Irudayaraj, V. (2011). Ceratopteris thalictroides. The IUCN Red List of Threatened Species 2011: e.T168862A6541936. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2011-1.RLTS.T168862A6541936.en. Downloaded on 25 October 2018.
  • Masuyama, Shigeo; Watano, Yasuyuki (2010年). “Cryptic Species in the Fern Ceratopteris thalictroides (L.) Brongn. (Parkeriaceae). IV. Taxonomic Revision”. Acta Phytotaxonomica et Geobotanica 61 (2): 75-86. doi:10.18942/apg.KJ00009281704. ISSN 1346-7565. 

日本語:

  • 岩槻邦男編『日本の野生植物 シダ』(1992年、平凡社)
  • 光田重幸『しだの図鑑』(1986年、保育社)
  • 米倉浩司・梶田忠 (2003-).「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList),http://ylist.info (2018年10月31日).