ケーララ州
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| ケーララ州 കേരള Kerala | |
ケーララ州の位置 インド内) | |
| 測地系: 北緯8度30分27秒 東経76度58分19秒 / 北緯8.5074度 東経76.972度 | |
| 国 | |
| 地方 | 南インド |
| 行政区 | 14 |
| 州都 | ティルヴァナンタプラム |
| 最大都市 | コーチ |
| 州首相 | O・チャンディ |
| 人口 • 密度 |
33,387,677 (13位) (2011年現在) • 986/km2 |
| 識字率 | 90.92% |
| 公用語 | マラヤーラム語 |
| 標準時 | IST (UTC+5:30) |
| 面積 | 38,863 km2 |
座標: 北緯8度30分27秒 東経76度58分19秒 / 北緯8.5074度 東経76.972度 ケーララ州(マラヤーラム語: കേരള、英語: Kerala)は、インドの州の一つであり、南インドを構成する州の一つに数えられる。東にタミル・ナードゥ州と接し、北にカルナータカ州と接する。州都はティルヴァナンタプラム。マラバール海岸によりインド洋に臨んでおり、西にはラクシャディープ諸島が、南にはモルディブの島々が、海の中に浮かんでいる。旧フランス領でポンディシェリ連邦直轄領の一部となっているマーヒが、ケーララ州の一部を切り取るように存在している。
歴史[編集]
メソポタミアのシュメール時代から香辛料貿易の中心地として記録されている[1][2]。エジプト、フェニキア、中国、バビロニアなどの地方からの人々でにぎわいを見せた。
8世紀の代表的な思想家としてシャンカラが出た。ケーララはアーユルヴェーダの発祥の地としても知られる。
1102年にチョーラ朝が北部に侵攻してチェーラ朝が滅ぼされ、コーチン王国が興った。
大航海時代の1498年にポルトガル人が訪れ上陸し、拠点を築いた。その後続いてオランダ、イギリス、フランスからも相次いで上陸し、象牙、チーク材、香辛料などを求めるヨーロッパ人との交易が開始され、今日は多文化共生となっている。ケーララ州の沿岸はマラバール海岸と呼ばれコショウの原産地である。14世紀から17世紀まで多くの数学者や天文学者を生んだ(ケーララ学派、マーダヴァ)。マルコ・ポーロが上陸したのは、コバラム近くのマラバール海岸である。明朝の鄭和もカリカット(コーリコード)に来航し[3]、15世紀にはヴァスコ・ダ・ガマが上陸した[4]。古代イスラエルのソロモン王も船を寄せたとの伝説もある[5]。1661年、オランダ領マラバール(1661年 – 1795年)が出来る。現在も海運業・造船業が盛んであり、インド初の国産空母ヴィクラントの建造もコーチの造船所が請け負っている。
18世紀初頭、南部にトラヴァンコール王国(1729年 - 1947年)が建国された。
1967年から1970年にかけてKunnikkal Narayananが毛沢東主義のナクサライト(Naxalite)をケーララ州で率いていた。
1991年の湾岸戦争時にサッダーム・フセイン大統領を支持する人々がサッダーム・ビーチという名前に変えた海岸の村がある。
2018年のモンスーン時には、例年にない集中豪雨に見舞われ洪水のほか土砂災害が多数発生。州内で324人以上の死者を出したほか、31万人以上が避難を余儀なくされた[6]。
地理[編集]
インド半島南西部のアラビア海に面した南北に長く延びた州。多くの川がそれぞれに支流を伸ばし、複雑な海岸線を形成している。南北590kmの海岸線を有し、東西の幅は11km~121 km。自然地理は東部の平均高度1500mに達する西ガーツ山脈と西部の海岸平野、中間部の紅茶産地であるニルギリなどの丘陵地帯に区分される。
気候は熱帯海岸性で多雨で知られる。夏の南西モンスーン、冬の北東モンスーンによるもので、年間降水量2900㎜に達する。気温は年間を通じ最高28~35度C、最低22~25度Cである。
政治[編集]
政治的には1957年に世界的にも珍しい普通選挙を通じた共産党政権(インド初の非インド国民会議州政権)が発足してE・M・S・ナンブーディリパドが初代州首相に選出されて以来、インド共産党マルクス主義派が与党になることも多い(かつてはインド共産党も)。
経済[編集]
インド初で最大のIT特区でもあるティルヴァナンタプラムテクノパークがつくられており、Linuxやフリーソフトウェアを積極的に推進し、リチャード・ストールマンからアジアで最初に提携する州に選ばれた[7][8]。ティルヴァナンタプラムはインドの宇宙開発の発祥地でもある[9]。また、電子政府化も進んでおり、「インドで初めて完全にデジタル化された州」と呼ばれている[10]。
同州は人間開発指数で最高値を記録しており[11]、識字率はほぼ100%[12] に達し、インド初の家族計画政策で人口増加率は最も低く[13]、治安面では殺人率は最も低く[14]、インドでのユニバーサルヘルスケアの先駆け[15] として平均寿命もインドでは最も高く、インドで最も公衆衛生が進んでるとされ[16]、世界保健機関とユニセフからは表彰もされている[17]。ケーララ・モデルは経済学者のアマルティア・センやマブーブル・ハックなどから絶賛されている。
出稼ぎが湾岸アラブ諸国で多く[18]、ドバイに住むインド系の過半数がケーララ出身であるとされる。ドバイ政府とはIT都市スマートシティ・コーチの建設で協力している[19]。
行政区分[編集]
ケーララ州は、14の県(ジッラ ജില്ല)に分けられている。
- マラバール地方
- コーチ地方
- トラヴァンコール地方
この他、以下の大都市は政令指定都市(マハーナガラム മഹാനഗരം ; 「大都市」)に指定されている。
- コーリコード (കോഴിക്കോട് ; Kozhikode) : ポルトガル人上陸の地。旧名: カリカット。
- コーチ (കൊച്ചി) : ケーララ州の商業の中心地で、最大の都市。旧名: コーチン。
- ティルヴァナンタプラム (തിരുവനന്തപുരം) : ケーララ州の州都。旧名: トリバンドラム。
住民[編集]
民族[編集]
主な民族としてはマラヤーリ、en:Adivasi、en:Kerala Iyers、en:Shivalli Brahmins、カンナダ人、コンカニ人、en:Cochin Sikhsが存在。
言語[編集]
公用語はマラヤーラム語。タミル語、コンカニ語、トゥル語、ヒンディー語、ベンガル語、en:Maldivian language、及び各種Adivasi(アーヂヴァーシー)語が使用されている。
宗教[編集]
ヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教、仏教、ユダヤ教、ジャイナ教などと宗教的には多様だが、宗教間の衝突は他の州に比べれば少ないとされる[20]。
ナスラーニーにアッシリア人が合流した東方教会系のカルデア・シリア教会がある。
インドで最も古いモスクとシナゴーグや聖トマス教会[21][22][23]、ヴィシュヌを奉っていることで有名なパドマナバスワミ寺院はケーララにある。
モナザイト[編集]
ケーララ州には先カンブリア時代の岩石が広く分布し、岩石に含まれるモナザイトを産出する海岸が250kmの長さに及ぶ。これがインドを世界一のモナザイト産出国にし、モナザイトを含む黒い砂浜[24] と共に、世界有数の自然放射線量の地域としても知られている。ケーララ州海岸線付近における1人・1年間あたりの被照射線量は平均3.8mSv、高い地域では20mSv以上に達する[25]。家系内遺伝調査の結果によれば、高線量地域では統計的に有意に生殖細胞由来の点突然変異が高い傾向にある[26][27]。
マラップラム県のKodinhi村では、双子が多いことでも知られており、Krishnan Sribiju医師によれば、原因は不明だが、60年~70年前からみられる傾向だという[28][29]。この現象はKodinhi村に限ったことではなく、ブラジルのCândido GodóiやナイジェリアのIgbo-Oraなどでも双子の高発生率が観測されており、Sribiju医師はブラジルやナイジェリアの医師とコンタクトをとるなど原因の解明に向けて活動を行っており[30]、遺伝学者などからなる調査団はさらに詳細な調査が行われる必要があるとしている[31]。
脚注[編集]
- ^ Faces of Goa: a journey through the history and cultural revolution of Goa and other communities influenced by the Portuguese By Karin Larsen (Page 392)
- ^ Striving for sustainability, environmental stress and democratic initiatives in Kerala(Page 79) ISBN 81-8069-294-9; Author:Srikumar Chattopadhyay, Richard W. Franke; Year:2006.
- ^ Ma Huan: Ying Yai Sheng Lan, The Overall Survey of the Ocean's Shores, translated by J.V.G. Mills, 1970 Hakluyt Society, reprint 1997 White Lotus Press. ISBN 974-8496-78-3
- ^ Death of Vasco Da Gama in Kochi. MSN Encarta Encyclopedia. Archived from the original on 2009-11-01. Retrieved 2006-05-23.
- ^ Ancient Trade in Thiruvananthapuram". Facts You Never Knew about India. University of Stanford. Retrieved 17 October 2006.
- ^ “インド洪水、死者324人に 「過去100年で最悪」 31万人避難”. AFP (2018年8月18日). 2018年8月18日閲覧。
- ^ Kerala logs on to free software
- ^ [1]
- ^ "Government of India,Vikram Sarabhai Space Centre". Vssc.gov.in. Retrieved 2013-11-30
- ^ Kerala becomes India's first 'complete digital state' - Times of India
- ^ India Human Development Report 2011: Towards Social Inclusion". Institute of Applied Manpower Research, Planning Commission, Government of India. Retrieved 17 October 2012.
- ^ 2001年には91%、インドは65%(川島幸司「高い生活指標と不十分な経済」/ 広瀬崇子・近藤正規・井上恭子・南埜猛編著『現代インドを知るための60章』明石書店 2007年 278ページ)
- ^ "Size, Growth Rate and Distribution of Population". Census 2011. Government of India.
- ^ http://ncrb.nic.in/CD-CII2011/cii-2011/Table%203.1.pdf
- ^ The road to universal health care in State
- ^ Sunil Mani; Anjini Kochar (1 January 2006). Kerala's Economy: Crouching Tiger, Sacred Cows. D.C. Books. pp. 121–. ISBN 978-81-264-1359-1. Retrieved 24 September 2012.
- ^ "Kerala Named World's First WHO-UNICEF "Baby-Friendly State"". United Nations Foundation. August 2002.
- ^ Govind, Biju. "GCC residency cap may force lakhs to return". The Hindu. Retrieved 18 November 2012.
- ^ SmartCity Kochi
- ^ Heller P (4 May 2003). Social capital as a product of class mobilization and state intervention: Industrial workers in Kerala, India. University of California. pp. 49–50. Retrieved 25 February 2007.
- ^ Susan Bayly (2004). Saints, Goddesses and Kings. Cambridge University Press. p. 40. ISBN 978-0-521-89103-5 2017年6月5日閲覧。.
- ^ Jonathan Goldstein (1999). The Jews of China. M.E. Sharpe. p. 123. ISBN 978-0-7656-0104-9 2017年6月5日閲覧。.
- ^ Nathan Katz (2000). Who Are the Jews of India?. University of California Press. p. 245. ISBN 978-0-520-21323-4 2017年6月5日閲覧。.
- ^ [2]
- ^ インドの高自然放射線地域における住民の健康調査 (09-02-07-02) - ATOMICA -
- ^ Lucy Forster et al. (2002年). “Natural radioactivity and human mitochondrial DNA mutations”. PNAS 99 (21): 13950-13954. doi:10.1073/pnas.202400499.
- ^ 翻訳:伊澤 (2011年5月3日). “自然放射線とヒトミトコンドリア遺伝子の突然変異”. 名古屋生活クラブ. 2011年5月28日閲覧。
- ^ “Indian village with 250 sets of twins”. Telegraph. (2009年5月11日) 2011年6月23日閲覧。
- ^ “Twin town: The Indian village where there are 220 sets of twins has doctors baffled”. Daily Mail. (2009年7月15日) 2011年6月23日閲覧。
- ^ Jeremy Laurance (2009年5月12日). “Seeing double: the village in deepest Kerala where twins have taken over”. The Independent 2011年6月23日閲覧. "The village of Mohammad Pur Umri, near Allahabad, also has a high rate identified five years ago, as does Candido Godoi, a village in Brazil promoted as the twins capital of the world. The highest rate in the world is believed to be among the Nigerian Yoruba tribe which has a twinning rate of 45 per 1,000 births. "I see understanding the high twinning rate in Kodinhi as a public health challenge," said Dr Sribiju. "We are meeting with doctors from Nigeria and Brazil to try to solve this problem."
- ^ “Malappuram village under national genetic scanner”. The Hindu. (2008年11月10日) 2011年6月23日閲覧。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
公式[編集]
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