ペンローズ・タイル
ペンローズ・タイルとは、イギリスの物理学者ロジャー・ペンローズが考案した平面充填形で二種類の菱形によるものである。正多角形を利用した充填の場合、周期的なパターンが現れるが、ペンローズ・タイルは、他の平面充填とは違い周期的なパターンがないため、平面充填しようとすると非周期的な並べ方が強制される非周期的平面充填の一種であり、二種類のみを使う唯一のものである。使用する菱形の形は鋭角72°、鈍角108°のものと鋭角36°、鈍角144°のものである。また、これは等面菱形多面体による空間充填形の二次元の投影図にもなっている。
このペンローズ・タイルは無断でトイレットペーパーの図柄に使われたが、裁判の結果、ペンローズに対する不遜を理由として使用禁止となった。特許となったペンローズ・タイルは、ペンタプレックス社がパズルとして商品化している[1]。また近年、電気剃刀用の網刃として実用化されている[2]。
イスラムのギリータイル[編集]
長い間どうやって作られたのかわかっていなかったギリータイルと呼ばれる中世イスラム建築の幾何学模様が、ペンローズ・タイルになっていることを解明した論文が科学専門誌『サイエンス』(2007年2月)に掲載された[3]。

ギリータイルのパターン
- 建造物に見られる様々なパターン
トルコ、ブルサのグリーンモスクにあるスルタンロッジの通路のインテリアアーチ道
脚注[編集]
- ^ 竹内薫 『ペンローズのねじれた四次元』講談社、1999年、pp. 18-20頁。ISBN 4-06-257260-5。
- ^ ブラウン アクティベーター Xのマルチパターン網刃
その日本特許4137789号 - ^ Peter J. Lu and Paul J. Steinhardt (2007). “Decagonal and Quasi-crystalline Tilings in Medieval Islamic Architecture” (PDF). Science 315: 1106–1110. doi:10.1126/science.1135491. PMID 17322056 .
参考文献[編集]
- 谷岡一郎 『エッシャーとペンローズ・タイル』PHP研究所〈PHPサイエンス・ワールド新書 022〉、2010年6月。ISBN 978-4-569-79062-6。
- Martin Gardner 『ペンローズ・タイルと数学パズル』一松信訳、丸善、1992年7月。ISBN 4-621-03731-5。