ペヌエル

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天使とヤコブの闘い(ウジェーヌ・ドラクロワ画)[1]

ペヌエル(英語:Peniel,ヘブル語:פְּנוּאֵל)は、旧約聖書に登場する地名である。ヘブル語で「神の御顔」の意味である。ヨルダン川の中流のスコテから東に6kmのヤボク川の南岸の地域である。トゥルル・エ・ダハブ(黄金の丘)と呼ばれる二つの近くの廃墟であると言われている。

ヤコブエサウに会う前に神と格闘した場所である。[2] 士師ギデオンミデヤン人と交戦した際、ペヌエルの住民に協力を要請したが、応じなかったので、ギデオンにより、ペヌエルの町は破壊され、住民は虐殺された。

北イスラエル王国の初代ヤロブアム1世は首都としてシェケムを選んだが、東からの侵入者を防ぐためにペヌエルを要塞都市として再建した。

神と角力(すま)えるヤコブ[編集]

ヤコブの膽力は疾くに彼の慓悍なるエサウを呑みしなり。日頃宗教心に富みしヤコブも、尚未だ其の心の底蘊を尽して全能者の前に譲らざるものと見えたり。此に於て神は親らヤコブを襲いて彼が忘れんとする真理を其の肝膽に銘じたり。

不思議なる神使は月澄み、水清くして人の気配全く絶えたるペニエルの露けき草を踏みて、弧身瓢然此の幽渺不測なる乾坤に対し畏るべき我と相見て感慨極りなきヤコブと角力せり。

神は之に由りて彼の注意を促せしなり。神はヤコブが何としても拒絶すること能はざる賓客として来りぬ。見えざるの世界は其の最大なる力の形質の物よりも愈れるの明らかなるを以て現れたり。

ヤコブは事の情を理會すること能はず、死力を出して之れと奮闘せり。其の呼吸の如何に急促しかりしよ。其の満身の汗は如何に流れしよ。斯くて終に天明る頃とはなれり。神の力を認むるは、斯くまでに難きものなるか。


脚注[編集]

  1. ^ 中野京子『中野京子と読み解く 名画の謎 旧約・新約聖書篇』文藝春秋、2012年、82頁。ISBN 978-4-16-375930-2
  2. ^ 創世記32章22節-31節

参考文献[編集]