ヒナノウスツボ
ヒナノウスツボ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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静岡県伊豆半島 2021年9月上旬
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分類(APG IV) | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Scrophularia duplicatoserrata (Miq.) Makino (1906)[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
ヒナノウスツボ(雛の臼壺)[2] |
ヒナノウスツボ(雛の臼壺、学名:Scrophularia duplicatoserrata )は、ゴマノハグサ科ゴマノハグサ属の多年草。別名、ヤマヒナノウスツボ[2][3][4][5]。植物体全体に弱々しい感じがする[4]。
特徴
[編集]地下茎はやや塊状に短く肥大し、やや木質化し、細い根がある。茎はやや角ばった4稜があるが、やや軟弱で毛は無く、高さは40-100cmになり、上部は分枝する。葉は対生し、葉質は薄く、葉身は卵状長楕円形または卵形で、長さ6-11cm、幅3-5cmになる。葉の先端はとがり、基部はやや浅い心形になることが多く、縁にはとがった重鋸歯がある。葉柄にはやや翼があり、長さ1-3cmになる[2][3][4][5]。
花期は7-9月。茎の先に円錐花序をつけ、まばらに多くの花をつける。花柄は細く長く腺毛が散生する。萼は鐘形で、萼裂片は5つに深く裂け、緑色で裂片は卵形または狭卵形で先は鈍頭。花冠は暗赤紫色、長さ6-9mm、ふくらんだ壺形で先は唇形になり、上唇はやや大きく2裂し、下唇は3裂し、下唇の中央裂片は反り返る。雄蕊は4個あって花冠下唇側につき、その上にへら状の仮雄蕊が1個ある。雌蕊は1個で花柱は花外に伸び出す。果実は、長さ6-7mm、幅5-6mmの球形の蒴果になり、胞間裂開する。種子は楕円形でごく小さい[2][3][4][5]。
雌蕊先熟
[編集]雌蕊先熟で、花が開くと花柱が花の外に伸び、受粉して下垂する。この時、自花の葯から花粉は出ていない。その後雄蕊が伸びて葯の縁が裂け、花粉を出す。これによって同一の花からの受粉が避けられる[5][6]。
分布と生育環境
[編集]日本固有種[7]。本州の東北地方南部以西、四国、九州に分布し[5]、山地の日陰の林中に生育する。湿った場所を好み、沢沿いに生えることが多い[4]。
名前の由来
[編集]和名のヒナノウスツボは「雛の臼壺」の意で、小さな壺形の花を臼や壺に見立てたもの[4][5]。1856年(安政3年)に出版された飯沼慾斎の『草木図説』に「ヒナノウスツボ」の名前がある[8]。
種小名 duplicatoserrata は、「重鋸歯のある」の意味[9]。
下位分類
[編集]ナガバヒナノウスツボ Scrophularia duplicatoserrata (Miq.) Makino var. surugensis (Honda) Honda ex H.Hara (1949)[10]、シノニム Scrophularia musashiensis Bonati var. surugensis Honda (1931)[10][11] - 葉は狭卵形、披針形または楕円状披針形で、長さ5-10cm、幅2-3cm、葉柄が長く、腋生の花序がよく発達する。静岡県・長野県・愛知県に分布する[11][7]。1930年に、静岡県高根山、秋葉山で標本が採集されている[11]。
分類
[編集]同属に、似た花をつけるゴマノハグサ、オオヒナノウスツボ、エゾヒナノウスツボ、ハマヒナノウスツボ、サツキヒナノウスツボがある[5]。このうち、山地に生え、花期が夏から秋であるものにオオヒナノウスツボ Scrophularia kakudensis Franch. (1879)[12]がある。同種は茎が角ばり上部にに軟毛が生えることがあり、葉質はやや厚く、鋸歯はとがる。花柄は太く、果実は卵形になり、日当たりの良い湿った草地、湿原、林縁などに生える。それに対し、本種は、茎は角ばるもののやや軟弱で無毛、葉質は薄く、鋸歯は重鋸歯になる。花柄は細く花はまばらつき、果実は球形になり、林中の日陰に生え、沢沿いなどの湿った場所に多い[2][3][4][5]。
ギャラリー
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矮小な個体。葉は対生し、茎は4稜があるがやや軟弱で毛は無い。
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花柄は細く長く、腺毛が生える。花冠は暗赤紫色、ふくらんだ壺形で先は唇形になり、上唇はやや大きく2裂し、下唇の色は3裂し、下唇の中央裂片は反り返る。
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花(果実)はまばらにつき、果実は球形の蒴果になる。
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葉身は卵状長楕円形で、先端はとがり、縁にはとがった重鋸歯がある。
脚注
[編集]- ^ ヒナノウスツボ 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- ^ a b c d e 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.413
- ^ a b c d 『原色日本植物図鑑・草本編I(改訂59刷)』p.154
- ^ a b c d e f g 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1045
- ^ a b c d e f g h 大橋広好 (2017)「ゴマノハグサ科」『改訂新版 日本の野生植物 5』p.94
- ^ 『写真で見る植物用語』p.110
- ^ a b 『日本の固有植物』p.130
- ^ 飯沼慾斎 草木図説前編20巻(11)、コマ番号63/82、国立国会図書館デジタルコレクション-2021年9月14日閲覧
- ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1491
- ^ a b ナガバヒナノウスツボ 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- ^ a b c Honda 1931.
- ^ オオヒナノウスツボ 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
参考文献
[編集]- 北村四郎・村田源・堀勝著『原色日本植物図鑑・草本編I(改訂59刷)』、1983年、保育社
- 岩瀬徹・大野啓一著『写真で見る植物用語』第2版、2008年、全国農村教育協会
- 加藤雅啓・海老原淳編著『日本の固有植物』、2011年、東海大学出版会
- 門田裕一監修、永田芳男写真、畔上能力編『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』、2013年、山と溪谷社
- 牧野富太郎原著、邑田仁・米倉浩司編集『新分類 牧野日本植物図鑑』、2017年、北隆館
- 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 5』、2017年、平凡社
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- Honda M. (1931). “Nuntia ad Floram Japonicae X”. 植物学雑誌 (日本植物学会) 45 (530): 43-45. doi:10.15281/jplantres1887.45.43. ISSN 0006-808X. NAID 130004211239 .
- 飯沼慾斎 草木図説前編20巻(11)、コマ番号63/82、国立国会図書館デジタルコレクション-2021年9月14日閲覧