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パブリック・アイビー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

パブリック・アイビー(英:Public Ivy)は、アメリカ合衆国の名門公立校をさす通称。東部の私立名門校「アイビー・リーグ」と同等の大学経験を提供していると認識されている公立大学を指す非公式な名称である[1]。名称自体は広く知られているがアイビー・リーグのように伝統的に定着した呼称ではなく、どの学校を含めるかもさまざまな意見が出されている[2]

概要

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ハーバード大学プリンストン大学など伝統的な名門私立大学8校で構成される「アイビー・リーグ」に比べると国際的な知名度には劣るが、教育・研究の内容はきわめて優れている教育機関として、とくに州立・市立など公立校から選び出したもの[1]。1985年にイェール大学の入試担当官であったリチャード・モル(Richard Moll)が著書の中で提案したのが最初の例とされる(後述「リチャード・モルのリスト」参照)[1]

入学時の競争率や伝統的な知名度だけでは教育機関の優秀性を測ることはできないというのがモルの問題意識で[1]、彼は、アメリカには充実した施設をもち手厚い教育を行っている優れた大学が、地方に数多くあると広く知らしめるためにこの呼び名を提案したとされる[1][3]

以後この指摘は共感を呼び、プリンストン大学の入試責任者から教育関連のコンサルタントへ転じたハワード・グリーンらが、2001年に「パブリック・アイビー」を冠した著作を発表したほか[4]、現在アメリカの大学ランキングとして広く通用している USニューズ誌ランキングでも「公立校」のカテゴリーを設けるようになっている[2]。さらに、2025年3月には経済誌Forbesが、雇用主の評判に基づき公立大学10校を含む「New Ivies(新しいアイビー)」リストを発表するなど、公立名門校への関心は継続している[5]。こうした経緯から「アイビー・リーグ」のように構成校が確定しているわけではなく、どの学校をここに数えるかは後述のとおり論者によって大きく幅があるが、一般にカリフォルニア大学UCLAUC Berkeleyなど)、ミシガン大学アナーバー校バージニア大学フロリダ大学ノースカロライナ大学チャペルヒル校などの名が挙げられることが多い[2]

またモルの提言後、さらに小規模な優秀校などを挙げて「ヒドゥン・アイビー」「リトル・アイビー」といったリストも考案されるようになっている[6]

分類の例

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リチャード・モルのリスト(1985年、8校+ランナーアップ9校)

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上記のリチャード・モルの著書において取り上げられた当初のパブリック・アイビーは、以下の8校である(順不同)。このリストには、アイビーリーグに匹敵する「ワース(価値ある)ランナーアップ (worthy runners-up)」9校が追加で含まれていた。モルは、学生の質や入学競争率、研究レベルなどに加えて「キャンパスの雰囲気」「大学の伝統行事の有無」という基準を重視している[1]

パブリック・アイビー(8校)
  1. ウィリアム・アンド・メアリー大学 (College of William & Mary (Williamsburg, Virginia))
  2. マイアミ大学 (オハイオ州) (Miami University (Oxford, Ohio))
  3. カリフォルニア大学群(University of California(バークレー、ロサンゼルス、サンディエゴ、アーバイン、デービス、サンタバーバラ、サンタクルーズ、リバーサイドの各キャンパス))[注釈 1]
  4. ミシガン大学アナーバー校 (University of Michigan (Ann Arbor))
  5. ノースカロライナ大学チャペルヒル校 (University of North Carolina at Chapel Hill)
  6. テキサス大学オースティン校 (University of Texas at Austin)
  7. バーモント大学 (University of Vermont (Burlington))
  8. バージニア大学 (University of Virginia (Charlottesville))
ワース(価値ある)ランナーアップ(9校)

グリーンらのリスト(2001年、30校)

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ハワード・グリーンとマシュー・グリーンらは、上記モルのリストをさらに精査し、以下の30校に拡大している(2001年出版)[7]。このリストは「グリーンズガイド」(Greene's Guide)とも呼ばれる[8]

東部
西部
五大湖・中西部
南部

Forbes 2025年版「New Ivies」(公立10校)

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2025年3月、経済誌Forbesは、雇用主への調査に基づき「The New Ivies: 20 Great Colleges Employers Love」と題するリストを発表し、特に雇用市場で需要が高いとされる公立大学10校を選出した[5]。このランキングは、雇用主の需要、入試指標、学生の選抜性を重視しており、伝統や歴史的比較を強調した従来のパブリック・アイビーの定義とは手法が異なる。

2025年版「New Ivies」の公立大学(10校)

派生したリスト

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経済性に焦点をあてたリスト(10校)

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大学受験情報を扱うアメリカのSparkNotes[注釈 2]は、上記の「グリーンズガイド」 (Greenes' Guides) のリストの中から、アイビーリーグに比べて年間授業料が最大で25,000ドル安く、経済的負担の少ない学校として、以下の10校をピックアップしている。

黒人教育に焦点をあてたリスト(23校)

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2005年に黒人教育を扱う学術誌(The Journal of Blacks in Higher Education) において、次の23大学がパブリック・アイビーとして紹介された[9]。ただしここでは学術・教育水準の内容だけではなく、黒人学生の割合に注目して「黒人が学びやすい大学」を調査している[9]

脚注

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注釈

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  1. モルの著書では、当時のカリフォルニア大学システム全体について言及している。
  2. 1999年に4人のハーバード大学生により設立されたウェブ上の受験情報提供会社。

出典

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  1. 1 2 3 4 5 6 Richard Moll, Public Ivys: A Guide to America's best public undergraduate colleges and universities, New York: Viking Press, 1985.
  2. 1 2 3 US News: Top Public Schools”. 2025年11月18日閲覧。 “2025年版のランキングでは、カリフォルニア大学ロサンゼルス校、カリフォルニア大学バークレー校、ミシガン大学アナーバー校がトップ3を占めている。”
  3. Moll, Richard (1984年8月19日). “THE COLLEGES: PUBLIC VS. PRIVATE; PUBLIC COLLEGES WITH IVY LAURELS” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331 2025年7月4日閲覧。
  4. Howard R. Greene and Matthew W. Greene, The Public Ivies: The Great State Colleges and Universities, New York: Cliff Street Books, 2001.
  5. 1 2 Forbes: The New Ivies: 20 Great Colleges Employers Love”. 2025年11月18日閲覧。
  6. What Are Hidden Ivies? The Full List + Getting In - Crimson Education AP (英語). www.crimsoneducation.org. 2025年7月4日閲覧。
  7. Howard R. Greene and Matthew W. Greene, The Public Ivies: The Great State Colleges and Universities, New York: Cliff Street Books, 2001.
  8. Greene Educational Consulting | Books”. www.greeneeducationalconsulting.com. 2025年7月4日閲覧。
  9. 1 2 No. 49, Autumn, 2005 of The Journal of Blacks in Higher Education on JSTOR (英語). www.jstor.org. 2025年7月4日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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