デジタル放送
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デジタル放送(デジタルほうそう、digital broadcasting)は、放送局により行われるデジタル方式の放送のことである。 通常のアナログ放送と同様の電波帯域を使い、アナログデータの代わりにデジタルデータを伝送する放送である。電波を用いる点で、インターネット放送とは異なる(ネット放送は「通信」)。
厳密には、コンピュータデータ等を放送するデータ放送もデジタル放送の一種である。しかし、1990年代以降で主に話題となっているのは、アナログ放送と同様に、音声・映像などのマルチメディアデータを一定の規格に基づき放送するものである。
特徴
アナログ放送に比べ、次のような特徴がある。
利点
- 冗長情報の付加と誤り訂正により、伝送中にある程度のノイズが混入しても情報劣化が無く、元の情報が復元できる
- データのフォーマットを比較的容易に変更できる
- チャンネル構成を柔軟に運用できる
- 通信のような他のメディアとの親和性が高い
- 簡易な著作権保護が比較的容易である
- 副次的なデータの併送が容易である
欠点
- 大きなノイズでは情報劣化が大きくなる。データ圧縮を使っている場合は、復号がまったくできなくなる。通信と異なり再送要求ができないため、この問題は放送において深刻である。
- データ圧縮・伸張に時間がかかる(特にテレビジョン放送は、データ量が膨大であることから避けられない)。そのため、チャンネル変更などの応答が悪くなる場合がある。また、緊急地震速報、時報、生中継などのリアルタイム性が低下する。
- 厳密な著作権保護が困難である。
歴史
文字多重放送では、少量のテキストデータを狭い帯域で伝送する。このようなデータ放送では、必要帯域が少ないため、1980年代から実用化された。 TVでの動画は情報の冗長性が大きくそのまま放送するには適さないため、データ圧縮が行なわれる。このデータ圧縮に関する情報理論の研究が進み、また、コンピュータの処理性能も高まったため一般的な放送としての実用化が行なえるようになった。
世界
- 1988年9月 - 世界に先駆けて、イギリスのBBCが、デジタルテレビ放送を放送開始
- 1998年
- 1999年4月 - スウェーデンで地上デジタル放送への移行開始(2007年10月15日完了)。
- 2000年5月 - スペインで地上デジタル放送への移行開始(2010年4月3日完了)。
- 2001年
- 8月 - フィンランドで地上デジタル放送への移行開始。(2007年9月1日完了)。
- 10月 - 大韓民国で地上デジタル放送への移行開始。(2010年末完了予定だったが、2013年末に延長)。
- 2002年11月 - ドイツで地上デジタル放送への移行開始(2008年11月25日完了)。
- 2003年
- 2004年1月1日~7月1日 - 台湾で地上デジタル放送への移行開始(2012年6月30日完了予定)。
- 2005年
- 2006年
- 2007年
- 2008年
- 2009年
日本
- 1985年11月 - 東京・大阪のNHK総合テレビジョンにて、文字多重放送開始。
- 1992年6月 - CS-PCM音声放送開始。
- 1995年4月 - St.GIGAにより、放送衛星を使用した衛星データ放送「スーパーファミコンアワー」(いわゆるサテラビュー 1999年6月に「セントギガ衛星データ放送」に改称)開始。
- 1996年9月 - 日本デジタル放送サービス(現 スカパーJSAT)により、DVB-S方式によるCSデジタル放送「パーフェクTV!」(現 スカパー!)開始。
- 1998年
- 2000年6月 - 衛星データ放送「セントギガ衛星データ放送」終了。
- 2000年12月 - BSデジタルテレビ放送・BSデジタル音声放送(ISDB-S方式)放送開始。
- 2001年6月8日 - 電波法の改正により、地上デジタル放送への移行完了期限を2011年7月24日に決定。
- 2002年7月 - ISDB-S方式によるCSデジタルテレビ放送「スカイパーフェクTV!2」・「プラット・ワン」(現在は、ともにスカパー!e2)開始。サーバ型放送(蓄積放送)機能を持つCSデジタルテレビ放送「ep」(ISDB-S方式)開始。
- 2003年
- 10月 - 東京・大阪地区にて地上デジタル音声放送(ISDB-TSB方式)実用化試験開始。
- 12月1日 - 東京・名古屋・大阪の3大都市圏にて地上デジタルテレビ放送(ISDB-T方式)放送開始。
- 2004年4月 - 「ep」が蓄積放送を終了。
- 2006年
- 2010年7月 - 大阪地区の地上デジタル音声放送実用化試験を終了。
- 2011年
- 3月 - 東京地区の地上デジタル音声放送実用化試験を終了。
- 7月24日 - 岩手・宮城・福島3県の地域を除くCS-PCM音声放送ならびに地上・BSアナログテレビ放送を終了。
- 2012年
- 3月31日 - 岩手・宮城・福島3県の地域のCS-PCM音声放送ならびに地上アナログテレビ放送を終了(日本全国で完全地上デジタル化完了)。
- 4月1日 - 携帯端末向けマルチメディア放送NOTTV開始。
関連項目
- デジタルテレビ放送
- デジタルラジオ
- BSデジタル音声放送(BSデジタルラジオ)
- CSデジタル音声放送
- 地上デジタル音声放送(地上デジタルラジオ)
- その他のデジタル放送
- 2.6GHz帯衛星デジタル音声放送(モバイル放送)
- 携帯端末向けマルチメディア放送
- デジタル放送の一覧
- 日本の放送送信所一覧
- ローカルニュース動画配信実施局一覧
参考文献
- "「完全デジタル化最終行動計画」及び「完全デジタル化に向けた最終国民運動」の公表" (Press release). 総務省・地上デジタル推進全国会議. 24 January 2011. 2011年2月15日閲覧。
脚注
- ^ 総務省 「地上デジタル放送懇談会 報告書 ~新デジタル地上放送システムの形成~」、1998年10月26日