ズーク

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ズーク
様式的起源 ハイチの音楽ジャンルであるコンパ[1], カデンス・リプソ[1], ビギン[1], グオッカ[1], カダンスなどを融合したジャンル。
文化的起源 1980年代に、フランス領アンティル (グアドループマルティニーク), ハイチ, セントルシア, ドミニカなどで誕生。
使用楽器 ベレで用いられる楽器、マケブーラなどの太鼓、チ・ブワなどの打楽器[2];管楽器シンセサイザーギターベース[3]など。
サブジャンル
ズーク・ラヴ - キゾンバ - コラ・ズーク
融合ジャンル
ズーク・ランバダ- ズークR&B- コンパ・ラヴ
地域的なスタイル
ハイチ - 小アンティル諸島 - 西アフリカ - フランス - ポルトガル

ズーク(Zouk)は、グアドループマルティニークなどのフランス領アンティルを発祥地とする音楽のジャンルである。ズークというジャンルを確立させたのは、クレオール言語を話すブラック・カリブである[4]。ズークの歌の多くはアンティル系のクレオール(フランス語系)で歌われる[3]小アンティル諸島クレオール言語において、Zouk は「パーティ」「祭」という意味があるが、19世紀にカリブ海諸島に広まったポーランドのダンス音楽、マズルカのことをさすこともしばしばある[1]。ズークは発祥地のアンティルのみならず、カナダのケベック州フランスなど、フランス語が公用語である地域で広く親しまれている。またアフリカでも、フランス語圏で人気のあるジャンルである。

特徴[編集]

ズークのリズム

打ち込みを多用した徹底的なスタジオワークが特徴であり、単純なフレーズを繰り返すワーク・ソング風な音楽も多い[5]。また、ビギンなどクレオール語の伝統音楽を大胆に取りれたルーツ志向の強い音楽である。

発祥[編集]

キューバ音楽が20世紀に入っても発展を遂げた一方で、1960年代頃までマルティニークなどの小アンティル諸島の音楽は停滞していたとされる[6]

しかし1960年代後半に入り、ハイチで流行した音楽ジャンルであるコンパCompas)に、ビギンBiguine)を取り入れたカダンスKadans)というジャンルが小アンティル諸島で生まれた[5]。 1970年代に入り、ドミニカからカダンスにソウル、レゲエを取り入れたリプソが出現しフレンチ・カリビアンの音楽界に衝撃を与え、クレオール語で歌われるカリビアン音楽の登場が待望された[5]

1978年、パリのスタジオでピエール・エドゥアール・デシムスが当時アンティーユに流れていたさまざまな音楽を元に、新しいダンス・ミュージックを誕生させた。その時のレコーディングメンバーを元に1979年カッサヴKassav')が結成され、1984年に「ズークだけが俺たちのクスリさ」をヒットさせた。

その後、ズークはR&Bやレゲエの影響を受け、ゆっくりとしたテンポでより歌謡性の高いズーク・ラヴへと展開した。ズークのサウンドはメレンゲソカといった他のの音楽ジャンルにも影響を与え、1990年代に入った後もフレンチ・カリビアンの音楽に一定の地位を保っている[7]

日本でも、カッサヴやマラヴォワMalavoi)といったアーティストにより、ズークという音楽が紹介された[8]

ズークのアーティスト[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e World Music: Latin and North America, Caribbean, India, Asia and Pacific. Rough Guides. (2000). p. 290. ISBN 1858286360, 9781858286365. http://books.google.co.uk/books?id=QzX8THIgRjUC&pg=PA289&dq=zouk&lr=lang_en%7Clang_fr%7Clang_de&hl=ko&cd=2#v=onepage&q=zouk&f=false 2010年5月22日閲覧。. 
  2. ^ Manuel, Peter (2001). “Indo-Caribbean Music”. Garland Encyclopedia of World Music. New York and London: Garland Publishing. pp. 918–918. ISBN 0-8240-6040-7. http://books.google.co.uk/books?id=Xb2ibVAXO9sC&pg=PA918&dq=zouk+mazurka&hl=ko&ei=-70bTLTvN5KaOOGo0NAK&sa=X&oi=book_result&ct=result&resnum=7&ved=0CEMQ6AEwBg#. 
  3. ^ a b Guilbault, Jocelyne (1993). Zouk: world music in the West Indies. University of Chicago Press. p. 9. ISBN 0226310418, 9780226310411. http://books.google.co.uk/books?id=d0lrjteCl2IC&pg=PA33&dq=%22Henri+Guedon%22&lr=&hl=ko&cd=12#v=onepage&q=%22Henri%20Guedon%22&f=false 2010年5月22日閲覧。. 
  4. ^ Guilbault, Jocelyne (1993). Zouk: world music in the West Indies. University of Chicago Press. p. 7. ISBN 0226310418, 9780226310411. http://books.google.co.uk/books?id=d0lrjteCl2IC&pg=PA33&dq=%22Henri+Guedon%22&lr=&hl=ko&cd=12#v=onepage&q=%22Henri%20Guedon%22&f=false 2010年5月22日閲覧。. 
  5. ^ a b c 北中 2007, pp. 48-49.
  6. ^ マラヴォワ『ジュ・ウヴェ』ライナーノーツ(執筆:中村とうよう) p.3
  7. ^ 東 2002, pp. 122-124.
  8. ^ マラヴォワ『ジュ・ウヴェ』ライナーノーツ(執筆:中村とうよう) p.2

参考文献[編集]

  • 東琢磨 編 『カリブ・ラテンアメリカ 音の地図』 音楽之友社、2002年ISBN 4276238242
  • 北中正和 監修 『世界は音楽でできている:中南米・北米・アフリカ編』 音楽出版社、2007年ISBN 9784861710261

関連項目[編集]