スノーデン (映画)
スノーデン | |
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Snowden | |
監督 | オリバー・ストーン |
脚本 |
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原作 |
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製作 |
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製作総指揮 |
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出演者 | |
音楽 |
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撮影 | アンソニー・ドッド・マントル |
編集 |
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製作会社 |
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配給 |
オープン・ロード・フィルムズ![]() |
公開 |
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上映時間 | 134分 |
製作国 |
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言語 | 英語 |
製作費 | $40,000,000[1] |
興行収入 |
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『スノーデン』(Snowden)は、オリバー・ストーン監督、キーラン・フィッツジェラルド及びストーン脚本による2016年のアメリカ合衆国の伝記・ポリティカル・スリラー映画。ルーク・ハーディングのノンフィクション本『スノーデンファイル 地球上で最も追われている男の真実』及びアナトリー・クチェレナの本『Time of the Octopus』が原作となっている。撮影は2015年2月16日よりドイツのミュンヘンなどで行われた。
2016年9月16日よりオープン・ロード・フィルムズ配給で北米公開された[3]。
内容[編集]
2013年6月にコンピュータ専門家のエドワード・スノーデンがアメリカ国家安全保障局の機密情報を『ガーディアン』誌に暴露した事件の詳細が描かれる。
キャスト[編集]
※括弧内は日本語吹替[4]
- エドワード・スノーデン - ジョセフ・ゴードン=レヴィット(終盤のシーンはスノーデン本人が演じる)(内田夕夜)
- リンゼイ・ミルズ - シャイリーン・ウッドリー(たかはし智秋)
- ローラ・ポイトラス - メリッサ・レオ(桜岡あつこ)
- グレン・グリーンウォルド - ザカリー・クイント(木内秀信)
- イーウェン・マカスキル - トム・ウィルキンソン(長克巳)
- トレバー・ジェイムズ - スコット・イーストウッド(川原元幸)
- ドローンの男性パイロット - ローガン・マーシャル=グリーン
- CIA捜査官ジェネヴァ - ティモシー・オリファント
- ガブリエル・ソル - ベン・シュネッツァー
- パトリック・ヘインズ - ラキース・リー・スタンフィールド
- コービン・オブライアン - リス・エヴァンス(井上和彦)
- ハンク・フォレスター - ニコラス・ケイジ[5](大塚明夫)
製作[編集]
企画[編集]
オリバー・ストーンが最初に本作の映画化の話を持ちかけられたのは、ジェイミー・フォックスが主演を務める予定のマーティン・ルーサー・キング・ジュニアに関する伝記映画に取りかかっていたときであった。同作の内容ですでに物議を醸していたため、ストーンはさらなる火種となりかねない新たな題材の映画に取り組むのは躊躇した[6][7]。しかし、ポイトラスと共にスノーデンによる暴露に貢献したジャーナリストのグレン・グリーンウォルドがストーンにアドバイスを求めてきたり、さらに数ヵ月後にはスノーデンの弁護士のアナトリー・クチェレナがプロデューサーを介して面会を求めてきたりするなど、さまざまな出来事や説得材料に後押しされて、結局ストーンは映画の監督を受諾するに至った[6]。事件について記したグリーンウォルドの本の映画化権はコロンビア映画が既に取得済みであった[7]。2014年6月2日、ストーンとモリッツ・ボーマンがルーク・ハーディングによるノンフィクション本『スノーデンファイル 地球上で最も追われている男の真実』の権利を獲得し、ストーンがそれを基にした映画の脚本と監督を務めることが発表された[8]。ストーンが『Snowden』の制作および監督に専念することが決まったため、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの映画化は中止となった[9]。2014年6月10日、ストーンがさらにクチェレナの本『Time of the Octopus』の権利も獲得し、『スノーデンファイル』と併せた2冊を基に脚本を書く事が明らかとなった[10]。2014年11月6日、オープン・ロード・フィルムズが米国での配給権を獲得し、一方でワイルド・バンチが海外セールスの舵を取ることとなった[11]。さらに2014年11月10日、『Deadline』はエンドゲーム・エンターテインメントが製作に加わったことを報じた[12]。2015年4月、ウィキリークスはストーンがハーディングの本の権利購入のために70万ドル、クチェレナの本に100万ドルを支払ったことを明かした[13]。
プリプロダクション[編集]
撮影開始前、ストーンとゴードン=レヴィットはスノーデン逮捕を企てる米国政府から逃れるために彼が恋人のリンゼイ・ミルズと共に住んでいたモスクワを訪れた[6]。ゴードン=レヴィットは彼をフィリップ・プティ(ゴードン=レヴィットが2015年の映画『ザ・ウォーク』で演じた)に似た人物であると説明した[14]。しかしながらプロジェクトに参加する米国企業が現れず、またスタジオの協力も得られずに資金調達が困難となった[6]。その後、イギリスとドイツからの資金調達が決まり、撮影はドイツで行われることとなった[6][7]。
キャスティング[編集]
2014年9月21日、アメリカ国家安全保障局(NSA)の機密情報を2013年6月に主要メディアに暴露したコンピュータ専門家のエドワード・スノーデン役のためジョセフ・ゴードン=レヴィットと交渉中であることが報じられた[15]。2014年11月10日、ゴードン=レヴィットが主役を務めることが報じられた[16]。2014年11月14日、スノーデンの恋人のリンゼイ・ミルズ役のためシャイリーン・ウッドリーとの最終交渉に入ったことが報じられた[17]。2015年2月2日、スコット・イーストウッドがNSA捜査官役で加わった[18]。2015年2月4日、メリッサ・レオがドキュメンタリー映画作家のローラ・ポイトラス役、ザカリー・クイントがスノーデンにより機密情報の提供相手に選ばれたジャーナリストのグレン・グリーンウォルド役、トム・ウィルキンソンがスノーデンの暴露の報道を助けた『ガーディアン』のジャーナリストのユエン・マッカスキル役でキャストに加わった[19]。2015年2月13日、『バラエティ』はベン・シュネッツァーが加わったことを報じた[20]。2015年2月19日、スノーデンがCIA捜査官の頃の悪逆上司ジェネヴァ役でティモシー・オリファントが加わり[21]、さらに2月20日にはリス・エヴァンスとジョエリー・リチャードソンが追加された[22]。2015年2月23日、ニコラス・ケイジが元米国諜報機関職員役での出演契約を交わした[23]。2015年2月25日、ラキース・リー・スタンフィールドがスノーデンの親友でもあるNSAの同僚役でキャストに加わった[24]。
スノーデンを演じるにあたってゴードン=レヴィットは技術と民主主義の関係についての「対話を促進するのを助ける」ために出演料を全額寄付することを約束した[25]。
撮影[編集]
主要撮影は2015年2月16日にドイツのミュンヘンで始まった[26]。4月半ばにはワシントンD.C.での撮影が行われた[27]。4月15日から18日にかけてはハワイ州で撮影が行われた。映画に使われた家はスノーデンが実際に住んでいたのと同じ通りのものである。4月末にはザ・ミラ ・ホンコンでの撮影が始まり、さらに続いて土瓜湾の古いビルでも行われた[28]。撮影は5月末まで続いた[22]。
NSAの干渉を恐れたストーンは米国外での撮影を決めていた[6]。ストーンは「我々はここで危険に晒されているような気がした。我々にはNSAが何をするのかわからなかったので、ミュンヘンで終わらせた。そしてそれは美しい経験だった」と語った[6]。
公開[編集]
2015年2月20日、オープン・ロード・フィルムズは2015年12月25日米国公開の予定を組んだ[22]。パテは2015年12月30日にフランスで公開、ユニバーサム・フィルムは2016年1月7日にドイツで公開する予定であった[22]。しかしながら2015年9月、オープン・ロードは公開日を2016年に延期させた。スタジオは延期理由を明かさなかったが、『ハリウッド・リポーター』誌はおそらく映画がまだ未完成であるからだと報じた[29]。2015年10月7日、公開予定日は2016年5月13日となることが発表された[30]。2016年2月19日、賞レースコンテンダーにふさわしいクオリティであるとみなされたために公開日は9月16日に延期された[31]。2016年4月27日、1本目の予告編が公開された[32]。
第69回カンヌ国際映画祭監督のティエリー・フレモーは映画を鑑賞し、「本当に素晴らしい作品だ。『シチズンフォー スノーデンの暴露』を見事に補完している。多くを理解するのに役立つ」と賞賛した。フレモーはカンヌでの上映を望んでいたが、プロデューサーは「オスカーを目指したいのでカンヌでのプレミアは少々早すぎる」と説明して断った[33]。2016年9月に第41回トロント国際映画祭で行われ[34]、さらに第64回サン・セバスティアン国際映画祭でヨーロッパ・プレミアが行われる予定である[35]。
ストーンはサンバレーにあるアーネスト・ヘミングウェイの旧宅でプライベート上映会を開き、ローラ・ポイトラスを演じたメリッサ・レオらを含む約2ダースの観客が招かれた。招待客には秘密保持契約が結ばされた[6]。
2016年7月21日にはサンディエゴ・コミコンで招待者限定の上映会が開かれ[36]、さらに同イベントで2本目の予告編が公開された[37]。
日本では、2016年9月15日にストーンの70歳の誕生日に合わせて、公開日が2017年1月27日になることが発表された[38]。
評価[編集]
レビュー・アグリゲーターのRotten Tomatoesでは263件のレビューで支持率は61%、平均点は6.20/10となった[39]。Metacriticでは43件のレビューを基に加重平均値が58/100となった[40]。
参考文献[編集]
- ^ a b c “Snowden (2016)” (英語). Box Office Mojo. 2018年1月8日閲覧。
- ^ 『キネマ旬報』2018年3月下旬 映画業界決算特別号 p.60
- ^ “Emma Roberts-Dave Franco Thriller ‘Nerve’ To Sneak At Comic-Con”. Deadline.com (2016年7月19日). 2016年7月18日閲覧。
- ^ “スノーデン” (2017年7月4日). 2017年7月4日閲覧。
- ^ “ニコラス・ケイジがCIAエンジニアに、「スノーデン」新場面写真”. 映画ナタリー. (2016年12月27日) 2016年12月28日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i Stephen Galloway (2016年3月8日). “Oliver Stone Reveals Clandestine Meetings With Edward Snowden, NSA Worries”. The Hollywood Reporter. 2016年3月9日閲覧。
- ^ a b c Rhonda Richford (2016年6月22日). “Oliver Stone Reveals Details About His 'Snowden' Biopic”. The Hollywood Reporter. 2016年6月22日閲覧。
- ^ Kemp, Stuart (2014年6月2日). “Oliver Stone to Direct Edward Snowden Film”. hollywoodreporter.com 2015年2月21日閲覧。
- ^ Matt Brennan (2016年3月8日). “Oliver Stone Talks About Critical Responses, His Failed MLK Film and Why He's Not Excited for the American Future”. Indiewire. 2016年3月9日閲覧。
- ^ Kemp, Stuart (2014年6月10日). “Oliver Stone Options Novel by Edward Snowden's Russian Lawyer”. hollywoodreporter.com 2015年2月21日閲覧。
- ^ McClintock, Pamela (2014年11月6日). “Oliver Stone's Edward Snowden Film Fails to Find Major Studio Home”. hollywoodreporter.com 2015年2月6日閲覧。
- ^ Fleming Jr, Mike (2014年11月10日). “Oliver Stone's Edward Snowden Movie Acquired By Open Road & Endgame – Update”. deadline.com 2015年2月6日閲覧。
- ^ “Press Release”. WikiLeaks. (2015年4月16日) 2015年4月16日閲覧。
- ^ Tom Lamont (2015年9月18日). “Joseph Gordon-Levitt: 'Edward Snowden was warm, kind, thoughtful'”. The Guardian. 2016年3月9日閲覧。
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- ^ Siegel, Tatiana (2014年11月14日). “Shailene Woodley in Talks to Star in Oliver Stone's Snowden Film (Exclusive)”. hollywoodreporter.com 2015年2月6日閲覧。
- ^ Patten, Dominic (2015年2月2日). “Scott Eastwood Joins Oliver Stone's Edward Snowden Pic”. deadline.com 2015年2月6日閲覧。
- ^ Sneider, Jeff (2015年2月4日). “Melissa Leo, Zachary Quinto, Tom Wilkinson to Play ‘Citizenfour’ Trio in Oliver Stone’s Edward Snowden Movie (Exclusive)”. thewrap.com 2015年2月6日閲覧。
- ^ Kroll, Justin (2015年2月13日). “'Pride' Actor Joins Oliver Stone's Edward Snowden Film”. variety.com 2015年2月16日閲覧。
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- ^ “On The Set For 2/16/15: David O. Russell Starts Lensing 'Joy', 'Maze Runner 2' Wraps & More”. ssninsider.com. (2015年2月16日) 2015年2月16日閲覧。
- ^ “New Photo of Joseph Gordon-Levitt and Shailene Woodley in Snowden”. comingsoon.net. (2015年4月6日) 2015年4月7日閲覧。
- ^ “Hollywood film "Snowden" crews have arrived Hong Kong for shooting” (Chinese). Local Press Hong Kong (Hong Kong: Local Press). (2015年4月27日) 2015年4月28日閲覧。
- ^ Tatiana Siegel (2015年9月14日). “Oliver Stone's 'Snowden' Pushed to 2016 (Exclusive)”. The Hollywood Reporter. (Prometheus Global Media). 2015年9月14日閲覧。
- ^ Busch, Anita (2015年10月7日). “‘Snowden’s’ New Release Date: Early Summer 2016”. deadline.com 2015年10月29日閲覧。
- ^ McNary, Dave (2016年2月19日). “Joseph Gordon-Levitt’s ‘Snowden’ Release Date Pushed Back”. Variety 2016年2月19日閲覧。
- ^ “SNOWDEN - Official Trailer”. YouTube. (2016年4月27日) 2015年7月21日閲覧。
- ^ Calvario, Liz (2015年4月15日). “Thierry Fremaux: Festival Director Reveals Real Reason Oliver Stone's 'Snowden' Isn't Going to Cannes”. indiewire.com 2016年4月22日閲覧。
- ^ EW Staff (2016年7月26日). “Toronto Film Festival 2016: See First Look Images From This Year's Lineup”. Entertainment Weekly. 2016年7月26日閲覧。
- ^ Georg Szalai (2016年7月8日). “Oliver Stone's 'Snowden' to Get Europe Premiere at San Sebastian Festival”. The Hollywood Reporter. 2016年7月8日閲覧。
- ^ Fleming Jr, Mike (2016年7月18日). “‘Snowden’ Surprise Comic-Con Screening Set For Thursday”. dateline.com 2016年7月21日閲覧。
- ^ “Snowden - Official Trailer 2”. YouTube. (2016年7月21日) 2015年7月21日閲覧。
- ^ “スノーデンはなぜ告発を決めたのか?オリヴァー・ストーン最新作が公開決定”. 映画ナタリー. (2016年9月15日) 2016年9月15日閲覧。
- ^ “Snowden (2016))”. Rotten Tomatoes. Fandango Media. 2022年6月23日閲覧。
- ^ “Snowden Reviews”. Metacritic. CBS Interactive. 2022年6月23日閲覧。
外部リンク[編集]
- 映画『スノーデン』公式サイト 日本語版
- スノーデン - allcinema
- スノーデン - KINENOTE
- Snowden - IMDb(英語)
- Snowden - Box Office Mojo(英語)