グリーゼ900
グリーゼ900 Gliese 900 | ||
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広視野赤外線探査機(WISE)が撮影したグリーゼ900。円で囲まれているのは惑星質量の伴天体。
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星座 | うお座[注 1] | |
見かけの等級 (mv) | 9.546[1] | |
位置 元期:J2000.0 | ||
赤経 (RA, α) | 23h 35m 00.27674s[1] | |
赤緯 (Dec, δ) | +01° 36′ 19.4347″[1] | |
視線速度 (Rv) | −10.44±0.44 km/s[2] | |
固有運動 (μ) | 赤経: 340.029 ミリ秒/年[2] 赤緯: 28.456 ミリ秒/年[2] | |
年周視差 (π) | 47.9641 ± 0.0236ミリ秒[2] (誤差0%) | |
距離 | 68 ± 0.03 光年[注 2] (20.85 ± 0.01 パーセク[注 2]) | |
絶対等級 (MV) | 7.95[注 3] | |
軌道要素と性質 | ||
惑星の数 | 1 | |
他のカタログでの名称 | ||
BD+00 5017、GJ 900、HIP 116384、WDS J23350+0136A,BC、G 29-47 / 157-46、LSPM J2235+0136、TIC 422618003、TYC 585-236-1、GSC 00585-00236、2MASS J23350028+0136193、WISE J233500.50+013619.7[1] | ||
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グリーゼ900A Gliese 900 A | |
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分類 | K型主系列星[3] |
物理的性質 | |
半径 | 0.716±0.021 R☉[4] |
質量 | 0.64 – 0.67 M☉[5] |
自転周期 | 11.9 日[3] |
スペクトル分類 | K5-7[5] |
光度 | 0.12±0.005 L☉[2] |
表面温度 | 4079±180 K[5] |
色指数 (B-V) | 1.35[6] |
金属量[Fe/H] | 0.02[7] |
年齢 | 2±0.5 億年[3] |
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グリーゼ900B Gliese 900 B | |
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分類 | 赤色矮星[3] |
軌道要素と性質 | |
公転周期 (P) | ≈80 年(Aに対して)[5] |
物理的性質 | |
質量 | 0.28 – 0.34 M☉[5] |
スペクトル分類 | M3-4[5] |
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グリーゼ900C Gliese 900 C | |
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分類 | 赤色矮星[3] |
軌道要素と性質 | |
軌道長半径 (a) | 444 ミリ秒角(9.217 au) (Bに対して)[7][注 4] |
離心率 (e) | 0.136(Bに対して)[7] |
公転周期 (P) | ≈80 年(Aに対して)[5] 36 年(Bに対して)[7] |
軌道傾斜角 (i) | 82.21°(Bに対して)[7] |
近点引数 (ω) | 109.8°(Bに対して)[7] |
物理的性質 | |
質量 | 0.16 – 0.24 M☉[5] |
スペクトル分類 | M5-6[5] |
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グリーゼ900(英語: Gliese 900)とは、地球からうお座の方向に68光年離れた位置に存在する三重星系である。3つの主系列星で構成されており、1つはK型の恒星で、他の2つはM型の恒星(赤色矮星)である。2つの赤色矮星は連星系を形成しており、互いの重心を36年周期で公転している。さらに、この連星系は主星の周囲を80年周期で公転している。見かけの等級は9.546で、グリーゼ900は肉眼での観測は不可能である。この系の周囲には、遠く離れた位置に太陽系外惑星が検出されている[3]。GJ 900、BD+00 5017などとも呼称される[1]。
特徴
[編集]太陽 | グリーゼ900A |
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グリーゼ900は、3つの主系列星からなる階層的な星系である。主星(グリーゼ900A)はK5 - K7型の恒星で、質量は太陽の64 - 67%[5]、半径は太陽の72%[4]、光度は太陽の12%である[2]。TESSによって観測された光度曲線によると、自転周期は12日である[3]。グリーゼ900Aは彩層とコロナの活動が活発であるが、見かけの等級はほとんど変化しない[8]。その他の2つの恒星は赤色矮星である。グリーゼ900Bのスペクトル分類はM3 - M4型で、質量は太陽の24 - 34%である。グリーゼ900Cのスペクトル分類はM5 - M6型で、質量は太陽の16 - 24%である[5]。
この系は若く、年齢は約2億年で、99.7%の確率で近くの運動星団であるCarina-Nearに属している[9]。X線放射源であり、観測された放射量は9.13×102 mW M-2で、紫外線放射源でもある[3]。X線の放射は若い恒星に典型的であるため、この星系の恒星を若い恒星として分類している[8]。TESSによって観測された光度曲線により、フレア活動があることが判明している[3]。
軌道
[編集]グリーゼ900BとCは、約36年の公転周期を持つペア(グリーゼ900BCと言われる)を形成している[7]。グリーゼ900BCとグリーゼ900Aは、約80年の周期で系の共通重心の周囲を公転している[5][3]。2004年11月の時点で、BはAから751ミリ秒角、CはAから708ミリ秒角離れており、この距離は時間とともに変化している[5]。2002年にEduardo L. Martínが8.2mすばる望遠鏡で補償光学補正された画像を使用して、多重星系として特定した。最初に観測されたとき、AとB、AとCの距離はそれぞれ0.51秒角と0.76秒角であった[8]。2007年のMalogolovetsらによるさらなる研究では、この星系が階層的な三重星であることが判明した[5]。
五重星系の可能性
[編集]2007年のMalogolovetsらによる研究では、2MASSによる画像から、D及びEに該当する2つの他の天体(おそらく晩期赤色矮星)を報告しており、グリーゼ900系に関連している可能性が非常に高いと報告した。これらの天体がグリーゼ900系の一部であった場合は五重星系となる[5]。ただし、これらの暗い恒星はグリーゼ900系の一部として確認されておらず、関連がない可能性がある[3]。
運動
[編集]ガイア探査機が行った視差測定によると、グリーゼ900は地球から約68光年の距離にある[2]。BP-RPスペクトルは、距離が67.7光年であることを示唆している[2]。この星系の空間速度成分はU = −28.7、V = −15、W = 0.2である[10]。グリーゼ900は、銀河系の薄い円盤の中に位置し[10][5]、かつてはIC 2602という散開星団の一部に分類されていた[8]。ガイア探査機の運動学を使用した最近の分析によると、グリーゼ900はCarina-Near運動星団に属している可能性が99.7%で、どの星団やアソシエーションにも属していない散在星である可能性が0.3%である[3]。
惑星系
[編集]Austin Rothermichが主導した2024年の研究では、CWISE J233531.55+014219.6(略称はCW2335+0142)が99.5%の確率でグリーゼ900と共通する固有運動を行っている伴天体であると判明した[3]。グリーゼ900bまたはグリーゼ900(ABC)b[11][12]とも呼ばれるこの天体は、木星の10.5倍の質量(太陽の0.01倍)を持ち、スペクトル分類がT9の惑星質量天体である。グリーゼ900との角距離は587秒角であり、12,000天文単位離れていることになる[3]。
2024年現在、グリーゼ900bは、既知の惑星の中で最も大きな軌道長半径を持っており、円軌道であった場合は最も長い公転周期を持っていることになる[13][14][注 5]。公転周期は、予測される軌道長半径に基づいて127万年[15]または140万年[12]と推定されている。スペクトル分類、軌道長半径、年齢が類似しているため、グリーゼ900bは発見チームによってCOCONUTS-2bと比較されている[3]。2024年8月、別の惑星質量の伴星がBD+29 5007の周囲を公転しているのが発見された。この天体は、グリーゼ900bよりも大きい約22,100天文単位の軌道長半径を持っている[16][17]。しかし、この天体は表面重力が大きいため、自由浮遊惑星である可能性がある。また、その場合は惑星質量天体としては大きすぎる[18]。
名称 (恒星に近い順) |
質量 | 軌道長半径 (天文単位) |
公転周期 (年) |
軌道離心率 | 軌道傾斜角 | 半径 |
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b | 10.5 MJ | 12,000 | 1,270,000[15] | — | — | 1.11(推定)[15] RJ |
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ このウェブサイトで赤経 23h 35m 00.27674s・赤緯+01° 36′ 19.4347″[1]から導出
- ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
- ^ 見かけの等級と地球からの距離を用いて、グリーゼ900の絶対等級を計算できる。
9.546+5−5*log(20.85) = 7.95 - ^ 角距離と視差(どちらもミリ秒角単位)を用いて、軌道長半径(au単位)を取得できる。
444/48.17 = 9.217 au - ^ 惑星質量(<13 MJ)を持つ天体のみの場合。太陽系外惑星データベースにはより大きな軌道長半径を持つ褐色矮星がいくつか記載されている。
出典
[編集]- ^ a b c d e f "GJ 900". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2024年6月17日閲覧。
- ^ a b c d e f g h Vallenari, A. et al. (2022). “Gaia Data Release 3. Summary of the content and survey properties”. Astronomy & Astrophysics. arXiv:2208.00211. doi:10.1051/0004-6361/202243940 VizieRのGaia DR3 record for this source
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- ^ “Planetary Systems Composite Data”. NASA Exoplanet Archive. 25 June 2024閲覧。
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