オンライン・インターナショナル・スクール

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オンライン・インターナショナル・スクール(英語:Online International School)またはオンライン国際学校(こくさいがっこう)とは、外国人子弟やオンラインでインターナショナルスクールの卒業資格を目的とする者に対し、初等教育や中等教育・高等教育などを施す学校のこと。

オンライン・インターナショナル・スクールは、近年は国際的な学歴の取得を目指す機会として選択されることも多い。そのため所在国の子弟のほうが在籍比率の高い状態も増加傾向にある。

特徴[編集]

運営[編集]

国により1つの国に複数の民族が存在する状態となっているケースが増加していることから、オンライン・インターナショナル・スクールとして指定される学校などでは、多様性を重視しながら運営を行っているという現状がある。これは多民族国家となっている国々において顕著であり、教師も生徒も多民族となっていることから、例えば生徒の国籍だけでも60カ国以上という学校もある。

メリット[編集]

オンラインのインターナショナルスクールは、多様なメリットを提供しています。


国内留学:海外に移住することなく、従来の学校と同様の学習機会と体験ができることで、移住に伴うデメリットを軽減することができる。


住まいに限定されない:国や地域に限定されることなく、インターネットに接続できれば誰でもオンライン教育に参加できる。


グローバルスキルの向上:学生は、世界中の様々なバックグラウンドや場所から来た教師から学び、グローバルで多様なカリキュラムや教材に基づいて学習することができる。


柔軟性:オンラインスクールは柔軟なスケジュールオプションを提供しているため、生徒は時間や場所を問わずに学習したり、教育経験の質を損なうことなく、学ぶことができる。


手頃な学費:スクーリング型の学校と比較して、オンラインスクールは運営にかかるコストを下げることができるため、より手頃な価格で学費を提供することができる。


時間の節約:生徒の通学時間や保護者の送り迎えの時間を節約することができる。

メリットの参考資料:https://internationalschooling.org/blog/benefits-of-online-school/

学習方法の種類[編集]

非同期型:学生は独自に学び、課題や宿題を自分で仕上げます。


同期型:学生は、ビデオ会議システムなどを活用して教師から学びます。


ブレンド型:学生は独自に学びながら、同時にビデオ会議を使用して教師から学びます。

学習方法の種類の参考資料:https://internationalschooling.org/blog/benefits-of-online-school/

修了資格[編集]

卒業資格[編集]

初等教育や中等教育・高等教育などを施す、各オンライン・インターナショナル・スクールの卒業資格を取得することができる。またオンライン・インターナショナル・スクールによっては、所在国と海外2つの卒業資格を得られるダブル・ディプロマを取得可能な学校も存在している。近年は、このダブル・ディプロマ制度を導入するオンライン・インターナショナル・スクールの需要が拡大傾向にある。

各国のオンライン・インターナショナル・スクール[編集]

日本[編集]

日本におけるオンライン・インターナショナル・スクールの存在は、新型コロナウイルスの流行により急速に知られるようになった。例えばワールドアローズインターナショナルスクールを例に挙げると、この学校ではオンラインシステムを導入しており、日本とアメリカの高校卒業証明書を同時に取得することができる。また他のオンライン・インターナショナル・スクールよりも比較的リーズナブルな費用設定となっていることから、入学者も年々増加傾向にある。然しながら、インターナショナル・スクールと比べてみると、オンライン・インターナショナル・スクールは情報そのものが不足しているという観点から、知名度はまだそれほど高くはないと言える。

歴史[編集]

完全オンラインで授業が受けられるオンライン・インターナショナル・スクールの歴史は他国が先行しており、日本においての歴史はまだ真新しい部類に入る。この理由には、そもそも完全オンラインで卒業可能なインターナショナル・スクール自体が稀なものであったこと、それに加えて学校数もそれほど多くはなかったことなどが該当する。しかし、新型コロナウイルスの蔓延により、多くのインターナショナル・スクールでオンライン授業を導入する学習環境に変化した。このコロナ禍における学習環境の変化、そしてオンライン授業の浸透によって、インターナショナル・スクールそのものをオンライン化させる動きが加速した。これにより完全オンラインで授業を展開するオンライン・インターナショナル・スクールの数は増加し、近年は日本においても、オンライン・インターナショナル・スクールの存在が広く知られる結果となっている。

アメリカ[編集]

アメリカでは、日本よりも早い段階から、オンラインによるインターナショナル・スクールを展開してきた。またアメリカは多民族国家ということや、コロナ禍以前からオンライン授業やホームスクーリングが国全体で浸透していることから、オンライン・インターナショナル・スクールに通う生徒の数は多い。

イギリス[編集]

イギリスにおいてもアメリカと同様に、日本よりも早期の段階から、オンラインによるインターナショナル・スクールを展開してきた。またイギリスも多民族国家であり、コロナ禍以前よりオンライン授業やホームスクーリングが定着している。そのためイギリスのオンライン・インターナショナル・スクールにおける生徒数も、多い傾向にある。

ニュージーランド[編集]

ニュージーランドにおいても、オンライン・インターナショナル・スクールが展開されている。先述のアメリカ・イギリスと同様に、ニュージーランドにおいてもオンライン授業やホームスクーリングがコロナ禍以前から浸透している背景がある。

その他の先進国[編集]

オンライン・インターナショナル・スクールが、コロナ禍以前から浸透している、あるいはコロナ禍を起源に浸透したという事象は、特に英語を公用語とする先進国において顕著なものとなっている。先述の日本を含むアメリカやイギリス・ニュージーランドに留まらず、多くの英語を母語とする先進国で、オンライン・インターナショナル・スクールは既に浸透している。その生徒数は、世界的に増加傾向にあるため、今後も多くのオンライン・インターナショナル・スクールの開校が予想される。

オンライン・インターナショナル・スクールを展開する主な学校一覧[編集]

日本[編集]

  • ワールドアローズインターナショナルスクール(World Arrows International School)
ワールドアローズインターナショナルスクール(World Arrows International School)は、アメリカのミズーリ大学(University of Missouri)と提携し、同大学付属(Mizzou Academy)のK-12(幼稚園から高校卒業まで)までの教育を提供しています。日本の学校に通いながら帰宅後に学習できる環境を提供しており、日本とアメリカの高校卒業資格をダブルで取得することを目指せると共に、在籍中に一定の成績を収めることでミズーリ大学に推薦入学することもできます。
主なコース
同スクールでは、主に以下2つのコースを用意しています。
  • トラディショナルコース
トラディショナルコースでは、進学クラスあるいは選択クラスのどちらかを選択できますが、どちらのクラスもミズーリ大学が開発したカリキュラムや教材に基づき学習を進めていきます
  • 進学クラス
日程:月曜日から金曜日の全日制になります。
開催時間:16:00~21:55
対象者:小学生から高校3年生
  • 選択クラス
日程:毎日通えないことを考慮し、1カ月に4回、8回、12回、全日と月ごとに回数を選択しながら参加
開催時間:16:00~21:55
対象者:小学生から高校3年生
  • オルタナティブコース
オルタナティブコースでは、アメリカの学校で導入されているPBLプログラムを取り入れています。このプログラムでは、複数の課題に対して仮説を立て、自らリサーチを行い、グループによる意見交換をしながら回答を導き出す仕組みとなっています。同プログラムのカリキュラムは、小学4年生から高校3年生までで構成されています。
プリスクール
0歳から参加できる親子教室も提供しています。
  • クリムゾングローバルアカデミー(Crimson Global Academy)
クリムゾングローバルアカデミー(Crimson Global Academy)は、東京都台東区に拠点を置く、オンラインインターナショナルスクールである。同スクールの特徴として、ニュージーランド政府公認のオンライン授業に特化した、インターナショナルスクールであるということが挙げられる。少人数制のオンライン授業を展開し、習熟度ごとの教育により、飛び級も可能となっている。同スクールの卒業生も、大学への進学が主な進学先となっている。
主なカリキュラム
同スクールでは、主に以下のようなカリキュラムを用意している。
  • iLowerSecondary
iLowerSecondaryでは、11歳から13歳の生徒が学習する構成内容となっている。約3年をかけて、その後の学びにつなげていく。
  • International GCSE
International GCSEでは、14歳から15歳の生徒が学習する構成内容となっている。1年間で4科目履修して、最終的には7科目から9科目の履修を行うことがこのカリキュラムの基本となっている。
  • Advanced Placement
Advanced Placementでは、高校の在学中に大学の初級にあたるレベルの内容を学習可能なカリキュラムとなっている。
  • 東京インターハイスクール(Tokyo Inter-High School)
東京インターハイスクール(Tokyo Inter-High School)は、東京都渋谷区にある、オンライン・インターナショナル・スクールである。同スクールの特徴として、アメリカのワシントン州にある認可校Alger Independence High Schoolの日本校であることが挙げられる。そのため、同校の高校卒業資格を取得することができる。同スクールの卒業生も、日本国内の大学や海外の大学への進学が、卒業後の主な進学先となっている。
主なコース
同スクールでは、以下のようなコ―スを用意している。
  • 基本コース
基本コースでは、まず担任コーチと生徒がともに教科を選択する。生徒の学習スタイルに沿い、担任コーチが個別指導を行うコ―スとなっている。
  • 高認コ―ス
高認コ―スでは、日本の高等学校卒業程度認定資格の取得を目的とする。このコ―スは、日本国内の大学の入試や国家試験の受験を目標とする生徒が主に受講する。
  • 英語基礎コース
英語基礎コースは、リスニング・スピーキング・リーディング・ライティングに特化したコ―スとなっている。同コースでは、実用英語技能検定の準2級から2級の取得を目指す。
単位認定に必要となる要素
同スクールでは、単位の認定に必要となる要素として、以下3つの要素を掲げている。
  • 1単位につき150時間以上の学習時間
  • 150時間の学習内容を報告
  • 学習内容にあった成果物の提出
  • ニサイブリティッシュインターナショナルオンラインスクール(Nisai British International Online School)
ニサイブリティッシュインターナショナルオンラインスクール(Nisai British International Online School)は、京都府京都市に日本法人を置く、オンライン・インターナショナル・スクールである。同スクールでは、ケンブリッジプログラムをオンライン受講することができることを特徴としている。ケンブリッジプログラムとは、イギリスのケンブリッジ大学傘下の教育組織のことであり、国際教育プログラムのこと。同スクールでは、小学校高学年からのコ―スを設けている。同スクールの卒業生は、基本的には国内大学への進学や海外大学への進学、海外留学などの進路に進んでいる。
主なコース
同スクールでは、以下のオンライン・カリキュラムを用意している。
  • ホームスクールコ―ス
ホームスクールコ―スでは、オンライン授業を受けることができる。このコ―スの特徴として、不登校の生徒に向けたオンライン授業を展開している点が挙げられる。同コースはオンライン・インターナショナル・スクールとなり、国際的な卒業資格の取得を目指すことが可能となっている。またホームスクールであるため、個々のライフスタイルに合わせた受講も可能で、飛び級制度も導入されている。


関連項目[編集]

出典[編集]

脚注[編集]

参考図書[編集]

外部リンク[編集]