オヤマソバ

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オヤマソバ
福島県東吾妻山 2010年8月
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 Core eudicots
: ナデシコ目 Caryophyllales
: タデ科 Polygonaceae
: オンタデ属 Aconogonon
: オヤマソバ A. nakaii
学名
Aconogonon nakaii (H.Hara) H.Hara[1]
シノニム
  • 本文記載
和名
オヤマソバ(御山蕎麦)[2]

オヤマソバ(御山蕎麦、学名:Aconogonon nakaii )は、タデ科オンタデ属多年草高山植物[2][3][4][5]

特徴[編集]

地下に根茎がある。は下部から枝分かれして立ち、高さは15-50cmになり、茎はしばしば紅紫色を帯び、枝は稲妻形に曲がる。株全体は低い叢状になる。は互生し、長さ5-10mmになる短い葉柄があり、葉身は長さ4-12cm、幅2-5cmになる卵形から卵状楕円形で、先端は鋭形か鈍形、基部は広いくさび形から円形、縁は全縁でまばらに細毛が生える。葉の表面はほとんど無毛で、裏面の脈上に伏した毛が生える。葉柄の基部に長さ5-7mmになる托葉鞘があり、上半分が褐色の膜質で、長毛が生えるかまたは無い[2][3][4][5]

雌雄同株。花期は7-9月。茎先に総状花序を円錐状につけ、小さいを多数つける。花序は長さ4-5cmで、花は両性、白色または緑白色、ときに淡紅色を帯びる。は5深裂し、裂片は長さ約3mmになり、花弁状になる。花弁は無い。雄蕊は8個あり、長さは萼片の半分。花柱は3個ある。果実は長さ3-3.5mmの痩果で、3稜形になり褐色で光沢があり、果期にも残る萼片よりやや長い[2][3][4][5]

分布と生育環境[編集]

日本固有種。北海道では十勝岳日高山脈アポイ岳ニセコ連峰に、本州では八甲田山八幡平岩手山秋田駒ヶ岳早池峰山東吾妻山北アルプスなどに分布し、高山帯の砂礫地や岩場に生育する[2][3][4]

名前の由来[編集]

和名のオヤマソバは、「御山蕎麦」の意で、花はソバに似ていて、御山に生えていることによるといい、牧野富太郎は、御山とは白山のこととしている[6]種小名nakaii は、植物分類学者の中井猛之進への献名[5]

シノニム[編集]

  • Pleuropteropyrum nakaii H.Hara[7]
  • Persicaria nakaii (H.Hara) Cubey[8]
  • Polygonum nakaii (H.Hara) Ohwi[9]

ギャラリー[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ オヤマソバ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ a b c d e 『山溪ハンディ図鑑8 高山に咲く花』pp.360-361
  3. ^ a b c d 『日本の野生植物草本II離弁花類』p.25
  4. ^ a b c d 『山溪カラー名鑑 日本の高山植物』p.502-503
  5. ^ a b c d 『新牧野日本植物圖鑑』p.77,p.1338
  6. ^ おやまそば, 牧野日本植物図鑑(初版・増補版)インターネット版
  7. ^ オヤマソバ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  8. ^ オヤマソバ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  9. ^ オヤマソバ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)

参考文献[編集]