アンドロメダ座ウプシロン星

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アンドロメダ座υ星[1]
Upsilon Andromedae
アンドロメダ座υ星Aとその惑星の想像図
アンドロメダ座υ星Aとその惑星の想像図
星座 アンドロメダ座
視等級 (V) 4.10[1]
分類 分光連星[1]
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α) 01h 36m 47.84216s[1]
赤緯 (Dec, δ) +41° 24′ 19.6443″[1]
赤方偏移 -0.000095[1]
視線速度 (Rv) -28.59 km/s[1]
固有運動 (μ) 赤経: -173.33 ミリ秒/年[1]
赤緯: -381.80 ミリ秒/年[1]
年周視差 (π) 74.12 ± 0.19 ミリ秒[1]
距離 43.98 ± 0.11光年[注 1]
(13.49 ± 0.03パーセク)[注 1]
絶対等級 (MV) 3.450[注 2]
物理的性質
半径 1.6 R
質量 1.28 M
自転速度 ~8[要出典]
スペクトル分類 F9V [1]
光度 3.4 L
表面温度 6,095 K
色指数 (B-V) +0.54[2]
色指数 (U-B) +0.06[2]
色指数 (R-I) +0.29[2]
金属量 100%
年齢 33億 年
別名称
別名称
アンドロメダ座50番星[1]
BD +40 332[1]
FK5 1045[1], HD 9826[1]
HIP 7513[1], HR 458[1]
SAO 37362[1]
LTT 10561[1]
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アンドロメダ座υ星(アンドロメダざウプシロンせい)は、アンドロメダ座の方角に約44光年の位置にある連星である。主星(アンドロメダ座υ星A)は太陽より若干若いF型主系列星で、伴星(アンドロメダ座υB)は、赤色矮星である。

2008年までに、主星の周りを3つの太陽系外惑星が公転していることが明らかとなった。3つとも全て木星型惑星である。また、アンドロメダ座υ星は、複数の惑星を持った主系列星、複数の惑星を持った多重星系として初めて発見された。アンドロメダ座υ星Aは、NASAの地球型惑星探査機の探査対象の21番目に挙げられているが、財政難により計画自体が延期されている[3]

距離と見え方[編集]

アンドロメダ座υ星は太陽系と比較的近い位置にある。ヒッパルコスによってアンドロメダ座υ星Aの視差が73.97ミリ秒と測定され、距離は13.52パーセクと推定された。アンドロメダ座υ星Aの等級は4.09であり、ある程度明るい空でも、アンドロメダ銀河の10度程東側に肉眼で見ることができる。暗いアンドロメダ座υ星Bは、望遠鏡を使わないと見えない。

連星[編集]

アンドロメダ座υ星Aはスペクトル型F8VのF型主系列星で、太陽と比較的似ているが、より若く、重くて明るい。Geneva-Copenhagen surveyによると、年齢は約31億歳で、水素に対する鉄の量の比は太陽と近い[4]。1.3太陽質量を持つため、寿命は太陽よりも短い。ハビタブルゾーンへ放射する紫外線の量は、太陽から地球への紫外線量とほぼ同じである[5]

アンドロメダ座υ星Bはスペクトル型M4.5Vの赤色矮星で、主星から750天文単位離れているが、アンドロメダ座υ星と地球の間の視線が不明であるため、2つの恒星の間の本当の距離は分からない。この星は2002年に、2MASSによるデータ収集の過程で発見された[6]。太陽と比べ、若干小さく、かなり暗い。

ワシントン重星カタログには、2つの天体が登録されている。

惑星系[編集]

アンドロメダ座υ星の最も内側の惑星は1996年にサンフランシスコ州立大学ジェフリー・マーシーポール・バトラーが発見し、うしかい座τ星かに座55番星の惑星とともに1997年に公表された[7]アンドロメダ座υ星bと名付けられた惑星は、惑星の重力による視線速度の変動の観測によって発見された。恒星から近い位置にあるために揺れが大きく、変動は比較的容易に観測できる。この惑星は、恒星の彩層の活動の活性化に影響を与えていると考えられる[8]

この惑星を考慮に入れても、視線速度の測定値と理論間の間にはかなりの誤差があり、他の惑星の存在が指摘された。1999年、サンフランシスコ州立大学とハーバード・スミソニアン天体物理学センターの天文学者はそれぞれ独立に、3つの惑星を仮定するモデルでデータがうまく説明できると結論づけた[9]。外側の2つの惑星は、恒星から遠くなる順に各々アンドロメダ座υ星c及びアンドロメダ座υ星dと名付けられた。2つの惑星は、冥王星を含めた太陽系のどの惑星よりも長細い軌道を持つ[10]。また最も外側の惑星は、ハビタブルゾーンの中に存在する[5]

この惑星系は同一平面上にある訳ではなく、アンドロメダ座υ星cとdの軌道傾斜角の差は35°である[11]。2001年に行われた位置天文学的な予備観測によって、最も外側の惑星の軌道傾斜角が155.5°と測定された[12]。しかしその後のデータ調査によって、ヒッパルコスの精度は惑星の軌道を確定するには十分でないことが示唆された[13]。一方、最も内側の惑星の軌道傾斜角は30°-90°に確定した。この研究の詳細な結果は2008年に公表される[14]。アンドロメダ座υ星cの軌道は、円形から長円形に、6700年の周期で振動している。小さく主星から遠くにあるため検出できない程度の他の惑星が存在する可能性については否定されないが、アンドロメダ座υ星Aから5天文単位に木星質量程度の惑星があると、系が不安定になることが分かっている[15]

いくつかのシミュレーションによって、系の惑星の離心率が増大しているのは、外側の惑星と4番目の惑星が接近し、結果として4番目の惑星が弾き出されたか破壊されて以来、上昇しているという可能性があることが示された[16]。また別のモデルも考えることができる[17]

アンドロメダ座υ星は、太陽系のエッジワース・カイパーベルトのような恒星を取り巻く塵の円盤を持たないように見える[18]。これは、伴星の摂動により、恒星系の外側の領域から物質を一掃してしまったことが原因であると考えられる[6]

2010年11月22日にυ星eが発見された。

アンドロメダυ星の惑星
名称
(恒星に近い順)
質量 軌道長半径
天文単位
公転周期
()
軌道離心率 軌道傾斜角 半径[10]
b (Saffar) >0.687 ± 0.058 MJ 0.0595 ± 0.0034 4.617113 ± 0.000082 0.023 ± 0.018
c (Samh) >1.98 ± 0.17 MJ 0.832 ± 0.048 241.23 ± 0.30 0.262 ± 0.021
d (Majriti) >3.95 ± 0.33 MJ 2.54 ± 0.15 1290.1 ± 8.4 0.258 ± 0.032
e 0.96±0.14 MJ 5.2456 ± 0.00067 0.0055±0.0004

名称[編集]

2015年、国際天文学連合が太陽系外惑星系の固有名を募集した際、この星系も対象とされた。投票の結果、モロッコUNAWE英語版のパートナー団体 Vega Astoronomy Club から提案された、Titawin という固有名が付けられた[19]。この名前は、ユネスコ世界遺産に登録されたモロッコの街テトゥアンの旧市街地 Medina of Tétouan (formerly known as Titawin) に由来する[19]。同時に、惑星eを除く3惑星にも Saffar、Samh、Majriti という固有名が付けられている[19]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算(誤差も同様)、光年はパーセク×3.26より計算。各有効桁小数第2位
  2. ^ 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。有効桁小数第3位

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t SIMBAD Astronomical Database”. Results for ups And. 2016年1月7日閲覧。
  2. ^ a b c 輝星星表第5版
  3. ^ #12 HIP 7513”. TPF-C Top 100. 2006年7月5日閲覧。
  4. ^ Holmberg et al. (2007年). “Record 970”. Geneva-Copenhagen Survey of Solar neighbourhood. 2008年11月19日閲覧。
  5. ^ a b Buccino, A. et al. (2006). “Ultraviolet Radiation Constraints around the Circumstellar Habitable Zones”. Icarus 183 (2): 491?503. doi:10.1016/j.icarus.2006.03.007. http://adsabs.harvard.edu/abs/2005astro.ph.12291B. 
  6. ^ a b Lowrance, P. et al. (2002). “A Distant Stellar Companion in the υ Andromedae System”. The Astrophysical Journal Letters 572 (1): L79?L81. doi:10.1086/341554. http://cdsads.u-strasbg.fr/cgi-bin/nph-bib_query?2002ApJ...572L..79L&db_key=AST&nosetcookie=1. 
  7. ^ Butler et al. (1997). “Three New 51 Pegasi-Type Planets”. The Astrophysical Journal Letters 474 (2): L115?L118. doi:10.1086/310444. http://www.iop.org/EJ/article/1538-4357/474/2/L115/5590.html. 
  8. ^ Shkolnik, E. et al. (2005). “Hot Jupiters and Hot Spots: The Short- and Long-term Chromospheric Activity on Stars with Giant Planets”. The Astrophysical Journal 622 (2): 1075?1090. doi:10.1086/428037. http://www.iop.org/EJ/article/0004-637X/622/2/1075/61179.html. 
  9. ^ Butler et al. (1999). “Evidence for Multiple Companions to υ Andromedae”. The Astrophysical Journal 526 (2): 916?927. doi:10.1086/308035. http://www.iop.org/EJ/article/0004-637X/526/2/916/40403.html. 
  10. ^ a b Butler, R. et al. (2006). “Catalog of Nearby Exoplanets”. The Astrophysical Journal 646 (1): 505?522. doi:10.1086/504701. http://www.iop.org/EJ/article/0004-637X/646/1/505/64046.html.  (web version)
  11. ^ McArthur, B., Benedict, G. F., Bean, J., & Martioli, E. (2007). “Planet Masses in the Upsilon Andromadae system determined with the HST Fine Guidance Sensors”. American Astronomical Society Meeting Abstracts 211. 
  12. ^ Han, I. et al. (2001). “Preliminary Astrometric Masses for Proposed Extrasolar Planetary Companions”. The Astrophysical Journal Letters 548: L57?L60. doi:10.1086/318927. http://www.iop.org/EJ/article/1538-4357/548/1/L57/005774.html. 
  13. ^ Pourbaix, D. and Arenou, F. (2001). “Screening the Hipparcos-based astrometric orbits of sub-stellar objects”. Astronomy and Astrophysics 372: 935?944. doi:10.1051/0004-6361:20010597. http://adsabs.harvard.edu/abs/2001A%26A...372..935P. 
  14. ^ Benedict, George F.; McArthur, B. E.; Bean, J. L. (2007). “The υ Andromedae Planetary System - Hubble Space Telescope Astrometry and High-precision Radial Velocities”. Bulletin of the American Astronomical Society 38: 185.  Announced American Astronomical Society Meeting 210, #78.02
  15. ^ Lissauer, J., Rivera, E. (2001). “Stability analysis of the planetary system orbiting υ Andromedae. II. Simulations using new Lick observatory fits”. The Astrophysical Journal 554: 1141?1150. doi:10.1086/321426. http://simbad.u-strasbg.fr/cgi-bin/cdsbib?2001ApJ...554.1141L. 
  16. ^ Ford, E. et al. (2005). “Planet-planet scattering in the upsilon Andromedae system”. Nature 434: 873?876. doi:10.1038/nature03427. http://simbad.u-strasbg.fr/cgi-bin/cdsbib?2005Natur.434..873F. 
  17. ^ Rory Barnes; Richard Greenberg (2008年). “Extrasolar Planet Interactions”. arXiv:0801.3226v1 [astro-ph]. 
  18. ^ Trilling, D. et al. (2000). “Circumstellar dust disks around stars with known planetary companions”. The Astrophysical Journal 529: 499?505. doi:10.1086/308280. http://simbad.u-strasbg.fr/cgi-bin/cdsbib?2000ApJ...529..499T. 
  19. ^ a b c NameExoWorlds”. 国際天文学連合 (2015年12月15日). 2016年1月7日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]