アンドロメダ座ウプシロン星b

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
アンドロメダ座υ星b
太陽系外惑星 太陽系外惑星の一覧
Upsilon Andromedae b.jpg
アンドロメダ座υ星bの想像図
主星
恒星 アンドロメダ座υ星
星座 アンドロメダ座
赤経 (α) 01h 36m 47.8s
赤緯 (δ) +41° 24′ 20″
視等級 (mV) 4.09
距離 44.0 ± 0.1 ly
(13.49 ± 0.03 pc)
スペクトル分類 F8V
質量 (m) 1.28 M
半径 (r) 1.480 ± 0.087 R
温度 (T) 6074 ± 13.1 K
金属量 [Fe/H] 0
年齢 3.3 Gyr
軌道要素
軌道長半径 (a) 0.0595 ± 0.0034 AU
(~8.91 Gm)
    ~4.41 mas
近点距離 (q) 0.0549 ± 0.0046 AU
(~8.22 Gm)
遠点距離 (Q) 0.0609 ± 0.0046 AU
(~9.11 Gm)
離心率 (e) 0.023 ± 0.018
周期 (P) 4.617113 ± 0.000082 d
(0.01264 y)
    (~110.811 h)
軌道傾斜角 (i) ~25[1]°
近日点引数 (ω) 63.4°
近日点通過時刻 (T0) 2,451,802.64 ± 0.71 JD
準振幅 (K) 69.8 ± 1.5 m/s
物理的性質
質量 (m) 1.4[1] MJ
発見
発見日 1996年6月23日
発見者 ジェフリー・マーシーら
発見方法 視線速度法
観測場所 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
カリフォルニア・
カーネギー天文台
現況 公表
他の名称
参照データベース
Extrasolar Planets
Encyclopaedia
data
SIMBAD data
Exoplanet Archive data
Open Exoplanet Catalogue data

アンドロメダ座υ星b(アンドロメダざウプシロンせいb、Upsilon Andromedae b)は、アンドロメダ座の方向に約44光年の位置にある太陽系外惑星である。赤色矮星で伴星のアンドロメダ座υ星Bと区別するため、アンドロメダ座υ星Abと呼ばれることもある。この惑星は、ソーラーアナログアンドロメダ座υ星を、ほぼ5日間で公転しているのが発見された。1996年6月にジェフリー・マーシーポール・バトラーが、最初のホットジュピターの1つとして発見した。アンドロメダ座υ星bは、惑星系の中で最も内側を公転している。

発見[編集]

既に発見されている他の多くの太陽系外惑星と同様に、アンドロメダ座υ星bは、惑星の重力による視線速度の変化によって発見された。視線速度の変化は、アンドロメダ座υ星のスペクトルのドップラー効果の変化から検出された。1997年1月に、かに座55番星bうしかい座τ星bとともに発見が公表された[2]

アンドロメダ座υ星bの軌道

ペガスス座51番星bとともに、通常の恒星を公転する初めての太陽系外惑星であり、アンドロメダ座υ星bは太陽水星の間よりも近い軌道を公転している。公転周期は4.617日であり、軌道長半径は0.0595天文単位である[3]

アンドロメダ座υ星bを発見した視線速度法の制限として、質量は下限しか示されない。アンドロメダ座υ星bの場合、この下限は0.687木星質量と推定されるが、軌道傾斜角から求めた値では、真の質量はもっと大きいと考えられる。しかし現在では、軌道平面からの傾斜角は30°以上であり、真の質量は木星質量の0.687倍から1.37倍と考えられている[4]。共平面性は見られず、c、dとの相互の傾斜角は35°である[5]

物理的な特徴[編集]

その大きな質量から、アンドロメダ座υ星bは表面に固体を持たない木星型惑星であると推定されている。惑星が間接的にしか検出されていないため、半径や構成成分といった物理的な特徴は分かっていない。

スピッツァー宇宙望遠鏡により、惑星の表面温度は約1400℃であると測定されたが、惑星の片面は-20℃から230℃、もう片面が1400℃から1650℃であった[6]。この温度の差によりアンドロメダ座υ星bは常に同じ面をアンドロメダ座υ星Aに向けていると推定されている。

Sudarskyらは、この惑星は木星と同じような組成を持ち、環境は化学平衡に近く、大気上層にはケイ素の反射雲があると推定している[7]。反射雲は高温高気圧のガスの上にある成層圏に存在し、恒星からの熱を吸収している[8]。その周りには暗く不透明な、おそらくバナジウム酸化チタンでできた雲が取り巻いているが、ソリンのようなその他の成分がある可能性も否定されていない。

潮汐力のせいで弾き出されてしまうか、惑星系の年齢よりずっと短い期間で破壊されてしまうため、大きな衛星は持たないと考えられる[9]

アンドロメダ座υ星bとペガスス座51番星bは、超高感度偏光計で直接観測が期待される候補の惑星となっている[10]

恒星への影響[編集]

アンドロメダ座υ星の彩層の活動の活発化は、アンドロメダ座υ星bの影響だと考えられている。観測により、恒星の惑星側から169°の位置にホットスポットが存在することが分かったが、これは恒星と惑星の磁場の相互作用が原因だと考えられている。この機構は木星イオの相互作用と同様のものだと考えられている[11]

関連項目[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b McArthur et al. (2010). New Observational Constraints on the υ Andromedae System with Data from the Hubble Space Telescope and Hobby Eberly Telescope (PDF). 
  2. ^ Butler et al. (1997). "Three New 51 Pegasi-Type Planets". The Astrophysical Journal 474 (2): L115?L118. doi:10.1086/310444. 
  3. ^ Butler, R. et al. (2006). "Catalog of Nearby Exoplanets". The Astrophysical Journal 646 (1): 505?522. doi:10.1086/504701.  (web version)
  4. ^ Benedict, George F.; McArthur, B. E.; Bean, J. L. (2007). "The υ Andromedae Planetary System - Hubble Space Telescope Astrometry and High-precision Radial Velocities". Bulletin of the American Astronomical Society 38: 185.  Announced American Astronomical Society Meeting 210, #78.02
  5. ^ McArthur, B., Benedict, G. F., Bean, J., & Martioli, E. (2007). "Planet Masses in the Upsilon Andromadae system determined with the HST Fine Guidance Sensors". American Astronomical Society Meeting Abstracts 211. 
  6. ^ Harrington, J; Hansen BM, Luszcz SH, Seager S, Deming D, Menou K, Cho JY, Richardson LJ (October 27 2006). "The phase-dependent infrared brightness of the extrasolar planet upsilon Andromedae b". Science 314 (5799): 623?6. doi:10.1126/science.1133904. PMID 17038587. 
  7. ^ Sudarsky, D. et al. (2003). "Theoretical Spectra and Atmospheres of Extrasolar Giant Planets". The Astrophysical Journal 588 (2): 1121 – 1148. doi:10.1086/374331. 
  8. ^ Ivan Hubeny; Adam Burrows (2008年). “Spectrum and atmosphere models of irradiated transiting extrasolar giant planets”. arXiv:0807.3588v1 [astro-ph]. 
  9. ^ Barnes, J., O'Brien, D. (2002). "Stability of Satellites around Close-in Extrasolar Giant Planets". The Astrophysical Journal 575 (2): 1087 – 1093. doi:10.1086/341477. 
  10. ^ Lucas, P. W.; Hough, J. H.; Bailey, J. A.; Tamura, M.; Hirst, E.; Harrison, D. (2007年). “Planetpol polarimetry of the exoplanet systems 55 Cnc and tau Boo”. arXiv:0807.2568v1 [astro-ph]. 
  11. ^ Shkolnik et al. (2005). "Hot Jupiters and Hot Spots: The Short- and Long-term Chromospheric Activity on Stars with Giant Planets". The Astrophysical Journal 622 (2): 1075?1090. doi:10.1086/428037. 

外部リンク[編集]