アントニオ・クロマティ

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アントニオ・クロマティ
Antonio Cromartie
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現役時代(2016年)
基本情報
ポジション コーナーバック
生年月日 (1984-04-15) 1984年4月15日(40歳)
出身地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
フロリダ州タラハシー
身長: 6' 2" =約188cm
体重: 211 lb =約95.7kg
経歴
大学 フロリダ州立大学
NFLドラフト 2006年 / 1巡目全体19位
初出場年 2006年
初出場チーム サンディエゴ・チャージャーズ
所属歴
選手歴
2006 - 2009 サンディエゴ・チャージャーズ
2010 - 2013 ニューヨーク・ジェッツ
2014 アリゾナ・カージナルス
2015 ニューヨーク・ジェッツ
2016 インディアナポリス・コルツ
コーチ歴
2021 - テキサスA&M大学
受賞歴・記録
オールプロ選出(1回)
2007
プロボウル選出(4回)
2007・2012・2013・2014
その他受賞・記録
シーズン最多インターセプト(2007年)
NFL最長プレー(109yd)
NFL 通算成績
タックル 417回
タッチダウン 5回
インターセプト 31回
ファンブルフォース 2回
パスディフェンス 117回
Player stats at NFL.com
Player stats at PFR

アントニオ・クロマティ(Antonio Cromartie 1984年4月15日 - )は、フロリダ州タラハシー出身の元アメリカンフットボール選手。現役時代のポジションはコーナーバック。

経歴[編集]

プロ入りまで[編集]

父親が家出をしたため、弟妹3人とともに、母親1人の手で育てられた。リンカーン高校ではQB、RB、WR、CB、Sでプレーし、USAトゥデイから最優秀守備選手に選ばれた[1]

高校3年次の2002年に6インターセプト、53タックル、キックオフリターンで2回、パントリターンで3回タッチダウンをあげると共にオフェンスでは30回のキャッチで642ヤード、6タッチダウン、ランで13回のキャリーで242ヤード、3タッチダウンをあげた。この年USAトゥデイより、全米の最優秀守備選手に選ばれている[2]。またRivals.comからは2003年のプロスペクト、コーナーバック部門の6位にランクされた[3]

地元のフロリダ州立大学に進学、最初の2年間はニッケルバック、キックオフリターナーとして起用された。3年次の2005年7月、練習中に靭帯損傷し、そのシーズンを棒に振った。2006年1月、母親が乳癌に罹っていたことが判明し、NFLドラフトにアーリーエントリーを行った[1]

サンディエゴ・チャージャーズ[編集]

2006年NFLドラフト1巡19位でサンディエゴ・チャージャーズに指名され、5年間1350万ドル(735万ドルの保障)で契約し入団した。この年オークランド・レイダース戦では91ヤードのキックオフリターンタッチダウンをあげた。

2年目の2007年、10月28日のヒューストン・テキサンズ戦では2インターセプト1タッチダウンの他にファンブルリカバータッチダウンをあげてAFC守備部門週間MVPに選ばれた。翌週11月4日のミネソタ・バイキングス戦では、ライアン・ロングウェルが狙った58ヤードのFGが失敗した後、エンドゾーン内でこれを拾い、109ヤードのリターンタッチダウンをあげた。これはNFL史上最長のプレーとなっている[4][5]。翌週のインディアナポリス・コルツ戦よりクエンティン・ジャマーが故障者リスト入りしたため、先発出場しペイトン・マニングから3インターセプトをあげて[1]週間MVPに選ばれた。最後のインターセプトはレジー・ウェインへのパスを片手でインターセプトしたものだった[6][7]。12月16日にシーズン10個目のインターセプトをあげて1961年にチャーリー・マクニールが作ったチーム記録を塗り替えた。この年、NFLトップの10インターセプトをあげて[8]プロボウルに選出された。プロボウルでも2インターセプトをあげている。

2008年、開幕前にNFL記録である14インターセプトを塗り替えると発言したが、2インターセプトに終わった。第3週、ニューヨーク・ジェッツとのマンデーナイトフットボールでは自己ベストの9タックルと共にブレット・ファーヴから2インターセプトをあげてAFCのディフェンス部門週間MVPに選ばれた[9]。1月13日のディビジョナルプレーオフでもペイトン・マニングからインターセプトを奪い、チームも28-24で勝利した[10]。シーズン終了後に彼は開幕戦のカロライナ・パンサーズ戦で臀部に怪我を負ったままプレーし続けていたと述べている。

2009年、3インターセプト、33タックル、10パスブロックの成績で終えた。2008年、2009年の2シーズンで5インターセプトに終わった彼はトレード要員となった[11]。ただしNFL.comのビッグ・カルーチによれば、これはチャージャーズのパスラッシュの弱体によるものと分析されている[12]。2010年3月、翌年のドラフト2巡または3巡指名権[13]と引き換えにニューヨーク・ジェッツに移籍した[14]

ニューヨーク・ジェッツ[編集]

2010年の開幕戦、ボルチモア・レイブンズとの試合ではジョー・フラッコのパスをインターセプトし66ヤードのリターンを見せた。10月11日のミネソタ・バイキングス戦ではランディ・モスをマークしていたが、ブレット・ファーヴの通算500タッチダウンパスを許した[15]。2011年1月8日のインディアナポリス・コルツとのワイルドカードプレーオフでは、最後の攻撃シリーズのキックオフリターンで47ヤードをリターン、逆転FGにつなげた[16]。1月16日のニューイングランド・ペイトリオッツとのディビジョナルプレーオフでは第4Q、相手のオンサイドキックを23ヤードリターンする好プレーを見せた[17]。1月22日、翌日行われるAFCチャンピオンシップゲームを前に、ピッツバーグ・スティーラーズのWR、ハインズ・ウォードマイク・ウォレスエマニュエル・サンダースアントニオ・ブラウンを口撃した[18]

オフシーズンに制限つきフリーエージェントとなったが[19]、同年7月31日、ジェッツと4年間3200万ドルの契約延長に合意した[20]

2011年第2週のジャクソンビル・ジャガーズ戦では2インターセプトをあげてAFC守備部門週間MVPに選ばれた[21]

2012年ダレル・リーヴィスACL断裂して、シーズン絶望となったことから、ジェッツのナンバー1コーナーバックとなり、自身2度目となるプロボウルに選出された。

2013年シーズンもプロボウルに選出されたが、オフにFAとなった。

ジェッツ退団後[編集]

2014年3月19日、アリゾナ・カージナルスと契約を結んだ。この年49タックル、3インターセプト、10パスディフェンスの成績を残した。

2015年3月12日、古巣のジェッツと契約を結んだ[22]が1年でリリースされた。

2016年シーズンはインディアナポリス・コルツと契約したが、4試合の出場後に放出された[23]

現役引退後[編集]

2018年に現役引退を表明[24]し、2021年よりテキサスA&M大学のコーチに就任した[25]

人物[編集]

2010年

マンツーマンカバーに優れている[26]

8人の異なる女性との間に10人の子どもを儲けている[27]。8人目となる子どもを2010年4月に産んだ、キャンディ・ガールズ英語版の1人テリカ・ケイソンと同年7月2日に結婚した[28]

従兄弟のドミニク・ロジャース=クロマティもNFL選手となっている[29]

Twitterでキャンプの食事を批判して2,500ドルの罰金を科されるなど[30]、素行不良の問題児と見なされており、ジェッツ加入時にはチームの和を乱すと不安視する声もあがっていた[31]

ロジャー・グッデルNFLコミッショナーが導入しようとしているヒト成長ホルモン(HGH)の薬物検査導入に賛成を表明している[32]

脚注[編集]

  1. ^ a b c 後藤完夫 (2008年5月). “ディオン・サンダース超え アントニオ・クロマティー、史上最高へ”. TOUCHDOWN PRO. 2015年3月14日閲覧。
  2. ^ All-USA 2002 high school football team”. USAトゥデイ (2005年5月20日). 2011年8月2日閲覧。
  3. ^ 2003 Prospect Ranking”. Rivals.com. 2011年8月2日閲覧。
  4. ^ Adrian Peterson leads Vikings past Chargers 35-17 on another record day”. Yahoo! SPORTS (2007年11月4日). 2011年8月2日閲覧。
  5. ^ CFLで129ヤードリターンTDのスーパープレイ!”. NFL JAPAN (2012年7月19日). 2012年7月19日閲覧。
  6. ^ Cromartie's first start at corner a smash hit”. ESPN (2007年11月12日). 2011年8月2日閲覧。
  7. ^ Give Cromartie a party, more starts”. signonsandiego.com (2007年11月12日). 2011年8月2日閲覧。
  8. ^ NFL記録集”. NFL JAPAN. 2011年8月2日閲覧。
  9. ^ CBクロマティ、ファーブからINT奪取で3度目の受賞”. NFL JAPAN (2008年9月25日). 2011年8月2日閲覧。
  10. ^ San Diego Chargers 28 at Indianapolis Colts 24 Sunday, January 13, 2008”. pro-football-reference.com. 2011年8月2日閲覧。
  11. ^ チャージャースCBクロマティ、ライオンズにトレードか”. NFL JAPAN (2010年3月1日). 2011年8月2日閲覧。
  12. ^ 移籍市場解禁から1週間、現時点での勝ち組は?”. NFL JAPAN (2010年3月10日). 2011年8月2日閲覧。
  13. ^ Chargers trade troubled CB Cromartie to Jets for 2011 draft pick”. nfl.com (2010年3月5日). 2011年8月2日閲覧。
  14. ^ チャージャース、CBクロマティをジェッツに放出”. NFL JAPAN (2010年3月5日). 2011年8月2日閲覧。
  15. ^ Brett Favre connects with Randy Moss - who beats Antonio Cromartie - for 500th career touchdown pass”. ニューヨーク・デイリー・ニュース (2010年10月12日). 2011年8月2日閲覧。
  16. ^ ジェッツ終了間際の決勝FGで逆転勝ち、昨季の雪辱果たす”. NFL JAPAN (2011年1月9日). 2011年8月2日閲覧。
  17. ^ ジェッツが番狂わせ達成、大本命ペイトリオッツを下す”. NFL JAPAN (2011年1月17日). 2011年8月2日閲覧。
  18. ^ ジェッツCBクロマティ、スティーラーズWR陣に“先制口撃””. NFL JAPAN (2011年1月23日). 2011年8月2日閲覧。
  19. ^ ジェッツ、CBクロマティらを引き留めへ”. NFL JAPAN (2011年3月2日). 2011年8月2日閲覧。
  20. ^ アソムハ逃したジェッツ、CBクロマティと契約延長”. NFL JAPAN (2011年8月1日). 2011年8月2日閲覧。
  21. ^ CBクロマティ、Sハーパーが選出 週間MVP守備部門”. NFL JAPAN (2011年9月22日). 2011年9月26日閲覧。
  22. ^ CBクロマティが古巣ジェッツと契約、レビスとのコンビ復活”. NFL JAPAN (2015年3月13日). 2015年3月14日閲覧。
  23. ^ “コルツが先発CBクロマティ、LBムーアを解雇”. NFL JAPAN. (2016年10月5日). https://nfljapan.com/headlines/8078 2022年3月5日閲覧。 
  24. ^ Patra, Kevin (2018年3月5日). “Antonio Cromartie announces retirement from football”. NFL.com. 2022年3月5日閲覧。
  25. ^ Former Jets CB Antonio Cromartie joins Texas A&M coaching staff” (英語). Jets Wire (2021年4月7日). 2022年3月5日閲覧。
  26. ^ 2011年オフ動向注目選手 CB編集 3/6”. NFL JAPAN (2011年7月29日). 2011年8月2日閲覧。
  27. ^ 多発するNFL選手の問題行動、将来は対策必要に?”. NFL JAPAN (2012年5月25日). 2015-03-014閲覧。
  28. ^ Antonio Cromartie needs a new start”. ESPN (2010年8月3日). 2011年8月2日閲覧。
  29. ^ Jason Karl (2011年6月23日). “NFL: 8 Players Most Likely to Rebound from Poor 2010 Seasons”. bleacherreport.com. 2013年1月5日閲覧。
  30. ^ 近藤祐司 (2009年8月7日). “ネット社会の弊害 “つぶやき”はOK?”. NFL JAPAN. 2011年8月2日閲覧。
  31. ^ 問題児ホームズ獲得、ジェッツの決断は妥当か?”. NFL JAPAN (2010年4月13日). 2011年8月2日閲覧。
  32. ^ HGH検査に選手たちから賛否両論”. NFL JAPAN (2011年4月7日). 2011年8月2日閲覧。

外部リンク[編集]