「自己啓発セミナー」の版間の差分
会社サイトを出典とした記述はサービスの内容から「解釈」しており、死亡事例の情報源はいずれも「自己啓発セミナー」と書かれていないため、除去しました + {{信頼性要検証}}。 |
日経美痔根巣 須空流 (会話 | 投稿記録) ”自己啓発”は英語で”Personal development”で、LGATを連想しないが、日本ではカルトと接点のある自己啓発セミナーと混同されるため大量削除は控えるべき。出典を付加して編集しておいた。 |
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'''自己啓発セミナー'''(じこけいはつセミナー、''Large Group Awareness Training''、'''LGAT''')とは、主に「本当の自分を見つけ」「可能性を開く」「自己の殻を打ち破る」「心の[[癒やし]]」「[[トラウマ]]の解消」などと称する、[[自己啓発]]を目的とする[[ゼミナール|セミナー]]である。狭義には、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]で設立された |
'''自己啓発セミナー'''(じこけいはつセミナー、''Large Group Awareness Training''、'''LGAT''')とは、主に「本当の自分を見つけ」「可能性を開く」「自己の殻を打ち破る」「心の[[癒やし]]」「[[トラウマ]]の解消」などと称する、[[自己啓発]]を目的とする[[ゼミナール|セミナー]]である。狭義には、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]で設立された{{日本語版にない記事リンク|マインドダイナミクス|en|Mind Dynamics}}<ref>1968年にアレクサンダー・エベレットによって設立され、1970年にマルチ商法のホリディマジック社に買収された。ホリディマジック社がアメリカで実質的に非合法化されたため、1973年に解散している。</ref>から分岐したエスト(英語:[[:en:Erhard Seminars Training|''es''t]])<ref>マインドダイナミクス解散前の1971年に分岐。1984年に死亡事故を起してフォーラム(現[[ランドマーク・エデュケーション]])に名称変更し、座学中心に改めて存続した。</ref>や{{日本語版にない記事リンク|ライフスプリング|en|Lifespring}}<ref>マインドダイナミクスと相前後する1974年に設立された。</ref>の流れを汲んだセミナーのことを指す。 |
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[[コーチング]]は自己啓発セミナーを起源としており、自己啓発セミナーを推進した事業者や個人の多くが前世紀からコーチングへの事業転換を図った<ref>[[催眠商法#歴史|島津幸一]]とともに日本で初めて自己啓発セミナー事業を広めた[https://www.extraordinarypeople.com/Executive-Coaching/ "ロバート・ホワイトのエグゼクティブ・コーチング"] - 同ホームページ。</ref>。 |
[[コーチング]]は自己啓発セミナーを起源としており、自己啓発セミナーを推進した事業者や個人の多くが前世紀からコーチングへの事業転換を図った<ref>[[催眠商法#歴史|島津幸一]]とともに日本で初めて自己啓発セミナー事業を広めた[https://www.extraordinarypeople.com/Executive-Coaching/ "ロバート・ホワイトのエグゼクティブ・コーチング"] - 同ホームページ。</ref>。 |
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== 概略 == |
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自己啓発セミナーは、[[成功哲学]]を含む[[ニューソート]]の流れを汲んだ積極的思考の思想、[[サイケデリック]]の実験から発展した[[ヒューマン・ポテンシャル・ムーブメント]]のセラピー技法、[[連鎖販売取引|マルチ・レベル・マーケティング]]([[マルチ商法]])系の人脈によって、1970年前後にアメリカで確立した。日本にもHoliday Magic社の日本進出<ref>[http://www.cside5.com/~mojico/mirror/nenpyo.htm MLM年表]</ref> |
自己啓発セミナーは、[[成功哲学]]を含む[[ニューソート]]の流れを汲んだ積極的思考の思想、[[サイケデリック]]の実験から発展した[[ヒューマン・ポテンシャル・ムーブメント]]のセラピー技法、[[連鎖販売取引|マルチ・レベル・マーケティング]]([[マルチ商法]])系の人脈によって、1970年前後にアメリカで確立した。日本にもマルチ商法の{{日本語版にない記事リンク|ホリディマジック|en|Holiday Magic}}社の日本進出<ref>[http://www.cside5.com/~mojico/mirror/nenpyo.htm MLM年表]</ref>とともにそのディストリビューター向けトレーニングとして1974年頃に上陸した<ref>[http://www.geocities.jp/seminar_spirit/company04.htm ARCインターナショナル(ライフ・ダイナミックス)] - |
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自己啓発セミナー対策ガイド。</ref>。 |
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並行してアメリカで開発されたリーダー養成のための企業向け研修方式であるST([[センシティビティ・トレーニング]])が、受講中の自殺者や受講後の心身疾患を多発させて日本でも一挙に下火になったあと、1970年代に生まれた[[ニューエイジ]]系の[[疑似科学]]が結びついて体系化され、事前に可否判断の情報を持ち得ず自己責任での受講となる個人向けセミナーとして通流した面が強いとされる<ref>『自分探しが止まらない』[[速水健朗]]</ref>。 |
並行してアメリカで開発されたリーダー養成のための企業向け研修方式であるST([[センシティビティ・トレーニング]])が、受講中の自殺者や受講後の心身疾患を多発させて日本でも一挙に下火になったあと、1970年代に生まれた[[ニューエイジ]]系の[[疑似科学]]が結びついて体系化され、事前に可否判断の情報を持ち得ず自己責任での受講となる個人向けセミナーとして通流した面が強いとされる<ref>『自分探しが止まらない』[[速水健朗]]</ref>。 |
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近年の日本の事業者の中には、複数の事業や手法を兼ねてセミナーを存続させているところもあるが<ref name="nissoken">[http://www.nisouken.co.jp/ 日本創造教育研究所のサービス], [http://www.achievement.co.jp/corp/service/ アチーブメントのサービス一覧]</ref>、基本的な内容構成は変わらない。「ウィン・ウィン(ボース・ウィン)」、「パートナーシップ」、「コミットメント」などの用語で心理拘束を行い、勧誘プログラムでチャレンジ目標を手帳にスケジュール化させるなどの手法も依然として用いられている。また、[[NPO法人]]や[[公益法人]]化して[[生涯学習]]プログラムを謳ったり、[[社会貢献]]を標榜したりする事業者もある<ref>[http://npo-joypro.jp/katudouannai.htm 特定非営利活動法人ジョイプロ 活動のご案内], [http://www.eaca.or.jp/index.htm 一般社団法人教育文化振興会 Home]</ref>。 |
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[[バブル経済]]のピークの頃から、セミナーの手法や勧誘を巡るトラブル、加えて[[催眠商法]]との関係がマスコミ報道で扱われるようになり、[[1994年]]にはST(センシティビティ・トレーニング)のときと同様、自己啓発セミナーでも受講中に[[自殺]]事件があったことを週刊 |
[[バブル経済]]のピークの頃から、セミナーの手法や勧誘を巡るトラブル、加えて[[催眠商法]]との関係がマスコミ報道で扱われるようになり、[[1994年]]にはST(センシティビティ・トレーニング)のときと同様、自己啓発セミナーでも受講中に[[自殺]]事件があったことを週刊誌が報じた<ref>[http://www.geocities.jp/seminar_spirit/new07.htm 2001/02 ホープアカデミー近況] - 自己啓発セミナー対策ガイド。</ref>。また、[[2001年]]と[[2010年]]には受講中の死亡事故が起きたことが報じられている。2010年の事故では、昏倒した受講者をしばらく放置したとして、死亡した受講者の家族が、セミナーの経営者ならびに[[タイアップ]]していたマルチ商法の関係者に対して[[民事訴訟]]を起こしている<ref>[http://dailycult.blogspot.jp/2011/06/ask.html 自己啓発セミナーで死者、法廷で明かされるASK社の実態(上)] - やや日刊カルト新聞。</ref>。 |
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⚫ | [[1999年]]に発生した[[成田ミイラ化遺体事件]]は、自己啓発セミナーの経営者が[[教祖]]化して起こした事件として認識されることはあまりなかったが、その後の[[X JAPAN]]の[[Toshl]]など、[[芸能人]]を巻き込んだ[[スキャンダル]]がたびたび世相を騒がせたため、自己啓発セミナーの存在が社会的に広く認識されるようになり<ref>[http://www.dma.aoba.sendai.jp/~acchan/Seminar/history.html LGAT(自己啓発セミナーに関する情報) ■自己啓発セミナーの歴史■]</ref>、[[知恵蔵]]にも採録されるほどになった<ref>[https://kotobank.jp/word/%E8%87%AA%E5%B7%B1%E5%95%93%E7%99%BA%E3%82%BB%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%83%BC-186034#E7.9F.A5.E6.81.B5.E8.94.B5 知恵蔵の解説 自己啓発セミナー(2007年)] - コトバンク(知恵蔵)。</ref>。近年は経営セミナー等の宣伝を[[学者]]・[[経営者]]・[[評論家]]・スポーツ関係者などを使って行い、事業全体のイメージを維持する自己啓発セミナー会社が存在している<ref name="nissoken"/>。 |
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自己啓発セミナーの手法(自己変革研修)を取り入れた[[新入社員]]研修が元で[[2013年]]5月に自殺し、[[2015年]]に「業務上の死亡だった」として[[労働災害|労災認定]]された社員の遺族が、こうしたケースの社会的な歯止めになればとして[[2017年]][[8月8日]]、入社した会社、研修会社、及びその講師を相手取って、損害賠償を含む1億500万円を求める民事訴訟を起こした<ref name="bengoshi">[https://www.bengo4.com/c_5/n_6488/ 「自己変革研修」で新入社員自殺、遺族がゼリア新薬など提訴…研修会社は反論] 2017年8月8日 弁護士ドットNEWS。</ref><ref name="buzz">[https://www.buzzfeed.com/jp/kazukiwatanabe/20170808?utm_term=.udlWGEoP#.vkP8DgBZ ゼリア新薬の22歳男性「ある種異様な」新人研修受け自殺 両親が提訴] 2017年8月8日 BuzzFeed NEWS。</ref>。問題となった研修は感極まって泣き出す人が出たり、軍隊みたいなことをさせるものだった<ref name="buzz"/><ref name="bengoshi"/>。社員は受講後しばらくして異常行動がみられるようになり、研修所から帰宅を命じられたが帰宅途中に[[自死]]、[[統合失調症]]を罹患したとされる<ref name="bengoshi"/><ref name="buzz"/>。 |
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⚫ | [[1999年]]に発生した[[成田ミイラ化遺体事件]]は、自己啓発セミナーの経営者が[[教祖]]化して起こした事件として認識されることはあまりなかったが、その後の[[X JAPAN]]の[[Toshl]]など、[[芸能人]]を巻き込んだ[[スキャンダル]]がたびたび世相を騒がせたため、自己啓発セミナーの存在が社会的に広く認識されるようにな |
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== 脚注 == |
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2017年11月3日 (金) 19:10時点における版
自己啓発セミナー(じこけいはつセミナー、Large Group Awareness Training、LGAT)とは、主に「本当の自分を見つけ」「可能性を開く」「自己の殻を打ち破る」「心の癒やし」「トラウマの解消」などと称する、自己啓発を目的とするセミナーである。狭義には、アメリカで設立されたマインドダイナミクス(英語: Mind Dynamics)[1]から分岐したエスト(英語:est)[2]やライフスプリング(英語: Lifespring)[3]の流れを汲んだセミナーのことを指す。
コーチングは自己啓発セミナーを起源としており、自己啓発セミナーを推進した事業者や個人の多くが前世紀からコーチングへの事業転換を図った[4]。
概略
自己啓発セミナーは、成功哲学を含むニューソートの流れを汲んだ積極的思考の思想、サイケデリックの実験から発展したヒューマン・ポテンシャル・ムーブメントのセラピー技法、マルチ・レベル・マーケティング(マルチ商法)系の人脈によって、1970年前後にアメリカで確立した。日本にもマルチ商法のホリディマジック社の日本進出[5]とともにそのディストリビューター向けトレーニングとして1974年頃に上陸した[6]。
並行してアメリカで開発されたリーダー養成のための企業向け研修方式であるST(センシティビティ・トレーニング)が、受講中の自殺者や受講後の心身疾患を多発させて日本でも一挙に下火になったあと、1970年代に生まれたニューエイジ系の疑似科学が結びついて体系化され、事前に可否判断の情報を持ち得ず自己責任での受講となる個人向けセミナーとして通流した面が強いとされる[7]。
近年の日本の事業者の中には、複数の事業や手法を兼ねてセミナーを存続させているところもあるが[8]、基本的な内容構成は変わらない。「ウィン・ウィン(ボース・ウィン)」、「パートナーシップ」、「コミットメント」などの用語で心理拘束を行い、勧誘プログラムでチャレンジ目標を手帳にスケジュール化させるなどの手法も依然として用いられている。また、NPO法人や公益法人化して生涯学習プログラムを謳ったり、社会貢献を標榜したりする事業者もある[9]。
影響
バブル経済のピークの頃から、セミナーの手法や勧誘を巡るトラブル、加えて催眠商法との関係がマスコミ報道で扱われるようになり、1994年にはST(センシティビティ・トレーニング)のときと同様、自己啓発セミナーでも受講中に自殺事件があったことを週刊誌が報じた[10]。また、2001年と2010年には受講中の死亡事故が起きたことが報じられている。2010年の事故では、昏倒した受講者をしばらく放置したとして、死亡した受講者の家族が、セミナーの経営者ならびにタイアップしていたマルチ商法の関係者に対して民事訴訟を起こしている[11]。
1999年に発生した成田ミイラ化遺体事件は、自己啓発セミナーの経営者が教祖化して起こした事件として認識されることはあまりなかったが、その後のX JAPANのToshlなど、芸能人を巻き込んだスキャンダルがたびたび世相を騒がせたため、自己啓発セミナーの存在が社会的に広く認識されるようになり[12]、知恵蔵にも採録されるほどになった[13]。近年は経営セミナー等の宣伝を学者・経営者・評論家・スポーツ関係者などを使って行い、事業全体のイメージを維持する自己啓発セミナー会社が存在している[8]。
自己啓発セミナーの手法(自己変革研修)を取り入れた新入社員研修が元で2013年5月に自殺し、2015年に「業務上の死亡だった」として労災認定された社員の遺族が、こうしたケースの社会的な歯止めになればとして2017年8月8日、入社した会社、研修会社、及びその講師を相手取って、損害賠償を含む1億500万円を求める民事訴訟を起こした[14][15]。問題となった研修は感極まって泣き出す人が出たり、軍隊みたいなことをさせるものだった[15][14]。社員は受講後しばらくして異常行動がみられるようになり、研修所から帰宅を命じられたが帰宅途中に自死、統合失調症を罹患したとされる[14][15]。
脚注
- ^ 1968年にアレクサンダー・エベレットによって設立され、1970年にマルチ商法のホリディマジック社に買収された。ホリディマジック社がアメリカで実質的に非合法化されたため、1973年に解散している。
- ^ マインドダイナミクス解散前の1971年に分岐。1984年に死亡事故を起してフォーラム(現ランドマーク・エデュケーション)に名称変更し、座学中心に改めて存続した。
- ^ マインドダイナミクスと相前後する1974年に設立された。
- ^ 島津幸一とともに日本で初めて自己啓発セミナー事業を広めた"ロバート・ホワイトのエグゼクティブ・コーチング" - 同ホームページ。
- ^ MLM年表
- ^ ARCインターナショナル(ライフ・ダイナミックス) - 自己啓発セミナー対策ガイド。
- ^ 『自分探しが止まらない』速水健朗
- ^ a b 日本創造教育研究所のサービス, アチーブメントのサービス一覧
- ^ 特定非営利活動法人ジョイプロ 活動のご案内, 一般社団法人教育文化振興会 Home
- ^ 2001/02 ホープアカデミー近況 - 自己啓発セミナー対策ガイド。
- ^ 自己啓発セミナーで死者、法廷で明かされるASK社の実態(上) - やや日刊カルト新聞。
- ^ LGAT(自己啓発セミナーに関する情報) ■自己啓発セミナーの歴史■
- ^ 知恵蔵の解説 自己啓発セミナー(2007年) - コトバンク(知恵蔵)。
- ^ a b c 「自己変革研修」で新入社員自殺、遺族がゼリア新薬など提訴…研修会社は反論 2017年8月8日 弁護士ドットNEWS。
- ^ a b c ゼリア新薬の22歳男性「ある種異様な」新人研修受け自殺 両親が提訴 2017年8月8日 BuzzFeed NEWS。
関連文献
- 塩谷智美『マインド・レイプ 自己啓発セミナーの危険な素顔 ドキュメント』三一書房、1997年4月。ISBN 4-380-97231-3。
- 柿田睦夫『自己啓発セミナー 「こころの商品化」の最前線』新日本出版社〈新日本新書〉、1999年3月。ISBN 4-406-02651-7。
- 齊藤正明『「自己啓発」は私を啓発しない』マイナビ〈マイナビ新書〉、2013年4月30日。ISBN 978-4-8399-4578-7 。