銃床
銃床(じゅうしょう、英: Stock:ストック、Buttstock:バットストック)は、銃やクロスボウの照準を安定させ、発射時の反動を抑えるために、肩に当てる部品を指す。吊り紐や二脚と併用すれば、さらに発砲時の安定が得られる。本来の銃床は銃のflame(フレーム)と呼ばれる部分で、銃床の前部(手を添える部分)を前床、後部(肩に当てる部分)を後床と言う。特に木製のものを木被といった。
歴史
英語のstock(ストック)という言葉は、スティック(stick, 棒)から派生した語で、butt(バット)という言葉は「太い端」を意味する。初期に作られた武器では、銃身に棒を直接一脚のように取り付けて固定していたが、後に銃の照準をしっかり安定させるため、後端に銃床を取り付けてバランスを取ることが一般的となった。騎兵は銃床を初期マスケット銃の装填に利用していた。
概要
もし銃が肩撃ちされない用途(車両搭載機銃や拳銃など)の場合、銃床を取り付けることは適切ではない。武器が設計上、車両に搭載することもあれば歩兵が携行することもあるような場合には、銃床を取り外すことができるように設計されていることがある(M240汎用機関銃など)。同様に、多くのサブマシンガンやいくつかのアサルトライフルでは、作戦によって銃床を折り畳んだり短縮したりすることができるように設計されているものがある。こういった武器の場合は、肩撃ち・手持ち・腰だめのどれかで撃つことを選択することができることが多い。機構上どのような設計であっても(たとえばブルパップ方式)、(後述の様な例外を除いて)銃床は必ず銃のいちばん後ろに来る。ただし、バレットM82A2の様に、銃床より後ろにあるレシーバー部分を肩に担ぐ形で構える例外的な銃も存在する。同様にカールグスタフなどの無反動砲・ロケットランチャーの類の銃床相当部材付肩載火器は、銃床相当部材が最後尾に無いが、一般に銃に含まれない。
伝統的な銃では、銃床は一般的に硬い木材(クルミの木など)から造られた。近年の銃では、軽量化のために複合材料(合成樹脂)で造られることが多い。折り曲げ型銃床、伸縮式銃床は鉄製が多い。
銃床には、形状によって大きく分けて2種類ある。右写真のM1ガーランドのように、銃床が銃身の後ろより下にあり、構えたとき顔が銃身の真後ろに来るものを曲銃床、SIG SG550のように銃身と銃床が一直線上にあるものを直銃床という。直銃床はフルオート射撃時の反動をコントロールしやすいという長所があるが、射手の目線が銃身より大きく高い位置にあるため、視差が大きくなり、照準器が銃上方に大きく出っ張ってしまう。フルオートで撃たないのであれば、曲銃床の方が自然に構えられる分有利である。[独自研究?]
また、至近距離での戦闘ではしばしば敵の頭部などを殴りつけるのに用いられる。 折りたたみ式や伸縮式ではこのような用法は推奨できない。
用途による変形
- 銃床に機関部を丸々格納してしまうと、銃身長の割に全長の短い銃となる。このレイアウトをブルパップ方式という。
- UZIでは、二つ折りにして折り畳む独特の機構を採用している。Vz 61 スコーピオンは、上方向から畳むようになっている。また、スターリングサブマシンガンは下方向から畳む。
- 機関銃の場合、持続射撃中に反動で肩からずり落ちてしまわないように、肩当て用の上に跳ね上がる折り畳み式プレート「床尾上板」を取り付けたもの(ミニミ軽機関銃など)や、肩にフィットするような湾曲を付け、左手を添えるための窪みを付けたもの(MG42重機関銃など)がある。
- 最近では、M4カービンのカスタム製品に銃床そのものを取り外す事ができるモデルも存在する。