重機関銃

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M2(奥の2つ)と開発中止になったXM806(手前)

重機関銃(じゅうきかんじゅう、: Heavy machine gun)は、一人で携行できないような大型の機関銃のこと。略称は「重機」、英語では「HMG」。

小銃弾を使用する第一世代の機関銃がこれにあたるほか、大口径多銃身のものもある。

小型軽量で一人での携行が可能な軽機関銃が登場したため、区別上この名で呼ばれる様になった(レトロニム)。歩兵の直接支援火器としては、現代では汎用機関銃が登場・普及した事からその数を減らしているが、戦車歩兵戦闘車など装甲戦闘車両の同軸、防御用火器としては未だに現役であり、歩兵の持つ小火器よりも威力・精度が高いことから未だに配備が続けられている。

概要

ガトリング砲マキシム機関銃など、初期の機関銃は非常に重く、兵士一人では携行することができない。第一次世界大戦の前後に一人でも携行・運用ができる軽機関銃が登場したため、それまでの機関銃を重機関銃と呼ぶようになった。

ただし、イギリスアメリカ合衆国、およびこれらの国の装備体系を採用する国々では、日本で重機関銃として一括する自動火器を更に重機関銃(Heavy machine gun)と中機関銃(en:Medium machine gun)とに細分する。軽機関銃が登場した後も重機関銃はその信頼性や継続射撃力を評価されて軍で使用され続けたが、第二次世界大戦中に重機関銃と軽機関銃双方の役目をこなせる汎用機関銃が発明された事から能力的なメリットが消失したため、軍の第一線から姿を消していくことになる。

例外はブローニングM2のように大口径弾薬を使用する、M134 ミニガンのように多銃身である、などの理由から小型化が難しい機関銃である。これらは現代でも広く使用されている。

歴史

1884年ハイラム・マキシムが、世界で最初の外部動力に頼らない自己駆動型の機関銃を開発した。

日露戦争において重機関銃は初めて本格的に使用されたが、当時は機関銃の有効性がまだ一般には信じられていなかった。

第一次世界大戦においては重機関銃の防御戦闘における優位性が遺憾なく発揮され、特に西部戦線においては、塹壕の構築などと共に戦線がほぼ四年に亘る膠着状態に陥る一大要因となった。

第二次世界大戦以降は、標準的な小銃弾を用いる重機関銃はMG34を発端とする汎用機関銃の発達と普及によってかつての地位を失ったが、アメリカ製のM2ソビエト連邦製のDShK38などの大口径弾を用いる重機関銃が使用され続けている。これらの大口径重機関銃は対人兵器としては威力が過大ではあるが、射程の長さを生かした長距離射撃(カルロス・ハスコックの様に狙撃のために用いた事例もある)や、自陣に接近する敵散兵を遮蔽物ごと破砕する事で白兵戦の企図を挫く、最終防護射撃(突撃破砕射撃)の防衛戦術の下で利用されている。

主な重機関銃

小銃弾を使用する重機関銃
大口径弾丸を使用する重機関銃

関連項目