西崎憲

西崎 憲（にしざき けん、1955年 - ）は、日本の小説家、翻訳家、作曲家。音楽レーベル「dog and me records」主宰。出版社「惑星と口笛ブックス」主宰。文学ムック『たべるのがおそい』（書肆侃侃房）編集長。

来歴

青森県つがる市生まれ。青森県立鰺ヶ沢高等学校卒業。ミュージシャンを目指して上京し、1985年にうしろゆびさされ組『女学生の決意』（秋元康作詞、アニメ『ハイスクール!奇面組』EDテーマ）で作曲家デビューを果たす。

英米の幻想文学や恐怖小説を愛読しており、それが高じて自ら翻訳を行うようになる。本格的に英語の勉強を始めたのは27歳の時で、当初は"thought"は"think"の過去形であることを知らなかったレベルだったというが、勉強の末に出版社に翻訳の企画を持ち込み認められるまでになる。ジェラルド・カーシュの作品を多く手がけている。

2002年『世界の果ての庭』で第14回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、小説家としてもデビュー。また、80年代から歌誌『かばん』に所属して歌人としても活動している。その関係から穂村弘と長い交友があり、彼のエッセイにしばしば登場する。堀江由衣や野中藍のアルバムにもアレンジャーとして携わっている。

2015年、第一回日本翻訳大賞を創設して、みずから選考委員に。歌人集団『かばん』元購読会員。「フラワーしげる」名義で歌人としても活動。

2016年、フジロックフェスティヴァルにトラッシュキャンシナトラズのサポートで出演。担当楽器はトランペット。

2021年、『未知の鳥類がやってくるまで』が第１４回絲山賞を受賞。『ヘディングはおもに頭で』がサッカー本大賞特別賞を受賞。

著書

単行本

• 『世界の果ての庭 ショート・ストーリーズ』新潮社 2002
• 『蕃東国年代記』新潮社 2010
• 『ゆみに町ガイドブック』河出書房新社 2011
• 『飛行士と東京の雨の森』筑摩書房 2012
  • 理想的な月の写真（初出：『文學界』2004年5月号）
• 『ビットとデシベル』（歌集、「フラワーしげる」名義）書肆侃侃房 2015
• 『全ロック史』人文書院 2019
• 『未知の鳥類がやってくるまで』筑摩書房 2020
• 『ヘディングはおもに頭で』KADOKAWA 2020
• 『世界学校』（歌集、「フラワーしげる」名義）短歌研究社 2022
• 『本の幽霊』ナナロク社 2022

アンソロジー

• 週末の諸問題（『異形コレクション』33収録）光文社 2005.8
• 罠の前でひざまずいて（『異形コレクション』36収録）光文社 2006.8
• 自殺屋（『異形コレクション』38収録）光文社 2007.8
• あなたも一週間で歌がうまくなる（『異形コレクション』39収録）光文社 2007.12
• 行列（『NOVA 2』収録）河出書房新社 2010.7
• 開閉式（『NOVA 7』収録）河出書房新社 2012.3
• スターマン（『ヒドゥン・オーサーズ』収録）惑星と口笛ブックス 2017.5
• Starman Hawaii Pacific Review 2020.5
• オリアリー夫人（『kaze no tanbun 特別ではない一日』収録）柏書房　2019.10
• 胡椒の船（『kaze no tanbun 移動図書館の子供たち』収録）柏書房　2020.12
• 病院島の黒犬。その後（『kaze no tanbun 夕暮れの草の冠』収録）柏書房　2021.6

単行本未収録作品

• シフト（『文學界』2005年12月号）

翻訳

• 『怪奇小説の世紀』全3巻（編）国書刊行会 1992-93
• アントニイ・バークリー『第二の銃声』世界探偵小説全集 国書刊行会 1994
• A・E・コッパード『郵便局と蛇 魔法の本棚』国書刊行会 1996/ のちちくま文庫 2014
• 『英国短篇小説の愉しみ1 看板描きと水晶の魚』佐藤弓生・高山直之共訳 筑摩書房 1998
• 『ドイル傑作選 1 ミステリー篇』北原尚彦共編 翔泳社 1999
• 『ヴァージニア・ウルフ短篇集』ちくま文庫 1999
• 『英国短篇小説の愉しみ2 小さな吹雪の国の冒険』佐藤・高山・中野善夫共訳 筑摩書房 1999
• 『英国短篇小説の愉しみ3 輝く草地』中野・高山共訳 筑摩書房 1999
• 『淑やかな悪夢 英米女流怪談集』倉阪鬼一郎・南條竹則共編訳 東京創元社 2000/ のち創元推理文庫 2006
  • シンシア・アスキス「追われる女」、シャーロット・パーキンス・ギルマン「黄色い壁紙」、ディルク夫人「蛇岩」、E・ヘロン「荒地道の事件」、キャサリン・マンスフィールド「郊外の妖精物語」を翻訳　
• ベン・C.クロウ『巨人 ポール・バニヤン』ちくま文庫 2000（監訳）
• ベン・C.クロウ『ジャージーの悪魔』ちくま文庫 2000（監訳）
• 『ドイル傑作選 2（ホラー・SF篇）』北原共編 翔泳社 2000
• G・K・チェスタトン『四人の申し分なき重罪人』 国書刊行会 2001/ のちちくま文庫 2010
• E・M・フォースター『眺めのいい部屋』中島朋子共訳 ちくま文庫 2001
• ジェラルド・カーシュ『壜の中の手記』駒月雅子・吉村満美子・若島正共訳 晶文社 2002/ のち角川文庫 2006
• 『マンスフィールド短篇集』ちくま文庫 2002
• ジェラルド・カーシュ『廃墟の歌声』共訳 晶文社 2003
• コナン・ドイル『まだらの紐』北原尚彦共編 創元推理文庫 2004
• コナン・ドイル『北極星号の船長』北原共編 創元推理文庫 2004
• コナン・ドイル『クルンバーの謎』北原共編 創元推理文庫 2007
• 『エドガー・アラン・ポー短篇集』ちくま文庫 2007
• コナン・ドイル『陸の海賊』北原共編 創元推理文庫 2008
• 『ヘミングウェイ短篇集』ちくま文庫 2010 ISBN 978-4480426840
• アントニイ・バークリー『第二の銃声』創元推理文庫 2011 ISBN 978-4488123079
• コナン・ドイル『ラッフルズ・ホーの奇蹟』北原共編 創元推理文庫 2011.12 ISBN 978-4488101145
• H・R・ウェイクフィールド『ゴースト・ハント』今本渉、倉阪鬼一郎、鈴木克昌、南條竹則共訳 創元推理文庫 2012
• 『短篇小説日和：英国異色傑作選』ちくま文庫 2013 ISBN 978-4480430342
• ジーン・ウルフ『ピース』館野浩美共訳 国書刊行会 2014 ISBN 978-4336057884
• ヴァージニア・ウルフ『青と緑　ヴァージニア・ウルフ短篇集』 亜紀書房 2022
• キャサリン・マンスフィールド『郊外のフェアリーテール　キャサリン・マンスフィールド短篇集』 亜紀書房 2022
• ジーン・リース『あの人たちが本を焼いた日 ジーン・リース短篇集』 亜紀書房 2022

編著

• 『文学ムック たべるのがおそい』（全7冊） 書肆侃侃房 2016-2019
• 『ヒドゥン・オーサーズ Hidden Authors』 惑星と口笛ブックス 2017
• 『kaze no tanbun 特別ではない一日』 柏書房 2019
• 『kaze no tanbun 移動図書館の子供たち』 柏書房 2020
• 『kaze no tanbun 夕暮れの草の冠』 柏書房 2021

外部リンク

• 西崎憲 (@ken_nishizaki) - X（旧Twitter）
• dog and me records - ウェイバックマシン（2003年4月21日アーカイブ分）
• 「ゆみに町ガイドブック」著者 西崎 憲さん ベストセラーズインタビュー | 新刊JP
• 【ＢＯＯＫ】都会の人々描く７つの短編　西崎憲さん、音楽や短歌など多面的活動 - 芸能 - ZAKZAK
• 飛行士と東京の雨の森 (著)西崎憲 - BOOK asahi.com - 朝日新聞デジタル
• 西崎憲,ニシザキケン｜東京創元社