緊急事態
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(緊急事態 (曖昧さ回避)から転送)
緊急事態あるいは非常事態(きんきゅうじたい・ひじょうじたい、英: Emergency)とは、一般に、健康や生命および財産あるいは環境に危険が差し迫っている緊急の状態のこと[1]。
『日本国語大辞典』では、緊急事態を次のように定義している。
「 | (1)重大で、対策を至急に必要とする事態。(2)治安上急迫した危険が存在する状態。現在の日本において、内閣総理大臣は、大規模な災害、騒乱などに際しては治安維持のため緊急事態の布告を発し、一時的に警察を統制することができ、また、一般の警察力では治安を維持できないと認められる事態に際しては自衛隊に治安出動を命ずることができることになっている。
*警察法〔1954〕七二条『内閣総理大臣は、前条に規定する緊急事態の布告が発せられたときは』とされていて、法的に特別な意味を持つ場合がある。 |
」 |
国際機関における「緊急事態」
[編集]- 国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態 - 世界保健機関(WHO)による概念。2005年の国際保健規則改訂により適用される場合が改正された[2]。
- 静かな緊急事態 - 世界保健機関(WHO)や国際連合児童基金(UNICEF)などによって報告書等で用いられる概念[3]。
日本法に規定される各種「緊急事態」
[編集]- 警察法に基づく「緊急事態」
- 災害対策基本法に基づく「災害緊急事態」
- 原子力災害対策特別措置法に基づく「原子力緊急事態」
- 新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく「新型インフルエンザ等緊急事態」
- 定義
- 「新型インフルエンザ等(国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれがあるものとして政令で定める要件に該当するものに限る。以下この章において同じ。)が国内で発生し、その全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがあるものとして政令で定める要件に該当する事態」(新型インフルエンザ等対策特別措置法32条1項)
- 特措法と緊急事態宣言
- 2020年に新型コロナウイルス(COVID-19)の流行に伴いこの改正特別措置法が成立し[4]、同年4月7日に同法を根拠法とする緊急事態宣言が発令された[5][6]。
- 国家安全保障会議設置法に基づく「重大緊急事態」
- 定義
- 武力攻撃事態等、存立危機事態、重要影響事態、国際平和共同対処事態、その他の自衛隊法第六章「自衛隊の行動」に規定する事態、その他の国防に関する重要な事態など以外の日本の安全に重大な影響を及ぼす虞がある緊急事態の内、通常の緊急事態対処体制では、適切に対処することが困難な緊急事態のこと。
- 2013年(平成25年)に国家安全保障会議が設置されて以降、(「四大臣会合」や「九大臣会合」が開催されても)6年強に渡って開催されていなかったが、2019年末ないし2020年初に日本でも始まった新型コロナウイルス(COVID-19)の流行に伴い、2020年1月31日に初開催されて以降、平均して週1回ペース(3月10日現在)で開催されており[7]、特に既に同ウイルスが流行している特定の外国・地域から日本への外国人の入国規制の強化に際しては、その影響が日本国内にとどまらず、外交上の影響も大きいこと等から、「緊急事態大臣会合」を開催した上で決定されている[8][9][10][11][12][13]。
- 武力攻撃事態等及び存立危機事態法・国民保護法に基づく「緊急対処事態その他の緊急事態」
- 緊急対処事態
- 公文書等の管理に関する法律(公文書管理法)実施のために定められている「公文書管理のガイドライン」に基づく「歴史的緊急事態」
関連項目
[編集]- 危機管理 - 有事 - 民間防衛 - 災害 - 自然災害
- 内閣危機管理監 - 内閣官房副長官補(事態対処・危機管理担当)[19] - 危機管理審議官
- 内閣官房副長官補(事態対処・危機管理担当)付 - 官邸危機管理センター - 緊急参集チーム
- 内閣府特命担当大臣(防災担当) - 内閣府政策統括官(防災担当)
- 内閣府特命担当大臣(原子力防災担当) - 内閣府政策統括官(原子力防災担当)
- 感染症危機管理担当大臣 - 内閣感染症危機管理統括庁
- 総務省消防庁 - 国民保護(国民保護法)
- アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁
- ロシア民間防衛問題・非常事態・自然災害復旧省
- イタリア市民保護局
- 内閣危機管理監 - 内閣官房副長官補(事態対処・危機管理担当)[19] - 危機管理審議官
- 緊急事態基本法 - 国家緊急権 - 非常事態宣言
- 緊急避難
- メーデー (遭難信号)
- 憲法学会
- 日本刑法学会
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ いったん「緊急対処事態」と認定された事態であっても、その後の推移により、後日その中に「武力攻撃事態」と認定される事態を含むことがあり得る。
出典
[編集]- ^ “UK Government Advice on Definition of an Emergency” (PDF). 2007年5月30日閲覧。
- ^ “日本WHO協会からのお知らせ”. 日本WHO協会. 2020年12月31日閲覧。
- ^ “静かな緊急事態に直面する世界”. 日本ユニセフ協会. 2020年12月31日閲覧。
- ^ “安倍首相、国会報告へ 45年ぶりに議運委で質疑―緊急事態宣言”. 時事通信. (2020年4月6日) 2020年4月7日閲覧。
- ^ “緊急事態宣言「非常に切迫」 西村経済再生相、東京の118人感染判明受け”. 毎日新聞. (2020年4月5日) 2020年4月7日閲覧。
- ^ “首相、緊急事態宣言を発令 7都府県対象、5月6日まで”. 毎日新聞. (2020年4月5日) 2020年4月7日閲覧。
- ^ “国家安全保障会議 開催状況”. 2020年3月16日閲覧。
- ^ “入国拒否、感染者の人口比で判断 出入国管理法も適用”. 日本経済新聞. (2020年2月27日) 2020年3月16日閲覧。
- ^ “【独自】習主席 訪日延期 日中両政府が発表へ “環境整っていない””. FNN. (2020年3月5日) 2020年3月16日閲覧。
- ^ “中韓からの来日自粛を要請へ 政府方針、観光目的対象 [新型肺炎・コロナウイルス”]. 朝日新聞. (2020年3月5日) 2020年3月16日閲覧。
- ^ “<新型コロナ>中韓からの入国規制 首相表明 ビザも停止 指定場所で2週間待機へ”. 東京新聞. (2020年3月6日) 2020年3月16日閲覧。
- ^ “イタリアの一部も入国拒否対象に”. 日本経済新聞. (2020年3月11日) 2020年3月16日閲覧。
- ^ “日本、中韓に保健相電話会合提案 入国制限強化うけて”. 朝日新聞. (2020年3月12日) 2020年3月16日閲覧。
- ^ “緊急対処事態とは - 内閣官房 国民保護ポータルサイト”. 2020年3月16日閲覧。
- ^ “武力攻撃事態等における国民の保護のための仕組み - 内閣官房 国民保護ポータルサイト”. 2020年3月16日閲覧。
- ^ “Q&A 国民保護法制”. 2020年3月16日閲覧。
- ^ “武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律”. 2020年3月16日閲覧。
- ^ “武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律”. 2020年3月16日閲覧。
- ^ “内閣官房副長官補|内閣官房ホームページ”. 2020年3月16日閲覧。