端末エミュレータ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Hermes (会話 | 投稿記録) による 2022年2月8日 (火) 12:19個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (TeKtronix 4014 日本語記事にリンク)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

IBMホスト・システムへアクセスする端末エミュレータ

端末エミュレータ(たんまつエミュレータ)・端末模倣プログラム[1]とは、端末として動作するソフトウェアである。端末エミュレータといった場合は、DEC VT100エミュレーションをするソフトウェアをさすことが多い。別称としてターミナルエミュレータ、また特にグラフィカルユーザインタフェース (GUI) 環境で用いるものを端末ウィンドウと呼ぶことがある。キャラクタユーザインタフェースを提供する。

概要

端末エミュレータは、専用端末の機能を、パーソナルコンピュータ (PC) やUnixワークステーションなどで代替するためのソフトウェア。通常はキャラクタベースのビデオ端末をエミュレートするが、グラフィック端末(xtermTektronix 4014をエミュレートする)やプリンタのエミュレーションを行うものもある。

端末エミュレータを動作させるコンピュータがウィンドウシステムを搭載している場合、これを利用して一つのコンピュータ上で複数の端末エミュレータを同時に稼働させることができることが多い。これは殆どの専用端末では実現できない機能である。

TCP/IPを介した端末エミュレータの接続にはSSHTelnetrlogin等の機能を用いる。rloginとTelnetは、パスワードなども含めて、すべての通信内容を平文暗号化されていない状態)で送受信する。極めて限定された用途であれば、それが必ずしも悪いわけではないが、インターネットを介した接続ではあまりに危険な行為である。したがって、近年は、SSHによる接続が一般的である。

2015年ごろまで、Windows用のSSHクライアントは公式に提供されていなかったため、端末エミュレータはSSHクライアントを統合したものが多かった。現在ではOpenSSH in Windowsが提供されており、PowerShellコマンドプロンプトなどのコマンドラインツールから利用することができる。

エミュレートする端末

実際の端末における、画面制御やキーボード制御、プリンタ制御など、入出力処理には統一された規格が存在しない。現在、端末エミュレータを使用する接続先はUnixが多いため、Unixで事実上の標準となっているDEC社のVT100やその上位機種のエミュレータが多い。VT100の端末エミュレータやその機能を「VT100互換」と呼称する。

接続先がメインフレームであれば、IBM 3270富士通日立製作所の端末を、接続先がIBM AS/400であればIBM 5250を、エミュレートすることになる。それぞれのメーカーから純正のエミュレータが発売されているが、サードパーティ製もある。メインフレームの端末の多くは、RS-232のような単純なシリアルインターフェースではなく、インテリジェントなものだったが、その後、シリアル接続やイーサネット接続も可能となっている。

多くの端末はキャラクタしか扱えないが、グラフィックを扱うことができるグラフィック端末もある。例えばxtermがエミュレートするTektronix 4014がその一例で、キャラクタとグラフィックのどちらも扱うことができる。日本では、ヤマハYIS(YGT-100)もよく知られている。また、コンピュータグラフィックスの黎明期には、多くのメインフレームにオプションとして専用のグラフィック端末が用意されていた。

実際の端末エミュレータ

脚注

  1. ^ JP G06F 44004, 南部 茂樹, "端末模倣プログラムにおけるドット座標入力方法", published 1994年2月18日, issued 1992年7月22日 

関連項目