怪獣大奮戦 ダイゴロウ対ゴリアス

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怪獣大奮戦 ダイゴロウ対ゴリアス
監督 飯島敏宏
脚本 千束北夫
製作 円谷一
ナレーター 浦野光
出演者 三波伸介
犬塚弘
音楽 冬木透
主題歌 「ダイゴロウ対ゴリアス」(歌:子門真人、荒川少年少女合唱隊)
製作会社 円谷プロダクション
配給 東宝
公開 1972年12月17日
上映時間 85分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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怪獣大奮戦 ダイゴロウ対ゴリアス』(かいじゅうだいふんせん ダイゴロウたいゴリアス)は、1972年12月17日に「東宝チャンピオンまつり」の一作として公開された円谷プロダクション製作の特撮映画作品。

概要

円谷プロダクション創立10周年記念作品。円谷プロダクションとしては初のオリジナル怪獣映画でもある[1][2]。監督の飯島敏宏によるファンタジックな世界観が特徴の心優しい怪獣映画となっている[1]

脚本も兼任した飯島は、犬塚弘演じる「発明おじさん」を、フランスの喜劇俳優・監督のジャック・タチ演じる「ユロおじさん」をイメージして造形したとコメントしている。

最終決定稿の台本では『大奮戦 ダイゴロウ対ゴリアス』だった。

あらすじ

東京湾に姿を現した怪獣が自衛隊によって退治され、その怪獣の子供が後に残された。この子供怪獣はダイゴロウと名付けられ、国の管理下で飼育されることになった。しかしダイゴロウは驚くべき大食漢であり、国税ではエサ代をまかないきれなくなったため、成長抑制剤・アンチグロウを投与されそうになる。

それを知った子供たちと、発明おじさんや熊五郎ら気のいい大人達は立ち上がり、ダイゴロウのエサにもっと予算をつけてくれと要求するものの、役人の鈴木は追加予算を認めようとしない。発明おじさんはダイゴロウに腹一杯食わせてやろうと、賞金狙いで様々な発明品を作り出すもなかなか上手くいかない。だが「瞬間雨降りミサイル」を披露した際に雪が降り始めて成功とみなされ、見事賞金を獲得する。だがおじさんは釈然としない。「失敗したはずなのに、なぜ雪が降ったんだ?」

それは宇宙から隕石に乗って現われ、周囲の熱エネルギーを吸収する凶暴な怪獣ゴリアスの仕業だった。ダイゴロウはゴリアスに勇敢に立ち向かうも、あえなくダウン。勢いに乗ったゴリアスはコンビナートに出現し大暴れ。通常兵器ではゴリアスを倒せず、ついには核兵器の使用も検討され始めてしまう。

このままでは海も死んでしまう、と危惧する子供達。そして息を吹き返したダイゴロウは、母親同様火炎を吐けるのではないかと気付いたおじさん達と共に特訓を開始する。そこへゴリアスが出現。はたしてダイゴロウはゴリアスを倒し、地球の平和を守れるのだろうか?

登場怪獣

ダイゴロウ

  • 別名:ハラペコ怪獣[3]
  • 身長:35メートル
  • 体重:8千トン
  • 年齢:6歳

日本に上陸して暴れた怪獣の子供。瓦礫の中から発見され、孤島に隔離される形で飼育されていた。人懐こく、聞き分けが良い。そのため、食欲による予算過多を理由に成長を薬品で止められる際には、それを理解したかのように従う。反面、野生を失ったわけではなく、遥か彼方に飛来したゴリアスに対し、ライオンのように怒りを露にした(その際、ライオンの鳴き声を使っている)。ただし特訓したものの格闘能力は低く、母譲りの高熱火炎でゴリアスを退けた。頭には小さな角があり口に猫のようなヒゲが生えている(小さい頃は生えていなかった)。

  • 造形物は着ぐるみがメインのものと赤ん坊時のものが一体ずつ、ほかに実物大の頭部と左手と左足の造形物が製作された。赤ん坊時の着ぐるみは2013年時点で現存している[4]

ダイゴロウの母

  • 別名:原始母怪獣[3]
  • 身長:40メートル
  • 体重:2万トン

6年前に原子力潜水艦の爆発が原因で蘇った怪獣で、一対の角と鬣を有する。東京湾に上陸した後に市街地を蹂躙し、火を吐いて暴れるが、大型ミサイルによって絶命。後には彼女の子供が遺されていた。

ゴリアス

  • 別名:恐怖大星獣、恐怖星獣[5]
  • 身長:45メートル
  • 体重:3万トン
  • 尻尾:50メートル

宇宙から隕石に乗って地球に侵入した異星の生命体。熱エネルギーを吸収するため、周囲の海域は氷結、低温化する。武器は額の角から発する電光と巨大な拳。日本に上陸し、石油コンビナートを破壊。ゴリアス迎撃のため核兵器の使用までもが検討された。特訓したダイゴロウと対戦、発明おじさんたちによって電光を封じるための巨大な絶縁布を角に付けられるもそれを剥がし、終始優勢に戦いを進めるが、ダイゴロウの高熱火炎に角を破壊され敗北。最後はロケットで宇宙へ帰された。着ぐるみのほかに実物大の頭部と背中の造形物が製作された。

登場メカニック

エアロバイク スカイラーク号
賞金200万円をダイゴロウの食糧代に充てようと、オジサンがBCB-TVのテレビ番組『ビックリ発明大ショック』に出場するために製作した飛行バイク。バイクプッシャ式エンジンや翼、カウリングや補助輪などを取り付けた一種の超軽量動力機であるが、長々と滑走した末に、僅かに飛行した後に爆発したに止まった。
大型ミサイル
自衛隊がダイゴロウの母に対して使用したミサイル。4基のエンジンをクラスター化したブースターと弾頭部の二段式となっており、装軌式牽引車に牽引された装軌式の単装ランチャーから発射される。港湾部や市街地を蹂躙するダイゴロウの母に対して自衛隊基地内から発射され、ダイゴロウの母の頭部に直撃し、一撃でダイゴロウの母を絶命させてしまった。
瞬間雨降りミサイル
『ビックリ発明大ショック』への再挑戦のためにオジサンが制作した発明品。雲の中の水蒸気を冷却する事により、打ち上げから3分以内に雨を降らせるという人工降雨装置だったが、打ち上げ直後にゴリアスの影響で雪が降り出したため、その性能の真偽は不明。

スタッフ

  • 製作:円谷一
  • 脚本:千束北男
  • 音楽:冬木透
  • 撮影:稲垣涌三
  • 美術:池谷仙克
  • 照明:新井盛
  • 録音:東京映画映像部
  • 整音:西尾昇
  • 光学撮影:宮重道久、茂田幸男、中村司、吉田和広、木村金男、鯨井実、兵頭文造
  • 監督助手:山本正孝
  • 編集:白江隆夫
  • 視覚効果:飯塚定雄
  • 現像所:東京現像所
  • 製作担当者:笠井一美
  • 特殊技術:大木淳、中野稔
  • 監督:飯島敏宏

※映画クレジット順

※以下ノンクレジットスタッフ

  • 主題歌:「ダイゴロウ対ゴリアス」(歌:子門真人荒川少年少女合唱隊
  • 挿入歌:
    • 「ララバイ オブ ダイゴロウ」(歌:桜井妙子、スタジオ・シンガーズ)
    • 「ぼくのおじさん」(歌:子門真人)
    • 「そしてエピロオグ」(歌:子門真人)

キャスト

同時上映

ゴジラ電撃大作戦

パンダコパンダ

3本立て興行は初回となる1969年冬興行以来3年振り。また今回はアニメ・特撮に関わらず、テレビ作品が一本も無かったが、これは「東宝チャンピオンまつり」では初。

漫画版

『怪獣ダイゴロウ』
小学館の学習雑誌に連載
ダイゴロウを擬人化した日常コメディ[2]
作画:林ひさお、構成:田口成光
作画:山根あおおに
作画:山根あおおに
1972年7月号-1973年3月号連載
作画:藤田茂
1974年4月号-6月号連載
作画:山根あおおに
  • 小学五年生 1972年4月号-1973年3月号連載
作画:しのだひでお
  • 小学六年生 1972年4月号-1973年3月号連載
作画:板井れんたろう、構成:藤川桂介

その他

青葉台駅前やよみうりランドで現地ロケ撮影した。

脚注

  1. ^ a b 円谷プロ全怪獣図鑑 2013.
  2. ^ a b 円谷プロ画報 2013, p. 126.
  3. ^ a b 円谷プロ全怪獣図鑑 2013, p. 87.
  4. ^ KKベストセラーズ発行『語れ!ウルトラマン 兄弟激闘編』105頁
  5. ^ 円谷プロ画報 2013, p. 127.

参考文献

  • 大石真司、江口水基・島崎淳・間宮尚彦『円谷プロ全怪獣図鑑』小学館、2013年、87頁。ISBN 9784096820742 
  • 『円谷プロ画報』 第1巻、竹書房、2013年。ISBN 978-4-8124-9491-2 

外部リンク