山中康裕
山中 康裕 (やまなか やすひろ) | |
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生誕 |
山中 康裕 (やまなか やすひろ) 1941年生まれ 日本・愛知県名古屋市 |
居住 | 日本 |
国籍 | 日本 |
研究分野 |
精神医学 臨床心理学 |
研究機関 |
名古屋市立大学医学部 南山大学文学部 京都大学教育学部 京都大学大学院教育学研究科 浜松大学大学院 |
出身校 |
名古屋市立大学医学部医学科 名古屋市立大学大学院医学研究科 |
主な受賞歴 |
エルンスト・クリス賞(1995年) バスク賞(1997年) ファーザー・ラーベン賞(2000年) 世界精神医学会金賞(2002年) 日本心理臨床学会賞(2003年) |
プロジェクト:人物伝 |
山中 康裕(やまなか やすひろ、1941年 - )は、日本の医学者、精神科医。京都大学名誉教授。医学博士[1]。
1971年に名古屋市立大学大学院、医学研究科、博士課程を修了する。大学院時代に萩野恒一教授にバウムテストに関する薫陶を受けたのが、芸術療法に興味を持つきっかけとなり、芸術療法に関する著作がほとんどない当時において病院で積極的に活用した。その後、南山大学文学部の助教授を経て、1980年より京都大学教育学部の研究科の教授となり、学部長までになった。
山中の遊戯療法の研究実践は神経症から発達障害圏まで多岐にわたる。また国内の箱庭療法の普及と発展に尽力し、箱庭の国際学会の設立にも携わっている。
来歴
- 1941年 - 愛知県名古屋市に生まれる
- 1966年 - 名古屋市立大学医学部医学科卒業
- 1971年 - 名古屋市立大学大学院医学研究科博士課程修了(医学博士)。後に名古屋市立大学助手、同講師
- 1977年 - 南山大学文学部助教授
- 1980年 - 京都大学教育学部助教授
- 1992年 - 京都大学大学院教育学研究科教授
- 2001年 - 同教育学研究科長・学部長
- 2005年 - 退職し、京都大学名誉教授
- 2005年 - 京都ヘルメス研究所所長
- 2009年 - 浜松大学大学院教授。同付属臨床心理教育実践センター長[1]
人物
名古屋市立大学医学研究科時代から臨床医として多くの経験を積んだ。山中は他の医局員とともに医局に迎える教授として、当時ドイツに留学していた木村敏を教授会に推薦しそれを実現した。その後、東京大学医学部附属病院分院の講師であり、土居健郎ゼミに所属していた中井久夫を助教授に推薦し、これを実現した。名古屋市立大学大学院時代に萩野恒一教授にバウムテストに関する薫陶を受けたのが芸術療法に興味を持つきっかけとなり、芸術療法に関する著作がほとんどない当時において病院で積極的に活用した。その後、南山大学文学部助教授、1980年より京都大学教育学部、1992年より同大学教育学研究科の教授、研究科長・学部長等を歴任している。
山中の遊戯療法の研究実践は神経症から発達障害圏まで多岐にわたる。山中の自閉症についての論文(笠原嘉編『分裂病の精神病理5』所収、東京大学出版会、1976)が中央公論社の編集者の目に留まり、精神科で出会った子どもたちとの遊戯療法の経緯を記した「少年期の心-精神療法を通してみた影-」(中公新書,1978)として出版された。本書は児童思春期の心理療法を詳述したものである。「少年期の心」では、子どもの事例を7つ述べ、箱庭や写真、手紙などのさまざまな表現を用いて、子どもたちが治癒していく過程が記されている。本書は国外でも反響があり、中国語訳が出版されている。その後南山大学助教授を経て、京都大学の助教授となる。
箱庭療法について、ドラ・カルフの主著の翻訳を行い「カルフ箱庭療法」として出版されている。また国内の箱庭療法の普及と発展に尽力し、箱庭の国際学会の設立にも携わっている。山中は風景構成法を考案した精神科医の中井久夫から風景構成法の指導を受け、臨床心理学の分野に従事する研究者・学生に伝える役割を果たした。また山中は日本に箱庭療法やユング心理学を導入した河合隼雄と研究を行い、箱庭療法の普及にも尽力した。山中は芸術療法という言葉には、絵の巧拙を評価するニュアンスがあることから、クライエントのみならずセラピストにも負担になる可能性があるとして、芸術表現療法と表記するようになった。
山中の研究には、英国の精神分析学者であるドナルド・ウィニコットのスクイグル法を発展させたMSSM(Mutual Scribble Story-Making、交互ぐるぐる描き投影・物語統合法)がある。山中は思春期における不登校状態を単に病理として捉えるのでなく、より多面的に不登校状態を捉える。その子ども達の窓口として、「心の窓」(思春期内閉)を提唱している。
受賞歴
- 1995年 - エルンスト・クリス賞(アメリカ表現病理学会)
- 1997年 - バスク賞(フランス表現病理・芸術療法学会)
- 2000年 - ファーザー・ラーベン賞(カナダ箱庭療法学会)
- 2002年 - 世界精神医学会金賞、生涯功績賞(世界精神医学会)
- 2003年 - 日本心理臨床学会賞
学会
- 日本学術会議会員
- 国際表現療法学会外方元会長
- 世界表現病理・芸術療法学会元副会長
- 日本芸術療法学会理事
- 国際箱庭療法学会設立委員
- 日本箱庭療法学会元理事長
- 日本遊戯療法学会元会長
- 日本臨床心理身体運動学会元会長
著書
- 山中康裕,1978 少年期の心 精神療法を通してみた影 中公新書
- 中井久夫, 山中康裕編集 1978 思春期の精神病理と治療 岩崎学術出版社
- 野沢栄司, 山中康裕編 1980 初回面接 (児童精神科臨床 1) 星和書店
- 山中康裕編 1984 H・NAKAI風景構成法 岩崎学術出版社(中井久夫著作集 : 精神医学の経験 ; 別巻[1])
- 山中康裕 1985 親子関係と子どものつまづき 岩波書店
- 山中康裕 1986 絵本と童話のユング心理学 大阪書籍
- 河合隼雄、山中康裕、小川捷之総監修 1998 境界例・重症例の心理臨床 金子書房
- 山中康裕 1991 老いのソウロロギー(魂学) 有斐閣
- 氏原寛,山中康裕編 1991 症例研究・寂しい女 人文書院
- 山中康裕 臨床ユング心理学入門 PHP新書
- 山中康裕 1999 心理臨床と表現療法 金剛出版
- 河合隼雄, 空井健三, 山中康裕編集 2000 心的外傷の臨床 金子書房, .8. (臨床心理学大系 / 河合隼雄 [ほか] 企画委員 ; 第17巻).
- 山中康裕 2001 魂と心の知の探求 創元社
- 山中康裕 2001 知の教科書ユング 講談社選書メチエ
- 山中康裕 2002 ハリーと千尋世代の子どもたち 朝日出版社
- 山中康裕 山中康裕著作集全6巻 岩崎学術出版社
- 山中康裕 2005 表現療法(心理療法を学ぶ、心理療法がわかる、心理療法入門) ミネルヴァ書房
- 山中康裕 2005 こころ精神のはざまで 金剛出版
- 山中康裕, 河合俊雄編 2005 心理療法と医学の接点 創元社
- 山中康裕 2006 子どもの心と自然 東方出版,(いのちの科学を語る1).
- 山中康裕 2006 子どものシグナル -心を護り育てるカウンセリング- バジリコ株式会社
- (『飛ぶ教室』(光村図書、揄出版)に1985年~1995年まで連載された「子どものシグナル」がベースになっている本)
- 山中康裕 2009 深奥なる心理臨床のために―事例検討とスーパーヴィジョン 遠見書房
- 山中康裕 2012 揺れるたましいの深層: こころとからだの臨床学 創元社
翻訳
- ドラ・M.カルフ著、大原貢, 山中康裕共訳 カルフ箱庭療法初版 1972
- ドラ・M.カルフ著、 大原貢, 山下美樹訳、山中康裕監訳 カルフ箱庭療法 1999
- J. レイヤード著、 山中康裕監訳、齋藤眞、仁里文美、三宅裕子訳. ケルトの探求 1994
- グッゲンビュール著、山中康裕監訳、李敏子・奥田智香子・久保田美法訳 2007 老愚者考―現代の神話についての考察 新曜社
- ゲリー・ランドレス著、山中康裕監訳、プレイセラピー―関係性の営み、日本評論社、2007
脚注
- ^ a b 山中康裕(編)『心理臨床の広がりと深まり』遠見書房、2012年2月。ISBN 9784904536322。