天下無双 江田島平八伝

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天下無双 江田島平八伝』(てんかむそう えだじまへいはちでん)は、宮下あきらによる日本漫画作品。『オースーパージャンプ』(集英社)にて2010年8月号まで連載された。単行本は全10巻。『魁!!男塾』の登場人物・江田島平八を主人公とし、その少年時代からを描いている。

あらすじ

片田舎で育った暴れん坊の小僧、江田島平八は母の死と天下無双の言葉を胸に東京へ向かう。しかし東京では様々な陰謀と時代の流れ(作中では帝大合格から間もなく第二次世界大戦が始まる)に巻き込まれながらも己の才と一本気な性格で切り抜ける。実在した人物が登場するがいずれもフィクションである。

登場人物

主人公とその関係者

江田島平八(えだじま へいはち)
軍神と謳われた江田島國義を父に持ち、その名は日露戦争の英雄東郷平八郎にちなんだとされる。『魁!!男塾』における塾長の若かりし日の姿。わずか11歳で東京帝国大学に合格。この時ドイツ語もこなしており、最終的に5、6ヶ国語話せるくらい語学の才能がある(ただし英語キングス・イングリッシュで、南部なまりを話す米兵の前でボロを出した事もある)。寺崎将人の下で様々な書物を読み、古今東西の知識を頭に納める。生来の肉体の剛健さと親友、王大人の下で学んだ中国拳法を武器とする神童。武術の成長が速く、K・バトラーのボクシング、王の飛翔旋風脚、熊田金造の居合い斬りなどを異常なスピードで吸収する。
海軍の影の部隊「天下無双隊」隊隊長。自ら設計、改造した強力な潜水艦と優秀な部下を統率することにより、大活躍する。理論上のことではあるものの核兵器(原子爆弾)の理論を確立させているが、本人は原子爆弾の使用に「悪魔の兵器」と主張し反対。しかし、国力で米国に劣る日本にとって核兵器の抑止力から講和に持ち込むという寺崎の案で原子爆弾を作ることになる。しかし日本にはない原爆の原料となるウラン235の調達に苦戦する。
交友関係は敵味方問わず、愛新覚羅溥儀、毛沢東、ヒトラーユーゲントなど、非常に広い。
後に「EDAJIMAが2人いたら、我々は負けていただろう」と連合軍に評された(『暁』で語られている)。
『魁!!』本編での老いた頃とは、容姿がいささか懸け離れている(これは後述の熊田金造も同様)。
森田幸子(もりた さちこ)
平八の幼馴染の少女で、広島で教師をしている。ヒロイン的存在。武光と無理矢理結婚させられそうになってしまう。平八とは相思相愛だが、戦いでいつ死ぬか分からなく、幸子を悲しませまいと一時は別れる事を告げたが、それでも平八を信じ待ち続け、長い年月の末結ばれた。しかしながら、アメリカ軍が広島に投下した原子爆弾の犠牲になり、帰らぬ人となった。
廣庵(こうあん)
平八の地元に隠棲する僧。仏門に入る前は廣瀬宗敬(ひろせ むねたか)という名前で、東郷平八郎元帥の参謀(東郷平八郎の懐刀といわれ実質的な作戦指揮者)。そして江田島海軍兵学校別科の別科長。
寺崎将人(てらさき まさと)
科学者でありながら剣道7段であり、軍の研究所にいないといって、少々「変人」として知られている。剣道の試合で平八に一本を取られ、また、東京に来た平八の髪の毛を脱毛させ、再び生やす嘘の方法として、一つの部屋にある全ての学問書を期限内に全て読ませるということを教え、無理やり勉強させた(その結果、平八は東京帝国大学に首席入学を果たす。
王(ワン)
東京帝国大学留学生。平八と出会う以前は日本人嫌いだったが、武光とのトラブルをきっかけに親しくなる。
後の王大人
富樫源造(とがし げんぞう)
海軍一等飛行兵。アメリカ軍のテリトリーの島に零戦ごと不時着。平八に助けられた後は新兵器開発のメンバーとなる。男塾塾生、富樫源次(とがし げんじ)の父親。
大豪院鐘鬼(だいごういん しょうき)
江田島海軍兵学校別科総筆頭。男塾塾生大豪院邪鬼の父親である。
大豪院煌鬼(だいごういんこうき)の祖父で武術の師匠でもあるが、これは『曉!!男塾』でのエピソード。
鬼ハゲ
江田島海軍兵学校別科の教官。男塾教官、鬼ヒゲとの関係は不明だが、劇中でのポジションは同じ。
熊田金造(くまだ きんぞう)
平八の終生ライバルとなる人物。後の風雲羅漢塾塾長。『魁!!』本編での老いて肥満した頃とは似ても似つかぬ2枚目。かつ男気あふれるだけでなく、居合いの腕は超一流。帝国陸軍特別機動部隊「羅漢」隊長。『魁!!』終盤の姿を比較して「時の流れは残酷なもの」という平八の述懐が本編に載っている。

伊佐家

伊佐武光(いさ たけみつ)
伊佐財閥の跡取り息子。平八や熊田とは異なり、『魁!!』本編の老いた頃と風貌は似ているが、割と2枚目である。平八を倒す為にその財力・権力・人脈を駆使して平八を苦しめるが、狡猾な一方で平八に負けたことに深く葛藤するなど若いがゆえの場面もある。
後の藤堂兵衛。
伊佐容堂(いさ ようどう)
伊佐財閥の総帥で、武光の父。武光を溺愛しており、平八やその周囲の人間を巻き込んでの陰謀を展開する。ただ、平八の父・江田島國義の事を「あの『軍神』と謳われた…」と武光の報告に驚くなど、國義に対して実力を認めているようである。

ドイツ

ヒトラーユーゲント団長
張の使う神拳寺の秘奥義で操られた平八に小便をかけられる。しかし平八が切腹で水に流そうとして(行動に移したのだが儀式用模造刀のため失敗)平八を認める。ヒトラーの隠し子。

中国

神拳寺師範代で王の師匠。ドイツを憎んでいる為に伊佐親子の依頼を受けて平八を操り、日本とドイツの間に亀裂を作ろうとするが、平八と王の関係を知り、手を引いた。

アメリカ

キング・バトラー
ボクシングヘビー級チャンピオン。アメリカ軍最強の兵士と他の仲間から謳われる。平八と戦うが敗北。男塾留学生キング・バトラーJr.こと「J」の父親。
マイケル・ヘンドリックス
アメリカ海軍所属。潜水艦「モビーディック」で平八らの潜水艦「天下無双号」に対抗するがあえなく撃沈。
レオン・ヘンドリックス
アメリカ海軍中佐でエースパイロット。マイケル・ヘンドリックスの兄で、この2人は非常に仲が良い。そのため、「モビーディック」を沈めた「天下無双号」に挑む。

実在人物

「※」以降はこの話の設定。

山本五十六
日本連合艦隊司令長官。
※ 平八の父、江田島國義の同期。江田島海軍兵学校別科のメンバーで機動力に優れた兵団を作ろうとした。
愛新覚羅溥儀
満州国皇帝。
※ 東京に来日した際、警護の目を盗んで吉原遊廓で無銭遊楽した所を警察に捕まり警察署の牢獄に入れられてしまう。たまたま近くで牢屋に入れられていた平八に鉄格子を曲げてもらい脱走。逮捕時には身元不明とされた模様。
リヒャルト・ゾルゲ
ソ連赤軍スパイ。
※ ドイツ大使私設顧問で寺崎隼人の知り合い。
近衛文麿
五摂家筆頭の出。
※ その出自と血筋によるプライドの高さから、江田島親子を「平民出の成り上がり者」と憎み嫌っている。伊佐財閥総帥・伊佐容堂の知り合い。
毛沢東
中国共産党のリーダー。
※ 拳法の達人で、訳ありで平八に日本まで連行される。軍部の陰謀で捕えられ処刑されかけるが、平八の命を賭した行動によって救出され、中国に帰国した。
アンネ・フランク
アンネの日記の作者。
※ 江田島がオランダに着いた際に手に入れた彼女の日記に共感を持ってしまう。
ダグラス・マッカーサー
GHQの最高司令官。敗戦時の日本の最高指揮者。
※ 江田島との決着を受け、作中最強の敵として立ちはだかる。後に江田島の侠気に打たれ、日本の復興に貢献する。
ヨシフ・スターリン
ソ連の最高指導者。
第2次世界大戦後の極東にいた日本兵の捕虜をシベリア収容所にブチ込み、過酷な強制労働をさせている。
アドルフ・ヒトラー
第三帝国総統
※ 先述のヒトラーユーゲント団長の遺志をついだ江田島平八によって殺されるが、実は多数の影武者がいる。作中では平八が殺した人物こそ本物のヒトラーであるかもしれない可能性が示唆されるが、仮にそうであってもヒトラーを演じる影武者がいる限り第三帝国は盤石であるとされる。

単行本

ジャンプコミックスデラックス
  1. 2003年8月4日刊行 ISBN 4-08-859374-X
  2. 2004年4月2日刊行 ISBN 4-08-859410-X
  3. 2004年12月3日刊行 ISBN 4-08-859451-7
  4. 2005年6月3日刊行 ISBN 4-08-859510-6
  5. 2006年7月4日刊行 ISBN 4-08-859588-2
  6. 2007年7月4日刊行 ISBN 978-4-08-859655-6
  7. 2008年7月4日刊行 ISBN 978-4-08-859717-1
  8. 2009年8月4日刊行 ISBN 978-4-08-859789-8
  9. 2010年7月2日刊行 ISBN 978-4-08-859845-1
  10. 2011年2月4日刊行 ISBN 978-4-08-859873-4

外部リンク