司法書士

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司法書士
英名 Shiho-Shoshi Lawyer
実施国 日本の旗 日本
資格種類 国家資格
分野 法律
試験形式 筆記試験、口述試験
認定団体 法務省
等級・称号 司法書士
根拠法令 司法書士法
公式サイト 司法書士試験
ウィキプロジェクト ウィキプロジェクト 資格
ウィキポータル ウィキポータル 資格
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司法書士(しほうしょし)とは、司法書士法に基づく国家資格であり、専門的な法律の知識に基づき不動産法人など全ての登記代理及び供託代理裁判所検察庁法務局に提出する書類を作成、提出する専門職である[1]。また、法務大臣から認定を受けた認定司法書士は、簡易裁判所における民事訴訟民事執行民事保全和解調停などにて当事者を代理することができる[1]

概要

司法書士は、司法書士法の規定に基づき登記[2]および供託の手続き、裁判所検察庁法務局など法務省が監督する官庁に提出する書類の作成、財産管理業務[3]などを行う[1]

また、いわゆる「認定司法書士」は、上記の業務に加えて、簡易裁判所にて取り扱うことができる140万円までの民事訴訟訴え提起前の和解支払督促証拠保全民事保全民事調停少額訴訟債権執行裁判外の和解仲裁筆界特定についても代理できる[4]。簡易裁判所よりも上級の裁判所については、依頼人に代わって法廷に出頭したり答弁することはできないが、依頼人に代わって訴状などを書くことはできる。

業務上、依頼人の財産や人権を取り扱うため、業務に対する真摯な姿勢が求められる[1]。依頼人の相談に親身に応じ、勤勉かつ温厚な性格の人が向いているとされる[1]

厚生労働省の職業分類表では、司法書士は「専門的・技術的職業」(B)の「法務の職業」(17)の「司法書士」(175)と分類される[5]総務省の日本標準職業分類では、「専門的・技術的職業従事者」(大分類 B)の「法務従事者」(中分類 17)の「司法書士」(175)と分類される[6]。同じく総務省の日本標準産業分類では、司法書士事務所(7221)は「学術研究,専門・技術サービス業」(大分類 L)の「専門サービス業(他に分類されないもの)」(中分類 72)と分類される[7]

歴史

  • 1872年(明治5年) - 司法職務定制   代書人制度の誕生 
    • 太政官無号達で司法職務定制が定められる。『各区代書人ヲ置キ各人民ノ訴状ヲ調成シテ其詞訟ノ遺漏無カラシム』第10章の「証書人代書人代言人職制」の中に法制度を支える基本的な職能が定められた。証書人は現在の公証人、代書人は現在の司法書士、代言人は現在の弁護士である
  • 1919年(大正8年) - 司法代書人法制定  司法代書人と一般代書人に分離された。
  • 1935年(昭和10年) - 旧司法書士法制定  「司法代書人」から「司法書士」に名称変更。
  • 1950年(昭和25年) - 新司法書士法制定  新憲法下で新たな司法書士法が成立。官の全面的な監督権が廃止された。
  • 1978年(昭和53年) - 司法書士制度の目的および司法書士の職責に関する規定を明確化。国家試験制度導入。
  • 2002年(平成14年) - 簡裁訴訟代理等関係業務規定・司法書士法人規定の創設。

資格・登録

司法書士となる資格

  • 司法書士試験に合格した者[8]
  • 裁判所事務官、裁判所書記官、法務事務官若しくは検察事務官としてその職務に従事した期間が通算して十年以上になる者又はこれと同等以上の法律に関する知識及び実務の経験を有する者であつて、法務大臣が司法書士の業務を行うのに必要な知識及び能力を有すると認めたもの[9]

欠格事由

次のいずれかに該当する者は、上記にかかわらず、司法書士となる資格を有しない[10]

  • 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつてから三年を経過しない者
  • 未成年者、成年被後見人又は被保佐人
  • 破産者で復権を得ないもの
  • 公務員であつて懲戒免職の処分を受け、その処分の日から三年を経過しない者
  • 第四十七条の規定により業務の禁止の処分を受け、その処分の日から三年を経過しない者
  • 懲戒処分により、公認会計士の登録を抹消され、又は土地家屋調査士、弁理士、税理士若しくは行政書士の業務を禁止され、これらの処分の日から三年を経過しない者

登録

司法書士となる資格を有する者が、司法書士となるには、日本司法書士会連合会の司法書士名簿に登録を受けなければならない[11]。平成27年4月時点の登録者数は21,658名(女性3,506名)、927法人である。

認定司法書士制度

法務大臣の認定を受けた司法書士が、簡易裁判所管轄の民事事件等一定の事件を弁護士と同様に務めることができる制度である。 なお、法務大臣の認定を受けるためには下記の条件を満たさなければならない。

  • 日本司法書士会連合会が実施する研修であつて法務大臣が指定するものの課程(特別研修)を修了する[12][13][14]
  • この研修を修了した者の申請に基づき法務大臣が簡裁訴訟代理等関係業務を行うのに必要な能力を有すると認定される[15]

監督

司法書士に対する懲戒は、法務局又は地方法務局の長が行う[16]

司法書士の業務

司法書士の業務内容は、以下の通りである[17]

通常の司法書士業務(本来業務)

なお、これらの業務は資格者以外はすることのできない、いわゆる独占業務である[23]
登記手続きの具体例は不動産登記商業登記法人登記船舶登記債権譲渡登記動産譲渡登記などを指し、法務局等提出・提供書類の具体例は登記・供託手続きに添付・提供される書類(売買契約書、各種議事録、定款等)や帰化申請手続書類、人権救済手続きの申出関係書類などを指し、裁判所若しくは検察庁に提出する書類の具体例は訴状、答弁書、各種審判申立書やこれらに添付される書類等を指す。

通常の司法書士業務(附帯業務)

  • 当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により、管財人管理人その他これらに類する地位に就き、他人の事業の経営、他人の財産の管理若しくは処分を行う業務又はこれらの業務を行う者を代理し、若しくは補助する業務[24]
  • 当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により、後見人保佐人補助人監督委員その他これらに類する地位に就き、他人の法律行為について、代理、同意若しくは取消しを行う業務又はこれらの業務を行う者を監督する業務[25]
  • 司法書士又は 司法書士法人の業務に関連する講演会の開催、出版物の刊行その他の教育及び普及の業務[26]
  • 競争の導入による公共サービスの改革に関する法律 (平成十八年法律第五十一号)第三十三条の二第一項 に規定する特定業務[27]
  • 通常の司法書士業務に附帯し、又は密接に関連する業務[28]

いわゆる成年後見人相続財産管理人不在者財産管理人遺言執行者等の財産管理業務[29]や公正証書遺言の証人立会、公正証書の嘱託代理[30]などの業務の根拠規定である。

認定司法書士が通常の業務に加えて行える業務(簡裁訴訟代理等関係業務(認定業務))

法務大臣の認定をうけた司法書士(認定司法書士)は次の業務を行うことができる[31]。ただし目的の価額が140万円[32]を超えないものに限る[33]。(筆界特定手続について代理をする業務に関しては対象土地の評価額の合計が5600万円以内)

  • 簡易裁判所における民事訴訟手続の代理
  • 訴え提起前の和解(即決和解)手続の代理
  • 支払督促手続の代理
  • 証拠保全手続の代理
  • 民事保全手続の代理
  • 民事調停手続の代理
  • 少額訴訟債権執行手続の代理
  • 裁判外の和解について代理する業務
  • ADR(裁判外紛争解決手続)の代理
  • 仲裁手続の代理
  • 民事紛争の相談
  • 筆界特定手続について代理をする業務

他の法律等で規定されている業務

  • 不動産登記法に基づく本人確認情報提供業務[34]
  • 不動産売買等における立会い業務[35]
  • 民事執行法第82条第2項による登記嘱託書交付手続[36]
  • 民間紛争解決手続(ADR手続き)の手続実施者[37]
  • 仲裁法に基づく仲裁人業務[38]
  • 検察審査会に提出する書類(審査申立書、取下書、証人申出書等)の作成[39]
  • 登記・裁判所手続き等司法書士法に定める業務に付随する必要な範囲内での官公署提出書類(租税、公課等の証明願、戸籍及び住民票の謄抄本交付請求書等)作成[40]
  • 宗教法人が登録免許税の免除を受けるために行う基づく手続き[41][42]
  • 原発ADR和解仲介手続申立書の作成[43]
  • 税理士から依頼された相続税算定のための相続人調査・確定業務は司法書士法第3条第1項第5号業務の範囲である。[44]
  • 表示に関する登記のうち下記登記申請手続(ただし、3ないし6の登記については土地家屋調査士の作成する所要の図面を添付する場合に限る)[45]
    1. 所有者表示の変更又は更正の登記
    2. 共有持分の更正の登記
    3. 裁判の謄本を添付してする登記
    4. 債権者代位によってする登記
    5. 相続人がする土地又は家屋の分割又は合併の登記
    6. 旧不動産登記法第83条第3項(同法第93条の2第2項において準用する場合も含む)の書面を添付してする土地・建物の分割の登記
    7. 農業委員会の現況証明書を添付してする農地法第5条の許可に係る地目変更の登記
  • 土地家屋調査士とともにする場合であれば、当事者の嘱託を受けて、不動産登記法第49条第1項後段の規定による登記(合体後の建物についての建物の表題登記及び合体前の建物についての建物の表題部の登記の抹消)に係る部分をすることができる[46]

非司法書士の取り締まり

  • 司法書士会に入会している司法書士または司法書士法人でない者(公共嘱託登記司法書士協会を除く)が、司法書士の業務を行ったり、司法書士または司法書士法人の名称またはこれと紛らわしい名称を用いたりした場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる[47][48]
  • 司法書士法に定めらている業務は弁護士法の一般の法律事務にも当てはまる[49]ことから、司法書士法違反事実をもって弁護士法違反にも問われることもある[50]
  • 司法書士法第73条は他の法律に別段の定めがある場合を例外としているが、その「他の法律」とは弁護士法、土地家屋調査士法に限られ、行政書士法は含まない[51]
  • 認定業務は司法書士法上罰則規定はないが、この業務は弁護士法の法令の別段の定めにあたるため無資格者が行った場合には弁護士法違反となる[52]

業務制限

  • 司法書士は、通常の司法書士業務とされている業務であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、これを行うことができない[53]
  • 法第3条8項は法3条1項の業務を縮減する性質を有しているため司法書士法の定める業務自体弁護士法の定める法律事務である以上、弁護士法との関係において司法書士法第3条8項により制約される関係ではない。しかし業務範囲を超える場合は弁護士法第72条違反の問題となるとされている。[54]

司法書士に関する組織

日本司法書士会連合会

日本司法書士会連合会は法務局又は地方法務局の管轄区域ごとに設立された司法書士会の上部組織である。詳しくは日本司法書士会連合会を参照。

司法書士会(単位会)

司法書士は、その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域ごとに、会則を定めて、一箇の司法書士会を設立しなければならない。司法書士会は、会員の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とする。

  • 司法書士会の会則を定め、又はこれを変更するには、法務大臣の認可を受けなければならない。(司法書士法第54条)
  • 司法書士会は、所属の会員が、この法律又はこの法律に基づく命令に違反すると思料するときは、その旨を、その司法書士会の事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長に報告しなければならない。(司法書士法第60条)。
  • 法務局又は地方法務局の長は、必要があると認めるときは、法又は法に基づく命令の規定に違反する事実の有無について、法務局又は地方法務局の保有する登記申請書その他の関係資料の調査(司法書士法等違反に関する調査)を、その管轄区域内に設立された司法書士会に委嘱することができる。(司法書士法施行規則第41条の2)

公共嘱託登記司法書士協会

公共嘱託登記司法書士協会は司法書士権能を法人に付与し、公共事業実施に伴い大量に発生する官公署の嘱託登記を適正・迅速に処理するため司法書士法68条に規定された社団法人である。嘱託登記の大きな特徴は、一般の登記申請手続は当事者の共同申請によるのが原則であるが、嘱託登記の手続は、官公署が権利者又は義務者であっても官公署からの一方的な嘱託によってなされる点にある。社員は司法書士・司法書士法人である。詳しくは公共嘱託登記司法書士協会を参照。

その他司法書士関連団体

上記組織の他、全国的に下記の司法書士関連団体(任意)が活動している。

司法書士試験

第一のルートは、法務省が実施する司法書士試験に合格することである。司法書士試験は、まず「筆記試験」が実施され、次に筆記試験に合格した者を対象にした「口述試験」が実施される。

筆記試験は、毎年、7月の第1週(又は第2週)の日曜日に各法務局管轄の受験地で行われている。

午前の部は、多肢択一式35問を2時間で解答する。科目は、憲法民法商法会社法その他の商法分野の法令を含む)、刑法から出題される。

午後の部は、多肢択一式35問と記述式2問を3時間で解答する。科目は、択一では供託法民事訴訟法民事執行法民事保全法司法書士法不動産登記法商業登記法から出題され、記述式では不動産登記商業登記から出題される。

これら11科目が試験科目であり、民法、不動産登記法、商法、商業登記法はまとめて主要四科目と呼ばれ、出題数の大半を占めている。 なお、筆記試験において午前の部多肢択一式、午後の部多肢択一式、記述式それぞれにおいて一定の点数に達しない場合にそれだけで不合格となる仕組みとなっている。

口述試験は、毎年、10月中旬頃に実施される。試験科目は、筆記試験と同一の範囲からの出題となっている。(ただし、通年受験者のほぼ10割が合格する試験であり、形式的なものである。)万が一落ちた場合であっても、筆記試験に合格した者に対しては、その申請により、次回の司法書士試験の筆記試験を免除する(司法書士法第6条第3項)規定となっている。

筆記試験の合格発表は、例年10月上旬に、受験地を管轄する法務局又は地方法務局において、その受験地で受験して合格した者の受験番号を掲示する。また法務省ホームページにも同様に掲載される。 最終合格の発表は、例年11月上旬に、受験地を管轄する法務局又は地方法務局において、その受験地で受験して合格した者の受験番号及び氏名を掲示する。また法務省ホームページにも掲示されるが、こちらは受験番号のみである。最終合格者は、前記の発表後、若干期間をおいて受験番号及び氏名が官報に掲載される。

年度 出願者(人) 受験者(人) 合格者(人) 合格率
平成元年度 18,234 406 2.2%
平成2年度 18,533 408 2.2%
平成3年度 18,599 408 2.2%
平成4年度 18,339 403 2.2%
平成5年度 18,044 405 2.2%
平成6年度 18,266 440 2.2%
平成7年度 17,682 479 2.7%
平成8年度 19,090 504 2.6%
平成9年度 21,158 539 2.5%
平成10年度 21,475 567 2.6%
平成11年度 21,839 577 2.6%
平成12年度 22,715 615 2.7%
平成13年度 23,190 623 2.7%
平成14年度 25,416 701 2.8%
平成15年度 28,454 790 2.8%
平成16年度 29,958 865 2.9%
平成17年度 31,061 883 2.8%
平成18年度 31,878 26,278 914 2.9%
平成19年度 32,469 26,860 919 2.8%
平成20年度 33,007 27,102 931 2.8%
平成21年度 32,558 26,774 921 2.8%
平成22年度 33,166 26,958 948 2.8%
平成23年度 31,228 25,696 879 2.8%
平成24年度 29,379 24,048 838 2.8%
平成25年度 27,400 22,494 796 2.9%
平成26年度 24,538 20,130 759 3.0%
平成27年度 21,754 17,920 707 3.2%

職務従事経験者

第二のルートとして、一定の職にあった者の中から法務大臣による考査を経て司法書士資格を得ることである。法務大臣の「司法書士の資格認定に関する訓令」第1条に、次に掲げる者は、法務大臣に対し、資格認定を求める事ができるとあり、 (1) 裁判所事務官裁判所書記官法務事務官又は検察事務官として登記、供託若しくは訴訟の事務又はこれらの事務に準ずる法律的事務に従事した者であって、これらの事務に関し自己の責任において判断する地位に通算して10年以上あった者、 (2) 簡易裁判所判事又は副検事としてその職務に従事した期間が通算して5年以上の者が規定されている。その者が資格認定を求めた場合の判定は、口述及び必要に応じ筆記の方法によって行うと規定されている。

資格取得後

筆記及び口述試験合格後、または法務大臣の認可を受けた後、事務所所在地を管轄する都府県司法書士会又は札幌、旭川、釧路、函館各司法書士会(北海道には4つの司法書士会があり、全部で50の単位会がある)へ入会して、日本司法書士会連合会が行う司法書士名簿への登録を受けなければ司法書士としての業務を行うことができない。また、二人以上の司法書士を社員とする司法書士法人を設立することもできる。

なお、法律上資格取得後直ちに入会・登録ができる制度にはなっているが、多くの試験合格者は業界団体の主催する研修を受け、先輩の事務所に入所し数年間の訓練を受けた上で登録・開業するのが一般的である。

簡裁訴訟代理等能力認定考査

法務大臣が簡裁訴訟代理等関係業務を行うのに必要な能力を有すると認定するために能力認定考査が実施される。例年6月の第1日曜日に実施され、合格発表は9月1日前後に行われる。[55]

年度 受験者(人) 合格者(人) 合格率
平成15年度 3,788 2,989 78.9%
平成16年度(1回目) 4,403 3,413 77.5%
平成16年度(2回目) 3,439 2,342 68.1%
平成17年度 1,640 966 58.9%
平成18年度 1,565 969 65.9%
平成19年度 1,609 1,148 71.3%
平成20年度 1,445 935 64.7%
平成21年度 1,493 895 59.9%
平成22年度 1,531 1,053 68.8%
平成23年度 1,391 917 65.9%
平成24年度 1,259 829 65.8%
平成25年度 1,196 830 69.4%
平成26年度 1,062 741 69.8%
平成27年度 987 649 65.8%

その他

  • 司法書士(認定・非認定問わず、法人も)から受任通知(債務の処理の委託を受けた旨の通知)を受け取った債権者は正当な理由がないのに、債務者等に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求することが禁止される。[56]
  • 公証人法第13条ノ2に規定する公証人(特任公証人)の公募選考資格の一つに司法書士としての実務の経験年数が通算して15年以上の者が規定されている。[57]
  • 執行官採用選考試験の受験資格の一つとして司法書士、または司法書士又は司法書士法人の事務所における司法書士補助者としての勤務資格が挙げられている。[58]
  • 予備自衛官(法務職)の任用資格になっている。[59]
  • 司法書士は裁判員に就職することができない。[60]
  • 司法書士は検察審査会検察審査員に就職することができない。[61]
  • 司法書士は弁理士試験において一部科目の免除がされる。[62]
  • 司法書士試験合格者には社会保険労務士試験の受験資格が付与される[63]

司法書士の徽章

司法書士の徽章バッジ)は、「五三桐花」(意匠である「五三桐花紋」は、日本では比較的ポピュラーな家紋でもある)。直径13mm、厚さ約3mmで、裏に通しのナンバリングが施されている。司法書士徽章は、司法書士会に入会後交付され(実際には、貸与される。貸与料は、返還まで6500円)、退会届提出時、あるいは業務停止の処分を受けたときは司法書士会に返還しなければならない。

脚注

  1. ^ a b c d e 司法書士 B175-01” (PDF). 厚生労働省職業安定局 (2011年6月). 2015年5月19日閲覧。
  2. ^ 不動産登記、会社・法人等商業登記、動産・債権譲渡登記、船舶登記など
  3. ^ 成年後見人相続財産管理人不在者財産管理人遺言執行者など
  4. ^ 司法書士の簡裁訴訟代理等関係業務の認定”. 法務省. 2015年5月19日閲覧。
  5. ^ B 専門的・技術的職業”. 厚生労働省職業安定局 (2011年6月). 2015年5月18日閲覧。
  6. ^ 日本標準職業分類(平成21年12月統計基準設定)-分類項目名”. 総務省統計局 (2009年12月21日). 2015年5月18日閲覧。
  7. ^ 日本標準産業分類(平成25年10月改定)(平成26年4月1日施行)-分類項目名”. 総務省 (2013年10月). 2015年5月18日閲覧。
  8. ^ 司法書士法第4条第1号
  9. ^ 司法書士法第4条第2号
  10. ^ 司法書士法第5条
  11. ^ 司法書士法第8条第1項
  12. ^ 司法書士法第3条2項第1号
  13. ^ 司法書士法第三条第二項第一号の法人を定める省令
  14. ^ 法務大臣が簡裁訴訟代理等関係業務を行うのに必要な能力を有すると認定するために能力認定考査が実施され、そこで一程度の習得があると判断されれば認定される。(司法書士法施行規則第11条)
  15. ^ 司法書士法第3条2項第2号
  16. ^ 司法書士法第47条
  17. ^ 司法書士法第3条、第29条及び司法書士法施行規則第31条
  18. ^ 司法書士法第3条第1項第1号
  19. ^ 司法書士法第3条第1項第2号
  20. ^ 司法書士法第3条第1項第3号
  21. ^ 司法書士法第3条第1項第4号
  22. ^ 司法書士法第3条第1項第5号
  23. ^ 司法書士法第73条
  24. ^ 司法書士法施行規則第31条第1項第1号
  25. ^ 司法書士法施行規則第31条第1項第2号
  26. ^ 司法書士法施行規則第31条第1項第3号
  27. ^ 司法書士法施行規則第31条第1項第4号
  28. ^ 司法書士法施行規則第31条第1項第5号
  29. ^ 司法書士法施行規則第31条第1項第1号、第2号
  30. ^ 司法書士法施行規則第31条第1項第5号、最高裁平成15年12月18日決定、最高裁判所判例解説(刑事編)平成15年。なお平成15年1月1日に廃止された「司法書士報酬額基準」には公正証書嘱託代理の項目があり、この報酬基準は法務大臣の認可を受けるものであったため法務省はその業務性を従前から認めていた。
  31. ^ 司法書士法第3条第1項第6号〜第8号
  32. ^ 裁判所法第33条第1項第1号
  33. ^ 司法書士法第3条第1項第6号から第8号及び司法書士法第29条第1項第2号
  34. ^ 不動産登記法第23条
  35. ^ 裁判例では「公知の事実」とされている。昭和63年5月25日大阪地裁判決 判時1316号107頁
  36. ^ 民事執行法第82条第2項
  37. ^ 裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律第6条第5号、司法書士法第3条第1項第7号、同第3条第2項
  38. ^ 仲裁法第17条、司法書士法第22条
  39. ^ 昭和36年10月14日民事甲第2600号民事局長回答
  40. ^ 昭和39年9月15日民事甲第3131号民事局長回答、昭和39年7月7日自治省事務次官通知、昭和62年6月19日行政課長回答、平成16年6月18日内閣衆質159第158号内閣総理大臣答弁、平成20年12月8日規制改革会議への要望に対する法務省回答、平成21年1月20日規制改革会議への要望に対する法務省再回答、詳解行政書士法p218、行政書士関係法令先例総覧文書番号34及び209
  41. ^ 登録免許税法施行規則第4条
  42. ^ 昭和35年11月10日自治省行発第44号岩手県総務部長宛行政課長回答
  43. ^ 法務省解釈 ADR機関は裁判所に準じる機関としてその書類作成について業務性を認めている。
  44. ^ 平成17年12月21日名古屋地方裁判所判決 http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/448/007448_hanrei.pdf#search='%E5%8F%B8%E6%B3%95%E6%9B%B8%E5%A3%AB+%E5%88%A4%E6%B1%BA+%E8%B3%A0%E5%84%9F%E4%BF%9D%E9%99%BA+%E7%A8%8E+%E5%90%8D%E5%8F%A4%E5%B1%8B%E5%9C%B0%E8%A3%81'
  45. ^ 昭和44年5月12日民事甲第1093号民事局長通達
  46. ^ 平成5年9月29日民三第6361号民事局長通達
  47. ^ 司法書士法第73条、第78条
  48. ^ 第3条第1項第1号から第5号までに規定する「業務」の定義は反復継続する意思で第3条第1項第1号から第5号の事務を行なうことであり、反復継続する意志があれば、報酬を得る目的は必要ではないとされている。(注釈司法書士法、最高裁昭和39年12月11日第2小法廷判決、大審院昭和9年3月16日判決(司法代書人法時代))
  49. ^ 平成7年11月29日東京高裁判決
  50. ^ 昭和33年9月12日最高裁判決
  51. ^ 平成19年10月2日福岡高等裁判所宮崎支部判決、平成20年1月16日最高裁判所第二小法廷決定、注釈司法書士法p473
  52. ^ 弁護士法第72条
  53. ^ 司法書士法第3条8項
  54. ^ 平成14年4月5日衆議院法務委員会民事局長回答 http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/154/0004/15404050004006.pdf#search='%E5%B9%B3%E6%88%9014%E5%B9%B44%E6%9C%885%E6%97%A5%E8%A1%86%E8%AD%B0%E9%99%A2%E6%B3%95%E5%8B%99%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A'、 注釈司法書士法p136
  55. ^ http://www.moj.go.jp/shikaku_saiyo_index4.html
  56. ^ 貸金業法第21条第1項第9号
  57. ^ http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00019.html
  58. ^ http://www.courts.go.jp/saiyo/shikkokan/
  59. ^ http://www.mod.go.jp/gsdf/reserve/bosyu/pdf/25yobijiginouyoukou.pdf
  60. ^ 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第15条
  61. ^ 検察審査会法第6条
  62. ^ 弁理士法第11条第6号、弁理士法施行規則第6条第10号
  63. ^ http://www.sharosi-siken.or.jp/exam/shikaku.html

関連項目

外部リンク