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ユウティラヌス

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ユウティラヌス
生息年代: 124.6 Ma
Yutyrannus hualiの復元図の一例                   {若齢個体の標本(ELDM V1001)に基づく}
保全状況評価
絶滅(化石
地質時代
約1億2460万年前
中生代前期白亜紀
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜形下綱 Archosauromorpha
上目 : 恐竜上目 Dinosauria
: 竜盤目 Saurischia
亜目 : 獣脚亜目 Theropoda
下目 : テタヌラ下目 Tetanurae
階級なし : (未整理)コエルロサウルス類 Coelurosauria
上科 : ティラノサウルス上科 Tyrannosauroidea
: 未詳
: ユウティラヌス属 Yutyrannus
学名
Yutyrannus
Xu et al., 2012
タイプ種
Yutyrannus huali Xu et al., 2012
和名
ユウティラヌス
英名
Yutyrannus
下位分類(
  • ユウティラヌス・フアリ
    Y. huali Xu ‘’et al’’., 2012 (模式種)

ユウティラヌスYutyrannus) はティラノサウルス上科の恐竜の1属。中華人民共和国遼寧省易県累層より発掘された成長段階の異なる3個体の全身骨格に基づき、2012年の春にユウティラヌス・フアリ(Yutyrannus huali)が新属新種として記載・報告された[1]。 属名のYutyrannusが、北京語の「羽(yǔ)」+ラテン語の「tyrannus=王、暴君」に由来するように、全身に羽毛を生やした大型の獣脚類といった点で注目される。Y. hualiの種小名は、北京語の「華麗(huá lì)」から[1]。他の学名の例に漏れず、発音の関係で「ユティランヌス・フアリ」「ユーティラヌス・フアリ」などと表記されることもある。

ティラノサウルス上科ではあるが、有名なティラノサウルス(Tyrannosaurus)よりも約6000万年も遡る時代の動物でありティラノサウルス科とされるほど近縁でもない。前肢に3本の明瞭な指を持つなど、このグループとしては比較的祖先的な特徴を持っている。

生物学的特徴

頭部はティラノサウルス類の特徴をよく備えているが、前上顎骨鼻骨から成る、トサカ状の隆起が特徴的である。前脚には明瞭な3本の指があり、この点はティラノサウルス上科の中でも祖先的である[1]

模式標本であるZCDM(Zhucheng Dinosaur Museum, Shandong) V5000は、仙骨の癒合の具合などから成体だと目されており、この個体の大腿骨の長さは85cmに達し、全長約9m、体重はおよそ1414kg程度だろうと推測されている[1]

特徴的なのは3つの標本の全身に残った毛状の羽毛[2]の痕跡であり、総じて長さは15cmほど、部位によっては20cmほどにもなる繊維状の構造が、全身に密集して観察された。それまで全身にこうした構造を持つ羽毛恐竜と言えば小型の種ばかりであった[1] ため、ユウティラヌスの発見は大きく報じられた。

ティラノサウルスに対してはグアンロンほど遠縁ではないが、エオティラヌスより更に祖先的な系統であるとされる[1]

脚注

  1. ^ a b c d e f Xu, X., Wang, K., Zhang, K., Ma, Q., Xing, L., Sullivan, C., Hu, D., Cheng, S., and Wang, S. (2012). "A gigantic feathered dinosaur from the Lower Cretaceous of China." Nature, 484: 92-95. doi:10.1038/nature10906
  2. ^ 羽毛と言っても、単一の軸をもった毛状ないし棘状の繊維構造であり、現生鳥類から一般に想像される分枝したものではない。

参考文献

関連項目