ホルン三重奏曲 (ブラームス)
ホルン三重奏曲 変ホ長調 作品40は、ヨハネス・ブラームスが作曲した室内楽曲で、ホルン、ピアノ、ヴァイオリンのための三重奏曲である。ブラームスは、ホルンに代えてヴィオラを用いることを認めている。
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第1楽章・第2楽章・第3楽章・第4楽章 ゲルト・ザイフェルト(ホルン)、エドゥアルト・ドロルツ(Eduard Drolc)(ヴァイオリン)、クリストフ・エッシェンバッハ(ピアノ)によるモダン楽器演奏。ユニバーサル・ミュージック提供のYouTubeアートトラック。 | |
第1楽章・第2楽章・第3楽章・第4楽章 トゥーニス・ファン・デア・ズヴァールト(ナチュラルホルン)、イザベル・ファウスト(ヴァイオリン)、アレクサンダー・メルニコフ(ピアノ)による古楽器演奏[1]。PIAS提供のYouTubeアートトラック。 | |
第1楽章・第2楽章・第3楽章・第4楽章 マキシム・リザノフ(ヴィオラ)、ボリス・ブロフツィン(Boris Brovtsyn)(ヴァイオリン)、カーチャ・アペキシェヴァ(Katya Apekisheva)(ピアノ)によるヴィオラ版の演奏、Orchard Enterprises提供のYouTubeアートトラック。 |
概要
ブラームスは多くの室内楽曲を作曲しているが、ホルンを使用した室内楽曲はこの作品のみである。1865年の5月にバーデン=バーデンで作曲が始められた。バルブを持たないナチュラルホルンのストップ奏法で演奏することを意図して作曲されている[2]。作曲者の友人であったホルン奏者アウグスト・コルデス(August Cordes)を想定して書かれたのではないかとの推測がある[2]。初演は同年の11月28日にチューリヒで、ブラームスのピアノと2人の友人によって行われた。
アダージョ・メストの第3楽章は、同年の2月2日に母が76歳で世を去ったため、母を追悼する気持ちを込めて書き上げている。また第3楽章の主題には、ドイツの古いコラール『愛する神の導きにまかすもの』("Wer nur den lieben Gott lässt walten")が用いられ[要検証 ]、より重厚な対位法で書かれているが、これは母の死に直接関係していることが窺われる。
同じ編成の曲として、ハンガリーの作曲家ジェルジ・リゲティが1982年に作曲したホルン三重奏曲がある。この曲には『ブラームスを称えて』という副題が付けられている。
構成
全4楽章から構成され、バロック時代の教会ソナタを思わせる楽章配置で、ソナタ形式は終楽章のみ用いられていることも特徴。演奏時間は約30分。
- 第1楽章 アンダンテ
変ホ長調、4分の2拍子。
- 第2楽章 スケルツォ(アレグロ)
変ホ長調、4分の3拍子。
- 中間部の主題は1853年に作曲したピアノ曲「アルバムのページ Albumblatt」にさかのぼる。この曲はゲッティンゲンの音楽監督だったアルノルト・ヴェーナーのアルバムから2010年に発見され、翌2011年に初演された[3]。これはブラームスの曲では、確認されている限り現存する最古の作品である。
音楽・音声外部リンク | |
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Albumblatt(第2楽章中間部の原曲) 全曲を試聴 | |
Albumblatt in A Minor - ソフィー=マユコ・フェッター(ピアノ)による演奏、NAXOS of America提供のYouTubeアートトラック。 |
- 第3楽章 アダージョ・メスト
変ホ短調、8分の6拍子。
- 第4楽章 アレグロ・コン・ブリオ
変ホ長調、8分の6拍子。
出典
- ^ Jed Distler. “Brahms: Horn Trio, etc./Faust, Van der Zwart, Melnikov”. Classics Today. 2021年6月11日閲覧。
- ^ a b Peter Silberman. “Brahms's Use of the Hand Horn in the Trio, Op.40” (PDF). The Horn Call (International Horn Society) (February 2008): 49-53 2021年6月14日閲覧。.
- ^ Needham, Alex (2012年2月13日). “Brahms Piano Piece to Get Its Premiere 159 Years After Its Creation”. The Guardian