ブガッティ・シロン
ブガッティ・シロン | |
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ブガッティ・シロン | |
概要 | |
販売期間 | 2016年– |
デザイン | サシャ・セリパノフ |
ボディ | |
乗車定員 | 2名 |
ボディタイプ | 2ドアクーペ |
駆動方式 | 4WD |
パワートレイン | |
エンジン | 7,933ccW型16気筒 クワッドターボ |
最高出力 | 1,103kW(≒1,500PS)/6,700rpm |
最大トルク | 1,600 N·m(163.2kg・m)/2,000-6,000rpm |
変速機 | 7速セミAT(DSG) |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,711mm |
全長 | 4,544mm |
全幅 | 2,038mm |
全高 | 1,212mm |
車両重量 | 1,995kg |
その他 | |
0-100km/h | 2.5秒 |
最高速度 | 420km/h(リミッター作動) |
系譜 | |
先代 | ブガッティ・ヴェイロン |
シロン(Chiron)とは、ブガッティ・オトモビルが2016年から全世界500台限定で製造しているハイパーカーである。
「シロン」という車名はかつてブガッティに乗り活躍したレーシング・ドライバーのルイ・シロン(Louis Chiron)から採られている。
2016年、ジュネーヴ国際モーターショー開幕の前日、2月29日に発表され、価格はヴェイロンの倍となる260万USドル、240万ユーロとされた。
概要
パワートレイン
エンジン形態はヴェイロンと同じく、8リッター W16 4ターボエンジンだが、最高出力1500馬力、最大トルク163.2kgmと大幅に向上。ほぼ全てのコンポーネントを設計から改良し、重量増を抑えているものの[1]、大出力のエンジンとそれを伝達するギアだけで700kgある[2]。
4基のターボチャージャーは、発進時には2基のみ動作し、残りの2基はエンジン回転数が3800rpmに達すると作動するように設計されている。これによって、発進時や低速域からのトルク特性がリニアになり、操作性に寄与している[1]。
駆動系統はハルデックス・トラクション製の4輪駆動システムとリカルド製のデュアルクラッチミッションが組み合わされている。
FIA 世界耐久選手権(WEC)のLMP1レースカーと同性能のねじり剛性と曲げ剛性を発揮するダラーラ製フルカーボン構造シャシー採用により、軽量化が図られているものの、車両重量はヴェイロンより155kgも重くなり1,995kgにも及ぶ。
デザイン
ウラカンのデザインにも関与したサシャ・セリパノフによってデザインされた[3][4]。
伝統的なブガッティのデザインを踏襲しつつ、空力効果やエンジンの排熱効率を高めるための技術的なデザインが施されている。
馬蹄形のフロントグリルに加え、タイプ57 クーペ・アトランティークのデザインを元にした、ルーフからリアエンドにかけて流れるセンターラインや、エットーレ・ブガッティのサインをモチーフにした「Cライン」がデザインされている。馬蹄形のグリルは、エンジンの膨大な熱を処理するための大量の空気を取り入れるためのデザインであり、センターラインは直進安定性を考慮したものである[1]。
性能
公称の最高速は420km/hとされているが、実際にはそれを上回るスピードを出すことも難しくないとされる。理論上は480km/hを超えることも可能とされるが、シロン専用のタイヤが新開発されてもなおそのスピードに耐えうるタイヤがないため実現できないとされていた[5]。しかし、2019年9月2日にプロトタイプによる最高速計測で304.77mph(490.48km/h)を計測し[6][7]、ハイパーカー初の300mph超えを達成した[8]。
燃費性能は4.7km/L(カタログ値では3km/L[7])とされている[9]。
バリエーション
シロン・スポーツ
2018年3月、ジュネーブ・モーターショーにおいて公開された。標準モデルのシロンと比べて約18kg軽量化されており、サスペンションとドライブトレインにも改良が施されている[10]。 2019年2月、ブガッティの創業110周年を記念する20台のみの限定モデルとして、シロン・スポーツをベースにした「シロン・スポーツ110 ans Bugatti」が発表された[11]
シロン・ピュアスポーツ
ジュネーブ・モーターショーにて発表される予定だったが[12]、新型コロナウイルス感染症の影響により開催中止となり、2020年3月、フランスのモルスハイムの本部において公開された。リアウイングを可変式から固定式に変更することで油圧機構などを省略し、約50kg軽量化。ギアのショートレシオ化によって中速域の加速性能を上げるなどの改良が施されている。最高速度は350km/hに抑えられている。60台の限定生産で、価格は300万ユーロとなっている[12][13]。
シロン・スーパースポーツ・300+
市販車世界最速を記録するためにシロンをベースに開発されたモデル。2019年8月2日にドイツ北部のエーラ・レッシェンで行われた記録会において時速304.773マイル(490.484km/h)を記録し、史上初めて市販車として時速300マイルを突破した。ロングテールを採用し、ブラックカーボンのボディにジェットオレンジのピンストライプが入っている。また、乗降時にドアを開けるとLEDライトにより”Super Sport 300+”の文字が地面に照射される。
シロン・タイプ55・スーパースポーツ
シロン・スーパースポーツ・300+の市販バージョン。30台限定で生産され、価格は日本円で4億3000万円から。ボディはシロン・スーパースポーツ・300+とほとんど同じだが、ホイールなどの細かいところが変更されている。同年のミラノモーターショーで実車が展示・公開された。
ラ・ヴォワチュール・ノワール
ブガッティの創業110周年を記念して製作されたワンオフモデル。2019年のジュネーブ・モーターショーにおいて公開された。車名はフランス語で「黒い車」を意味し、1930年代にブガッティが製作した名車「タイプ57SC クーペ・アトランティーク」にインスパイアを得たエクステリアデザインとなっている。メカニズムはシロンと同一。
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フロントビュー
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リアビュー
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シロン・スポーツ
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ラ・ヴォワチュール・ノワール
脚注
- ^ a b c ブガッティ、最高出力1500psの「シロン」を日本に導入
- ^ Mat Watson (2020-10-2). 【マットVLOG】ブガッティ シロン ピュアスポーツ サーキット試乗!. YouTube. carwow 日本語.
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の日付が不正です。 (説明) - ^ “【スーパーカー年代記 092】ブガッティ シロンはヴェイロンの後継として500台限定生産される3億円カー - Webモーターマガジン”. web.motormagazine.co.jp. 2020年10月1日閲覧。
- ^ JUN. “ヒュンダイがブガッティ・シロンのデザイナー引き抜き。「ジェネシス」ブランドのチーフに任命 - Life in the FAST LANE.”. intensive911.com. 2020年10月1日閲覧。
- ^ ブガッティ・シロンの最高速は「タイヤ」に依存。まだまだ速度を出せるものの「耐えられるタイヤがない」
- ^ Bugatti (2020-10-2). BUGATTI Chiron breaks through magic 300mph barrier. YouTube (published 2019-9-2).
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、|publication-date=
の日付が不正です。 (説明) - ^ a b “490.48km/h、1,500馬力3億円のブガッティ・シロン!どんな人たちが買ってるの?”. car-me.jp. 2020年10月1日閲覧。
- ^ “ブガッティ シロン、最高速490.48km/hを計測…ハイパーカー初の300マイル/h超え[動画]”. レスポンス(Response.jp). 2020年10月1日閲覧。
- ^ “最高出力1500馬力級!?ブガッティ ヴェイロンの後継車”シロン”の正体とは”. car-me.jp. 2020年10月1日閲覧。
- ^ “【ジュネーブモーターショー2018】ブガッティから、ハイドリングをさらに磨き上げた「シロン・スポーツ」が登場!”. autoblog (2018年3月9日). 2018年12月7日閲覧。
- ^ “ブガッティの創業110周年を記念した限定車「シロン・スポーツ110 ans Bugatti」を発表!”. Idea Web Tools(2019年2月8日),2019年2月19日閲覧。閲覧。
- ^ a b “ブガッティ シロン に「ピュアスポーツ」、ハンドリング性能を追求…限定60台で価格300万ユーロ”. レスポンス(Response.jp). 2020年10月1日閲覧。
- ^ DIGITAL, AUTOCAR. “【3.5億円】ブガッティ・シロン・ピュアスポーツ、実車公開 60台限定”. AUTOCAR JAPAN. 2020年10月1日閲覧。
外部リンク
- Bugatti Chiron(英語)