ジョージ・ザンベラス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。訳由美子 (会話 | 投稿記録) による 2022年9月8日 (木) 06:57個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎外部リンク)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

サー・ジョージ・ザンベラス
Sir George Zambellas
第一海軍卿 サー・ジョージ・ザンベラス退役海軍大将
(制帽・飾緒(モール)を着用し、バス勲章も含め勲章を全て着けた正装。左腕の階級章の上に艦隊航空隊の紋章が付いており、航空部門の出身者であることが分かる。)
生誕 1958年4月4日
所属組織 王立海軍
軍歴 1980年-2016年
最終階級 海軍大将
テンプレートを表示

サー・ジョージ・マイケル・ザンペラス英語: Sir George Michael Zambellas, GCB, DSC英語版, ADC, DL, FRAeS1958年4月4日 - )[1] は、イギリス海軍の軍人(最終階級は大将)。イギリス海軍の制服組トップにあたる第一海軍卿(ファースト・シー・ロード)兼海軍参謀総長(Chief of the Naval Staff、CNS)を務めた。

海軍入隊後はヘリコプター操縦士として、第814艦隊航空隊英語版第829艦隊航空隊英語版及び第815艦隊航空隊英語版で任務に就いた経験を持つ。また、フリゲート艦チャタム英語版艦長としてシエラレオネ内戦への介入作戦(パリサー作戦、Operation Palliser)に参加し、その功績により2001年殊勲十字章(Distinguished Service Cross、DSC)を受章している。

その後、2012年1月に実働部隊の指揮・管理を束ねる艦隊司令長官(CINCFLEET)に任じられる。同年4月の組織改編で、艦隊司令長官職が第一海軍卿の下に一本化・廃止されるが、後継ポストとして新設された海軍参謀次長(Deputy Chief of the Naval Staff、DCNS)兼艦隊総司令官職に引き続き留任。翌2013年には、1月6日付で大将に昇任すると、4月にマーク・スタンホープ英語版大将の後任として第一海軍卿に就任した。2016年4月に退任・退役。

海軍入隊まで

ザンベラスはギリシャイギリス人で、マイケル・ジョージ・ザンベラスとローズマリー・フレデリーク・ザンベラス(旧姓リンゼイ)の子として生まれた。南ローデシア(現ジンバブエ)のシャバニ小学校、ストウスクール英語版を経てサウサンプトン大学に進学、同大学では航空宇宙工学を学んだ>[1][2]

軍歴

チャタムハウスで講演するザンベラス

1980年9月17日中尉見習い(acting sub-lieutenant)に任命された[3]1982年5月16日大尉に昇進し[4]、第814艦隊航空部隊、第829艦隊航空部隊、そして第815艦隊航空部隊で任務に就いた[1]

1990年にはグリニッジ旧海軍兵学校英語版で幕僚・参謀任務の訓練を受け[1]国防省内の海軍の兵力及び訓練担当部門にしばらく勤務した後、1991年掃海艇カティストック英語版の艇長となった[1]。その後陸上で、ノースウッド司令部で航空作戦担当士官として任務にあたった後、1994年6月30日中佐に昇進した[5]1995年には、フリゲートアーガイル英語版艦長となり、カリブ海不法麻薬貿易阻止英語版の作戦に配備・従事した[1]

カリブ海での任務の後は、1997年から1998年にかけて、トニー・ブレア政権の下で策定された戦略的防衛見直し英語版の共同計画者として軍側から参加[1]。その後1999年には、フリゲート艦(22型フリゲート)チャタムの艦長として海上勤務に戻ると、デイヴィッド・リチャーズ英語版陸軍准将[6] が率いたシエラレオネ内戦への介入作戦英語版(パリサー作戦)に参加し、この功績により2001年に殊勲十字章を受章した[7][8]。同じ年、シュリヴェンハム防衛アカデミー英語版で高級指揮幕僚コース(: HCSC)を受講後、各艦艇を実戦配備に就ける際に重要な作戦行動訓練「フラッグ・オフィサー・シー・トレーニング英語版」(FOST)の担当副官に就任し、特にイギリス海軍と外国海軍の軍艦、そして補助艦艇の訓練を行う上での責任者となった[1]

2002年には准将(コモドー)に昇進し、イギリス軍の制服組トップである国防参謀総長(CDS)付の首席参謀となる。ボイス男爵マイケル・ボイス海軍大将(2001年 - 2003年)とマイケル・ウォーカー英語版陸軍大将(2003年 - 2006年)の2人のCDSの下、2003年イラク戦争時に任務に就いた。2005年1月に異動となり、海軍の水陸両用任務グループの指揮官に任ぜられた[1]

アメリカ国防大学英語版アメリカ海軍ジョナサン・グリーナート海軍作戦部長(右)と言葉を交わすザンベラス。

2006年8月29日には少将に昇進し[9]NATO変革連合軍(ACT)の参謀長に補職された[1]。ACT参謀長在職中は、「艦隊の戦闘能力と作戦支援能力に対する次世代のアプローチを立案し、かつ実行する」ことが主任務となった[10]。翌2007年には、海上部隊全体の指揮を統括する海上部隊司令官英語版となり、2008年10月には、ノースウッドにある常設統合司令部の作戦担当参謀長となった[1]

2011年1月に中将に昇進し、艦隊副司令長官英語版海軍司令本部英語版の参謀長、そして海軍首席戦闘士官(Chief Naval Warfare Officer)に任命された[11]2012年1月には艦隊司令長官となり、2013年1月6日に海軍大将に昇任する[12]2012年の4月には、それまでの司令長官職に代わって新設された艦隊総司令官英語版に再び任命され、及び海軍副参謀総長にも任命された[13]

2012年のバースデー・オナーズで二等バス勲章(ナイト・コマンダー)を授与された[14]2013年4月9日には、マーク・スタンホープ大将の後任として第一海軍卿に就任し、兼ねて海軍参謀総長となった[15]艦隊航空隊出身(航空分野出身)の第一海軍卿は、1995年に退任・退役したベンジャミン・バサースト英語版海軍元帥以来、18年ぶりの誕生であった。2016年新年叙勲英語版でバス勲章ナイト・グランド・クロスとなる。4月13日ウィンザー城で挙行された叙勲式にアンドルー・パルフォード英語版空軍大将と共に出席。同年4月、サー・フィリップ・ジョーンズ大将に後任を譲って退役。

トリニティ・ハウスのヤンガー・ブラザー(下位組合員)でもある[1]

2013年12月に来日し、12月2日防衛省防衛大臣小野寺五典と会談を行った。この時に中国防空識別圏についても触れ、小野寺が国際社会の対話の中で解決すべきとしたのに同意し、支持する考えを示した[16]

家族

1982年にアマンダ・ジェーン・レカデネックと結婚し、3人の息子がいる[1]

褒賞

2009年3月、王立航空協会 (RAeS)のフェローに選ばれた[17]。2013年9月にはドーセット副統監に任命された[18]

バス勲章 (ナイト・グランド・クロス) 2015年12月31日[19]
バス勲章 (ナイト・コマンダー) 2012年6月12日[14]
殊勲十字章 2001年4月6日[7]
シエラレオネ従軍記章英語版
エリザベス2世女王在位50年記念勲章英語版 2002年
エリザベス2世女王在位60年記念勲章英語版 2012年

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m Who's Who 2010, A & C Black, 2010, ISBN 978-1-408-11414-8
  2. ^ UK ambassador in Athens: "Our First Sea Lord, Admiral Zambellas is himself of Greek descent."
  3. ^ "No. 49251". The London Gazette (Supplement) (英語). 1 February 1983. p. 1500. 2013年1月27日閲覧
  4. ^ "No. 48976". The London Gazette (Supplement) (英語). 11 May 1982. p. 6288. 2013年1月27日閲覧
  5. ^ "No. 53724". The London Gazette (Supplement) (英語). 5 July 1994. p. 9603. 2013年1月27日閲覧
  6. ^ 後に、アフガニスタンでの多国籍軍指揮などを経て、イギリス陸軍参謀総長や、国防参謀総長などを歴任。
  7. ^ a b "No. 56168". The London Gazette (Supplement) (英語). 6 April 2001. p. 4246. 2013年1月27日閲覧
  8. ^ No medal for SAS man killed in hostage rescue”. The Telegraph (2001年4月6日). 2013年1月27日閲覧。
  9. ^ "No. 58095". The London Gazette (Supplement) (英語). 12 September 2006. p. 12407. 2013年1月27日閲覧
  10. ^ Making a change”. Defence Management Journal, Issue 37. 2013年1月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年1月27日閲覧。
  11. ^ Service Appointments October 2010”. Defence Viewpoints (2010年11月2日). 2013年1月27日閲覧。
  12. ^ "No. 60025". The London Gazette (Supplement) (英語). 10 January 2012. p. 285. 2013年1月27日閲覧
  13. ^ Navy Board”. Royal Navy. 2012年1月27日閲覧。
  14. ^ a b "No. 60173". The London Gazette (Supplement) (英語). 16 June 2012. p. 2. 2013年1月27日閲覧
  15. ^ Admiral Zambellas new First Sea Lord”. Inside Government (2013年4月9日). 2013年4月9日閲覧。
  16. ^ 防衛相、英海軍参謀長と会談 - MSN産経ニュース 2013年12月2日
  17. ^ ZAMBELLAS, Adm. Sir George (Michael)”. Who's Who 2015. A & C Black (2014年11月). 2015年4月4日閲覧。
  18. ^ "No. 60644". The London Gazette (英語). 1 October 2013. p. 19290. 2015年4月4日閲覧
  19. ^ New Year Honours 2016 for service personnel and defence civilians”. GOV.UK. Ministry of Defence (2015年12月31日). 2016年1月2日閲覧。

外部リンク

軍職
先代
ニール・モリセッティ英語版
イギリス海上部隊司令官英語版
2007年 - 2008年
次代
フィリップ・ジョーンズ英語版
先代
リチャード・イボットソン英語版
イギリス海軍艦隊副司令長官英語版
2011年
次代
フィリップ・ジョーンズ
先代
トレヴァー・ソアー英語版
イギリス海軍艦隊司令長官英語版
2012年1月 - 4月
次代
廃止
新設官職 イギリス海軍艦隊総司令官英語版
2012年春 - 11月
次代
サー・フィリップ・ジョーンズ
先代
サー・マーク・スタンホープ英語版
第一海軍卿
2013年2016年
次代
サー・フィリップ・ジョーンズ

関連項目