バス勲章

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
バス騎士団のマント(文民用)

バス勲章 (Order of the Bath) はイギリスの騎士団勲章 (Order) のひとつ。正式タイトルは「The Most Honourable Military Order of the Bath(最も名誉あるバス軍事勲章)」。1725年に現在のような勲章となった。綬の色からレッドリボンとも呼ばれている。

ヨーロッパの”Order”は中世の騎士団に由来、あるいはその制度に倣った栄典制度であり、騎士団へ入団することが栄誉とされていた。やがて騎士団の団員証である勲章も意味するようになり、その授与が栄典と見なされるようになった。このような勲章は他の種類の勲章(decoration等)と区別するために”騎士団勲章” とも表記される[1][2]"Order of the Bath" の場合は、休眠状態だった世俗騎士団の名称を受継いだ勲章騎士団である[3]


歴史[編集]

バス騎士団の正装(19世紀)

バス騎士団は1399年に行われたヘンリー4世の戴冠式に際して創設された[4]。名称はかつて騎士の叙任式に清めの入浴(bath=風呂)を行ったことに由来する[5]。当時は団員証(勲章)が制定されておらず、ナイトの称号のみが与えられる栄典だった[6]。但し、チャールズ2世の戴冠式(1661年)の際に75個の徽章が作成されたとされている[7]。この戴冠式の後、騎士団員への叙任が行われなくなり、実体のない騎士団となっていたが、1725年ジョージ1世によってその名を冠した勲章が制定された。当初はナイト・コンパニオンの単一等級であった。受章者は軍人が圧倒的に多かったが、1815年に3等級とされると共に文民用と軍人用に分けられて、それらのデザインも異なるものとなった。制度改正時にナイト・コンパニオンであった者はナイト・グランド・クロスへ叙された[8]。これにより、文官にも多少の叙勲枠が確保された。このように、軍人や高級官僚用の勲章であるため、1971年まで女王以外の女性に授与されることはなかった。[9][10][11]


概要[編集]

ナイト・グランド・クロス章を着用した陸軍将官。
バス勲章ナイト・コマンダー章を着用した空軍将官

現在の階級は3等級となっており、1等は男性がナイト・グランド・クロス (Knight Grand Cross)で女性はデーム・グランド・クロス (Dame Grand Cross)、2等は男性がナイト・コマンダー (Knight Commander)で女性はデーム・コマンダー (Dame Commander) 、3等はコンパニオン (Companion) である。上位2等級の受章者にはナイトの爵位が与えられ、ナイト・グランド・クロス及びデーム・グランド・クロスにはGCB、ナイト・コマンダーはKCB、デーム・コマンダーはDCB、コンパニオンはCBのポスト・ノミナル・レターズの使用が許される。騎士団の定員は、ナイト・グランド・クロス/デーム・グランド・クロスが120名、ナイト・コマンダー/デーム・コマンダーは295名、コンパニオンは1,455名と定められている[12]

軍人用は高級将校、文民用は高級官僚が主な授与対象であり、重要な役職を務めた功績に対して与えられる[13]。外国人に対しては、共和国の大統領等政府首脳級の政治家にナイト・グランド・クロスが贈られる[14]

日本人では伊藤博文が最初に受章し、その後は乃木希典1912年)、桂太郎竹下勇らが受章している[15]


脚注[編集]

  1. ^ 小川 P 147
  2. ^ 毎日新聞社
  3. ^ 君塚 P 253
  4. ^ 君塚 P 253
  5. ^ 英王室公式サイト
  6. ^ 君塚 P 253
  7. ^ 英王室公式サイト
  8. ^ London Gazette: no. 16972, pp. 17–18, 1815年1月4日. 2013年2月14日閲覧。
  9. ^ 君塚 P 253-258
  10. ^ 英王室公式サイト
  11. ^ 小川 P 92
  12. ^ 英王室公式サイト
  13. ^ 小川 第4章
  14. ^ 君塚 P 255
  15. ^ 君塚 P 255

参考資料[編集]

書籍等[編集]

  • 小川賢治 『勲章の社会学』 晃洋書房、2009年3月ISBN 978-4-7710-2039-9
  • 君塚直隆 『女王陛下のブルーリボン-ガーター勲章とイギリス外交-』 NTT出版、2004年ISBN 4757140738
  • 総理府賞勲局監修 『勲章』 毎日新聞社、1976年(昭和51年)。
  • London Gazette: no. 56878. 14 March 2003. Supplement No.1.

外部リンク[編集]

関連項目[編集]