シグマ型コルベット
シグマ型コルベット | ||
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「スルターン・イスカンダル・ムダ」 | ||
艦級概観 | ||
建造者 | オランダ ロイヤル・シェルデ造船所 | |
運用者 | インドネシア海軍 モロッコ海軍 |
シグマ型コルベット (Sigma class corvette) は、オランダが開発したコルベット/軽フリゲート。21世紀初頭より輸出市場に投入され、既にインドネシア、モロッコが導入、ベトナムも4隻の導入に向け、交渉しているとされている[1]。
設計
シグマ型は、オランダのロイヤル・シェルデ 造船所が、主として輸出向けに開発したコルベット/軽フリゲートである。シグマ(SIGMA)とは、Ship Integrated Geometrical Modularity Approachの略であるとされており、その名のとおり、高度なモジュラー化設計を導入している。また、造船所の呼称によるタイプ・ナンバーは、全長と全幅がそのまま使われており、例えば全長91メートル、全幅13メートルのディポネゴロ級は9113型と呼ばれている。
船型としては長船首楼型を導入しており、艦首から艦尾まで長大なナックルを設けている。船体には高度なステルス化設計が導入されている。機関としてはディーゼルエンジンが採用されており、煙突2本が並列に配置されている。また、船首楼後方の後甲板は飛行甲板となっており、大型の9813型では、船首楼後部に格納庫を設けている。一方、小型のディポネゴロ級 (9113型) は格納庫を持たないが、必要に応じて露天係止して運用できるよう、飛行甲板は確保されている。
装備
現在までに発注されたシグマ型は、いずれも、同国製のTACTICOSを中核として、双方向の戦術データ・リンクを備えた戦闘情報システムを構築している。武装に関しては、小型のディポネゴロ級 (9113型)は比較的軽装備であり、艦対艦ミサイルは4発のみ、個艦防空ミサイルは携行地対空ミサイルを艦載化した簡易型で、捜索レーダーも、低空警戒/対水上兼用のMW-08のみとなっている。一方、モロッコ海軍向けの9813型は、2,100トンとより大型であることから重装備となっており、VL MICA NAVAL個艦防空ミサイルのVLSと、中型の哨戒ヘリコプターを搭載することが計画されている。また、いずれの型も、自艦装備の対潜兵装として、タレス UMS4132 キングクリップ船底装備ソナーとB515 3連装短魚雷発射管を搭載しており、短魚雷としては、典型的な輸出用魚雷であるA.244/S、または新型のMU90 インパクトを使用する。
諸元表
9113型 | 9813型 | 10513型 | 10514型 | |
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満載 排水量 |
1,692 t | 2,075 t | 2,335 t | 2,400 t |
全長 | 90.7メートル (298 ft) | 97.91メートル (321.2 ft) | 105.11メートル (344.8 ft) | 105.14メートル (344.9 ft) |
全幅 | 13.02メートル (42.7 ft) | |||
吃水 | 3.6メートル (12 ft) | 3.75メートル (12.3 ft) | ||
機関 | SEMT ピルスティク 20PA6Bディーゼルエンジン×2基 (合計出力 22,000bhp) | |||
スクリュープロペラ×2軸 | ||||
最大速力 | 28ノット (52 km/h) | 30ノット (56 km/h) | ||
巡航速力 | 18ノット (33 km/h) | |||
航続距離 | 4,000海里 (7,400 km) / 18ノット (33 km/h) | |||
兵装 | 76mm 単装速射砲×1基 | |||
デネル・ベクターG12 20mm単装機銃×4基 |
20mm単装機銃×2基 | |||
マトラ・テトラル 4連装近SAM発射機×2基 |
VL-MICA短SAM VLS×12セル | |||
エグゾセMM40ブロック2 SSM連装発射筒×2基 | ||||
B515 3連装短魚雷発射管×2基 | ||||
艦載機 | ヘリコプター甲板のみ | ヘリコプター×1機 | ||
C4I | TACTICOS戦術情報処理装置+リンク Y | |||
レーダー | MW-08 低空警戒/対水上 | SMART-S Mk.2 3次元 | ||
スペリー ブリッジマスターE 航法レーダー | ||||
ソナー | キングクリップ 船底装備式 | |||
電子戦 | タレスDR-3000 電波探知装置 | タレス・ヴィジル電波探知装置 | n/a | |
ラカル・スコーピオン 電波妨害装置 | ||||
DLT-12T デコイ発射機 | SKWS デコイ発射機 |
同型艦
就役先 | タイプ | # | 艦名 | 起工 | 進水 | 就役 |
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インドネシア海軍 | 9113型 | 365 | ディポネゴロ KRI Diponegoro |
2005年 3月24日 |
2006年 9月16日 |
2007年 7月 5日 |
366 | ハサヌディン KRI Hasanuddin |
2005年 3月24日 |
2006年 9月16日 |
2007年 11月24日 | ||
367 | スルターン・イスカンダル・ムダ KRI Sultan Iskandar Muda |
2006年 5月 8日 |
2007年 11月24日 |
2008年 10月18日 | ||
368 | フランス・カイシエイポ KRI Frans Kaisiepo |
2006年 5月 8日 |
2008年 6月28日 |
2009年 3月 7日 | ||
10514型 | 未定 | |||||
モロッコ海軍 | 10513型 | 613 | ターリク・ベン=ズィヤード Tarik Ben Ziyad |
2009年 4月15日 |
2010年 8月 |
2011年 8月 |
9813型 | 614 | スルターン・ムーラーイ・イスマーイール Sultan Moulay Ismail |
2009年 3月 |
2011年 3月 |
2012年 5月 | |
615 | アラル・ベン・アブダラー Allal Ben Abdellah |
2009年 9月 |
2011年 10月 |
2012年 9月 |
出典・参考文献
- ^ “Vietnam Negotiate Buying four Sigma Corvettes from the Netherlands”. Defence Update (2011年10月23日). 2011年11月2日閲覧。
- 岡部いさく「再び甦るコルベット 見直される存在意義」『世界の艦船』第698集、海人社、2008年11月、76-81頁。
- 編集部「新型コルベットの技術」『世界の艦船』第698集、海人社、2008年11月、82-87頁。
- 福好昌治「コルベット輸出市場を概観する」『世界の艦船』第698集、海人社、2008年11月、88-91頁。
- Royal Schelde (2004年). “Schelde Naval Patrol Series” (JPG) (英語). 2009年9月3日閲覧。
- Joris Janssen Lok/Defense Technology International (2009年). “Schelde Sees Bright Future for Sigma Modular Ship” (HTML) (英語). 2009年9月3日閲覧。
関連項目
- MEKO型フリゲート - ドイツのブローム・ウント・フォスが設計した輸出用フリゲート。艦体にもいくつかの派生形があるほか、兵装がユニット化されている。
- FS-1500型フリゲート - ドイツのブローム・ウント・フォスとホヴァルツヴェルケが設計した輸出用軽フリゲート/コルベット。モジュール設計を導入しており、本型とほぼ同大である。