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サロメ (戯曲)

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オーブリー・ビアズリーによるイラストレーション(1894)

サロメ』(Salomé)は、オスカー・ワイルド戯曲新約聖書を元にした内容。フランス語で書かれ、1891年パリで出版された。オーブリー・ビアズリーの挿画が使用されている。英訳したのは、ワイルドの同性愛の相手であるアルフレッド・ダグラス。内容の背徳性から、しばらく上演できなかった。

女優サラ・ベルナールのために書かれたと噂されるが、ワイルド自身はこれを否定している。

日本で最初にこの戯曲でサロメ役を演じたのは松井須磨子である。1914年(大正3年)、島村抱月芸術座による上演だった。

あらすじ

ファイル:MaudeAllanSalomeHead.jpg
モード・アラン演じるサロメ(1906-1910頃)

ユダヤの王エロドは、自分の兄である前王を殺しを奪い今の座に就いた。妃の娘である王女サロメに魅せられて、いやらしい目を彼女に向ける。その視線に堪えられなくなったサロメは、宴の席をはずれて、預言者ヨカナーン(洗礼者ヨハネ)が閉じ込められている井戸に向かう。預言者は不吉な言葉を喚き散らして、妃から嫌がられている。預言者との接触は王により禁じられているのだが、サロメは色仕掛けで見張り番であるシリアの青年に禁を破らせて、預言者を見てしまう。そして彼に恋をするのだが、預言者のほうは彼女の忌まわしい生い立ちをなじるばかりである。そして事態は思わぬ方向へ向かう。

日本語訳

『サロメ』を初めて日本語に翻訳したのは森鴎外で、以降これまでに日夏耿之介佐々木直次郎楠山正雄若月紫蘭、そして内藤濯ら多くの翻訳者によって日本語に訳されてきた。

現在は岩波文庫福田恆存訳や、新潮文庫西村孝次訳が有名であり、また新訳として光文社古典新訳文庫平野啓一郎訳がある。

また、日夏耿之介の「院曲撒羅米」(蘭台山房、1938)は、現在沖積舎より「院曲サロメ」として刊行されている。

  • 福田恒存 訳『サロメ 改版』岩波書店〈岩波文庫〉。 
  • 西村孝次 訳『サロメ・ウィンダミア卿夫人の扇 改版』新潮社〈新潮文庫〉。 
  • 平野啓一郎 訳『サロメ』光文社〈光文社古典新訳文庫〉。 
  • 日夏耿之介 訳『院曲 サロメ』沖積舎。 

参考書籍

映画

関連項目

外部リンク