エーディーケイ

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株式会社エーデイーケイ
ADK
種類 株式会社
略称 ADK
本社所在地 日本
362-0034
埼玉県上尾市愛宕3丁目
設立 1980年7月
(アルファ電子株式会社として設立)
法人番号 4030001041227 ウィキデータを編集
事業内容 コンピュータゲームソフトの制作・販売
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株式会社エーディーケイ (ADK) は、かつて存在していた日本コンピュータゲーム制作・販売会社である。登記簿上の商号は株式会社エーデイーケイ[1]。旧社名はアルファ電子株式会社(アルファでんし)乃至アルファ電子工業株式会社(アルファでんしこうぎょう)である。

概要

1980年7月に設立。当時のオフィスは埼玉県浦和市(現:さいたま市浦和区)のマンションの一室。アーケードゲームの開発、発売を主に行っていた他、埼玉県アミューズメント施設営業者協会(AOU構成団体)の事務局を本社内に置いていた。

設立当初はテレビゲームとは無縁の、トランシーバーなどの通信機器とスピーカーの部品などの音響パーツを扱うメーカーだった。しかし三立技研が販売を担当した『ジャンピューター』の成功をきっかけに黎明期を迎えた日本のアーケードゲーム業界に本格参入。元々、自己資本の乏しいメーカーだったため、クラール電子やコアランドテクノロジー(後のバンプレスト)といったメーカーから開発資金を調達し、それらのメーカーを通して「クラッシュローラー」、「ジャンプバグ」などのスマッシュヒット作をリリースしていた。またテーカンが販売した「将棋」シリーズの開発では「ジャンピューター」の麻雀に次いで、アーケードゲームで将棋というジャンルを確立することに成功した。

やがて自己資金で開発できる環境が整うと、本社を埼玉県上尾市へ移転。セガ(後のセガ・インタラクティブ並びにセガゲームス)販売の『チャンピオンベースボール』から始まり、『エキサイティングサッカー』などの作品をリリースし、中堅メーカーながらも参入当初から見せるその技術力の高さをアピールした。特にそれまでドットイートゲームやシューティングゲームが中心だった日本のゲーム界のジャンルを広げ、日本のビデオゲームにおける、麻雀や将棋をはじめとするテーブルゲームの確立に貢献した。

1993年1月に社名をエーディーケイ (ADK) へと変更。また、社名を変更する前に、自社開発のソフトの販売等で関係のあったSNKと『Multi Video System』を共同開発した。その際、ADK自身も業務提携しゲームソフト開発を筆頭サードパーティーとして協力して行った。そこで取り交わした契約上、ネオジオ以外の他機種向けのゲーム開発は禁止されていた。しかし、表向きには“関連企業”としていた「未来ソフト」という別ブランドで、他機種向けの作品を開発・販売していた。ネオジオゲームの市場は、主に海外だった為、当時の円高でADKの業績は悪化していった。SNKも行きすぎた多角経営と主力としていた対戦型格闘ゲームの退潮で経営が悪化、SNKは2001年に倒産した。

業績低下が止まらず、社員を削減していった結果、2000年ごろにはわずか10人余りとなってしまった。新規に携帯電話コンテンツやLCDゲーム事業を始めるが、これも上手く行かず2003年ごろに事業停止。その後、旧SNKとの関係が深かったためかビデオゲーム等の版権は関連会社のSNKプレイモアが引き継いだ。またこの倒産を期に、広告代理店アサツー ディ・ケイが、正式に「ADK」の略称を使うようになった。

沿革

1980年
7月1日アルファ電子株式会社として設立。主にアーケードゲームの開発・販売を務める。
1981年
3月、業界初の麻雀ゲーム『ジャンピューター』をリリース。
1983年
4月15日付けで販売・企画部門を分社化する。開発・製造部門を持つ旧社をアルファ電子工業株式会社(本社北本市)に社名変更、新会社をアルファ電子株式会社(本社上尾市)とする。
1984年
3月20日上尾市内に新事務所ビル完成し、開発・販売部門を持つアルファ電子株式会社を移転させる。4月1日業務開始。[2]
1990年
Multi Video System回路設計を担当。
1993年
 1月、社名を株式会社エーディーケイに改称(法人格としてはアルファ電子工業株式会社(本社上尾市)が社名変更した[3])。ユーザー向けにはADKを主に使用。
1999年
携帯電話向けコンテンツ事業開始。
2003年
事業停止。版権等はSNKプレイモアに引き継がれる。

作品

「アルファ電子」及び「ADK」として

1980年
  • ドラちゃん (クラール電子発売) - 『ドラえもん』のキャラクターとBGMを無断使用したドットイートゲーム。小学館より訴えられ、回収。基板に書かれた元タイトルは「LOVE ATTACK」。敵キャラクターのデータは後の『コロスケローラー』に流用された。
1981年
1982年
  • 将棋(テーカン発売) - 日本将棋連盟のサロンにも置かれた。
  • 将棋パートⅡ(テーカン発売) - 難易度が上がったバージョンアップ版。
  • タルボット - 正式に市場に流通したのは、タイトルに「PART II」が付くバージョン(PART Iはロケテストのみの出荷)。タイトル画面のクレジットには発売元と思わしき「VOLT ELECTRONICS」の社名表記があるが、詳細は不明。
1983年
  • チャンピオンベースボール(セガ〈後のセガ・インタラクティブ並びにセガゲームス〉発売) - 選手データは1982年度のものを使用。
  • チャンピオンベースボール2(セガ〈後のセガ・インタラクティブ並びにセガゲームス〉発売) - 前作のチームデータを1983年度版に入れ替え、2P対戦モードを追加したバージョンアップ版。
  • エキサイティングサッカー
1984年
  • エクイテス(セガ〈後のセガ・インタラクティブ〉発売) - ロボットを操るSFシューティングゲーム
  • ブルファイター(セガ〈後のセガ・インタラクティブ〉発売) - アイスホッケーゲーム。
  • エキサイティングサッカーⅡ
1985年
  • スプレンダーブラスト - 3D視点のSFレースゲーム。
  • ハイボルテージ - 3D視点のSFシューティングゲーム。
  • ザ・高校野球 - 全国の都道府県からチームを選択でき、初期設定は埼玉県代表上尾高校となっている。上尾はADKの所在地で、実在の上尾高校も70~80年代にかけての甲子園常連校だった。
  • パーフェクトジャンピューター - 4人打ちの麻雀ゲーム。
1986年
  • スーパースティングレイ(セガ〈後のセガ・インタラクティブ〉発売) - 『T・A・N・K』を思わせる戦車戦シューティングゲーム。
  • カイロスの館
1987年
  • バトルフィールド(SNK発売) - ループレバーを使用するなど『怒 IKARI』を思わせる戦争アクションゲーム。
1988年
  • スカイソルジャー(SNK発売) - ウェポン選択が可能な縦スクロールシューティングゲーム。
1989年
  • スカイアドベンチャー(SNK発売) - 『スカイソルジャー』の続編。
  • ギャングウォーズ(SNK発売)
  • スーパーチャンピオンベースボール(SNK発売) - 「帰ってきたチャンピオンベースボール」と表記し、「スーパーチャンピオンベースボール」と読む。
1990年
  • マジシャンロード(SNK発売) - ファンタジーアクションシューティング。
  • ニンジャコンバット(SNK発売) - 忍者が主人公のアクションシューティング格闘。ボスキャラクターの中には倒すと以後ステージ開始時に選んで使えるものも存在する。
1991年
  • ラギ(SNK発売)
  • クロスソード(SNK発売、ネオジオCD版は『クロススウォード』) - 3D視点のファンタジーアクション。
  • スラッシュラリー(SNK発売、ネオジオCD版は『ラリーチェイス』) - 2Dのラリーレーシングゲーム。
1992年
  • ニンジャコマンドー(SNK発売) - 忍者が主人公の縦スクロールアクションシューティング。コマンド必殺技が存在し、特に爆烈究極拳の入力が「上、左下、右下、左上、右上、下、攻撃ボタン」の順という複雑なものだった。
  • ワールドヒーローズ(SNK発売) - 歴史上の人物を題材にした対戦型格闘ゲーム。プレイヤーキャラクターに忍者がいる。
1993年
  • ワールドヒーローズ2(SNK発売)
1994年
  • 痛快GANGAN行進曲(SNK発売) - 不良を主人公にした対戦型格闘ゲーム。多くの対戦格闘と異なり、奥行き方向の移動が可能。『ワールドヒーローズ』シリーズに登場の忍者「フウマ」が登場している。
  • ワールドヒーローズ2JET(SNK発売)
1995年
  • 将棋の達人(SNK発売)
  • ワールドヒーローズパーフェクト(SNK発売)
1996年
1998年

「未来ソフト」として

1997年

倒産後

倒産後しばらくはADK作品を基にした新作や続編は出てこなかった。しかし2005年、『ティンクルスタースプライツ』の続編『ティンクルスタースプライツ〜La Petite Princesse〜』が現在の版権元であるSNKプレイモアより発売された。さらに同年、『ネオジオバトルコロシアム』に、ADK作品からも数キャラほどプレイヤーキャラクターとして登場した。

それ以降、SNK時代に作られたシリーズ化されている作品を除くSNKプレイモア純正作品などに、ADKのキャラクターがたまに登場している。

2008年12月18日には、『ニンジャマスターズ〜覇王忍法帖〜』、『ニンジャコンバット』、『ニンジャコマンドー』、『痛快GANGAN行進曲』、『ティンクルスタースプライツ』のADK作品5本を収録したPlayStation 2用ソフト『ADK魂』がSNKプレイモアより発売された。

なお、「ネオジオ」以前の作品に関しては、2011年発売の「SNKアーケードクラシックスゼロ」に「スーパーチャンピオンベースボール」が移植されたのが唯一となっている。

関連項目

脚注

  1. ^ 「デ」の次の「イ」が大文字。2014年9月19日閲覧。会社法人等番号は0300-01-041227。
  2. ^ 「ゲームマシン」1984年5月15日号9面
  3. ^ 「ゲームマシン」1993年5月1日号7面

外部リンク

  • ADK魂(SNKプレイモア)
  • ADK HEROES 同社の社員が知り合いというファンが作った、非公式のADK紹介サイト。