エチオピアの経済

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エチオピアの経済では、エチオピアの経済状況について述べる。

概要

農業がエチオピア経済の基盤で、GDPの46%、輸出の60%、雇用の79%を占める[1]。エチオピアはアフリカでも特異な国として民間ビジネスがあまり発達していない[2]。また、主要な企業はほとんど国が管理してきた。しかし、2018年6月に当時の与党が株式の一部、またはすべての株式を民間に譲渡することを発表した[3]。外国銀行は認可されておらず、中小企業は事業開始の融資を受けるのが不可能である。若年層非雇用率は70%に達すると推定される。人口増加のため、現状維持するにしても毎年何十万という就職口が必要である。さらに、憲法では国家と人民に所属するものとして土地保有が認められているが、市民にとってリースのみ(最長99年間)で、抵当や売却、保有は不可能である。土地の完全民有化を推すグループ・政党と共同所有を好む政党が対立している。現政権は国有企業民営化と規制緩和など経済改革に乗り出しており、歩みは遅いが、外資を惹きつけ始めた。このような改善があるもののエチオピアは人口爆発のために依然として世界最貧国の一つである。

産業

農業

エチオピア農業は周期的な旱魃、過放牧による土壌劣化、森林破壊、高人口密度、高い税金、貧弱な産業基盤に悩まされており、産品を市場で入手するのは困難で高額である。穀物自給と家畜、穀物、野菜、果物の輸出には可能性があるが、毎年460万人に食糧支援が必要。

最低生活品しか産せず、輸出商品の大部分は小規模な換金作物に頼っている。主要作物はコーヒー、豆類、種子油、穀物テフソルガムなど)、ジャガイモサトウキビ野菜である。コーヒーは最大の外国為替収入源である。エチオピアはアフリカ第二のトウモロコシ生産国である。家畜の頭数はアフリカ最多で1987年統計でGDPの15%に達する。

工業、製造業

経済全体の4%を占める。最近少し成長し、多様化してきた。大部分がアディスアベバに集中している。食品と飲料が40%で、繊維と皮革も特に輸出市場で重要。90年代後半から国営企業の民営化が進められている。

サービス業

卸、小売、運輸、通信を除き、サービス業のほとんどが観光に依存している。60年代に発達したが、70年代後半から80年代の軍事政権下で衰退した。90年代に復活したが、ホテルなどインフラ未整備のため成長は限られた。中小ホテルの建築ブームがあったが、旱魃、エリトリアとの戦争、テロの恐怖があった。2002年には15万6千人の観光客が入国したが、大部分が海外のエチオピア人で、77百万ドルを消費した。

資源

エチオピアは資源が少なく[4]、森林が伐採されてきた。

鉱業、鉱物

非常に小規模である。石炭宝石カオリン粘土鉄鉱石ソーダ灰タンタルなどの鉱床があるが、ある程度採掘されているのは金だけである。2001年の金産出は3.4トン。

エネルギー

水と森林以外にエネルギー資源には恵まれていない。電力需要の90%が水力発電で、農業ともに豊富な雨量に依存している。発電能力は650メガワットで、1,330メガワットへの増強を計画。半分以下の都市しか国家電力網につながっていない。南西部低地にある推定4兆立方ftの天然ガスが開発されようとしている。石油需要は精製品の輸入で賄われており、その8割はスーダンから陸路輸送されている[5]。 。スーダン国境に近いガンベラ地域でガスと石油の探鉱がされている。一般にエチオピアではエネルギーと建設の需要をほとんど森林に依存するため、その結果、この30年間に多くの高地森林が破壊されてしまったと言える。

民営化

国有資産が民営化として部分的、または全部の株式を民間の企業に譲渡している[3]通信事業は国家独占であるが、こちらでも部分的に民営化にするのが発表されている。また、新たに民間企業の参入を認めて、競争も促そうとしている。しかし、航空事業については政府、民間から批判が相次ぎ民営化は予定されていない[3]

債務

債務はほぼ中国からのものが大半であるが、エチオピアはその債務の返済に苦しんでいる。債務は、エチオピアのGDPの59%に及ぶ[4]

出典

脚注