アイテム課金

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アイテム課金(アイテムかきん)とは、主にオンラインゲームブラウザゲーム携帯電話ゲームなどで導入されているシステムで、ユーザーにゲーム内で利用できるアイテムを販売する課金制度。

アイテム課金という名称は、アイテム課金ゲームの大半は基本料金について無料の設定、すなわち月ごとに定額料金を払わずに済み、ゲーム内アイテム購入代金だけ払うというシステムに起因するものである。

概要

アイテム課金は、2001年に韓国において、急激に増えるユーザーの離脱を防ぐために始まったのが最初である。当初はカジュアルゲームと呼ばれる、経済力の低い学生が対象のゲームにおいて採用されたが、それらが成功を収めるのを見たMMORPGをサービスする企業も、自社のコンテンツを定額制からアイテム課金制へと変え始め、今日のような状況が生まれた[1]

基本的にリアルマネー(現金電子マネー)、またはプリペイドカードなどでポイントを購入し、ゲームで使用できる「仮想通貨」としてアイテムあるいは後述するアイテムくじを購入する。

販売されるアイテムは、ゲーム内の狩りやクエストで入手できるものより性能が高いアイテム、ゲーム内では入手の困難(もしくは不可能)なレアアイテム、キャラクターの服装や髪型など見た目を変えるアバター関連アイテム(ファッションアイテム)、経験値獲得効率アップ、ブラウザゲームやソーシャルゲームにおける待ち時間短縮をはじめとした利便性を向上させるアイテムなどがある。アイテムに利用期間(使用開始日から1週間・1ヶ月など)が設定されているケースや、アイテムの販売期間が限定されているもの、さらには販売終了後に再発売を行わないことをうたって希少感を高めているケースもある。

アイテム課金ゲームの多くは基本料金が無料という触れ込みで運営されているが、定額課金制とアイテム課金による従量制度の両方を組みあわせたハイブリッド課金と呼ばれる形態のゲームも存在する。

問題点

基本料金無料による問題

  • 広告(特にテレビCM)において、「無料」という語の使用に対する規制や条件がほとんどない(法的規制の)不備をつき、安易に「(基本料金が)無料」のみが目立つよう強調(表示)し、「有料のコンテンツがある」ことについての警告は目立たないよう(短時間で消えるよう)ごく小さな字で表示する(事実上は有料のコンテンツの方が多いが、ほとんど宣伝されない)。
  • 「無料」に気を引かれて有料のアイテムやコンテンツの存在を知らないままプレイした結果、知らないうちに数万円もの料金が上乗せされる形で請求される。[2]
  • 有料アイテムの金額では、通貨単位日本円を使わず、「(アイテム)○○ポイント」のような馴染みない表示となるため、「リアルマネー」もしくはリアルマネーで購入させた「プリペイドカード」や「電子マネー」でポイントを購入するか「ゲーム内の仮想通貨[3]」で購入するか、のどちらになるのか判断しにくい物もあり、ポイントで買わせるため、そのアイテムがリアルマネーでいったいいくらの商品なのかわかり難いようになっている。[要出典]
    • この判断のしにくさが、後々に料金面におけるトラブルの原因となる。[要出典]
  • 携帯電話ゲームの場合、高額のパケット通信料も請求されるため、ユーザーのパケット定額制への加入が暗黙の前提条件となっている。[要出典]
  • 実際に課金アイテムに支払える資金力の差が、プレイヤー間の有利性の差にほぼそのまま直結するゲームもある。[要出典]
  • 「無料」としながらも、課金しないと内容を実質的に楽しめないゲームもあり、さじ加減を誤るとそれだけユーザー数が減少する事に直結し、運営会社的にまったくデメリットがないわけでもない。[要出典]

アイテムくじ

アイテム課金を採用しているゲームの中には、ゲーム内アイテムやアバターを商品とした景品くじ(通称:ガチャが販売されているものがあり、ガチャ課金と呼ばれる。

くじの価格は基本的にゲームで異なるが、100円から1000円(例:グラナド・エスパダ)まで幅広い。

このくじには、数多くの景品が用意されている。その中にはくじでしか入手ができない強力なレアアイテムや、他プレーヤーとの差別化を目的としたファッションアイテムが目玉景品として入る。目玉景品の当たる確率は運営会社のさじ加減次第といえ、レアアイテムは出現率が低く抑えられていることが多い。さらに、景品くじでしか購入できないアイテムを特定の組み合わせで揃えると別のレアアイテムを獲得できる「コンプリートガチャ」(通称:コンプガチャ)と呼ばれるシステムも登場している。

ガチャについては子どもが勝手に親のカードを利用する請求額など注目される問題もある[4]。ガチャ課金については法的には問題が無く自ら管理すべきなのが現状であるが、「コンプリートガチャ」については違法な「カード合わせ[5]」に該当する可能性がある。レアアイテムの確率が著しく低く設定されている女神転生IMAGINEでは10万円を投じても欲しいアイテムが出なかったプレイヤーが、運営会社を提訴するという事態も起きている[6][7]。さらには、「アイテムコンプリートのためにガチャをやり続けたら50万円を請求された」などの苦情が相次いだことにより、コンプリートガチャの廃止へとつながっていった。

リアルマネートレーディングにまつわる問題

有料アイテムをキャラクター同士で取引できる場合、間接的に現実世界の財産がゲーム内財産に換算可能であり、その逆もまた然りということになり、結局はリアルマネートレーディング(RMT)行為の原因になってしまう[8]。RMTにアイテムくじによるガチャ課金という射幸心を煽るシステムが加わると、ゲーム上でレアアイテムに対する希少価値が高くなり、ギャンブル的要素が増す問題が指摘されている[8]

その対策として、有料アイテムを使ったユーザー間取引を不可としているゲームや(トリックスターなど)、有料アイテムのトレードは認めず処分も基本的に破棄のみ(初期の『ヨーグルティング』、初期の『ai sp@ce』など)というゲームもある。[要出典]

脚注

  1. ^ 【韓国】オンラインゲームの部分有料・アイテム課金モデル、8年の歴史とこれから - japan.internet.com、2009年12月3日
  2. ^ 無料携帯ゲームの相談3倍増…小学生がトラブルに 読売新聞 2009年12月17日
  3. ^ ここでいう「ゲーム内の仮想通貨」とは、RPGテーブルゲームなど特定のゲームのみで使用でき、他のゲームでは使用できない通貨のことを指す。
  4. ^ 読売新聞社モニ太のデジタル辞典
  5. ^ 懸賞による景品類の提供に関する事項の制限(昭和52年3月 1日公正取引委員会告示第3号)では「二以上の種類の文字、絵、符号等を表示した符票のうち、異なる種類の符票の特定の組合せを提示させる方法を用いた懸賞による景品類の提供はしてはならない」としている。
  6. ^ 『女神転生』でユーザーがメーカーを訴訟! トレビアンニュース 2007年9月12日
  7. ^ 「くじ1000回「当たらん」と提訴」- 朝日新聞2007年6月10日号 東京14版 38面
  8. ^ a b 薄まるギャンブル性 競売サイト自粛なら硬貨 日本経済新聞 2012年5月18日

関連項目

外部リンク