BeSeTo演劇祭

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

BeSeTo演劇祭 (ベセトえんげきさい) は、日本中国韓国の3か国が共同で行う演劇祭。演劇祭の名前である「BeSeTo」は、北京 (Beijing)、ソウル特別市 (Seoul)、東京 (Tokyo) の頭文字をとって名づけられており、日中韓それぞれの国の実行委員会が演劇祭を主催する。相互の文化の違いを認識しながら共同作業を行うことによって、芸術を核とする相互理解を進めるとともに、世界文化への貢献を目指している。

概要[編集]

日中韓の演劇交流の強化と世界文化への発信を目指し、韓国の金義卿 (元I.T.I.韓国センター会長) が、中国の徐暁鐘 (元中国戯劇家協会副主席) と日本の鈴木忠志 (元 (財) 舞台芸術財団演劇人会議理事長) に呼びかけ、1994年7月1日に「21世紀を拓く"BeSeTo演劇祭"声明文」に協同署名したことで始まった。同年ソウルで第1回BeSeTo演劇祭を開催し、以後は日本、中国、韓国の順に3か国の持ち回りで毎年開催されている[1]。声明文では、それまでの3か国の関係を「文化的同質性にもかかわらず近くて遠いものだった」[2]と表現し、「21世紀を迎えるにあたって、私たちはもっと活発な文化交流を進める必要がある」と提言[2]、芸術を核とした国際文化交流としての演劇祭を重ねてきた。2013年の第20回BeSeTo演劇祭 (日本開催) では新たに『交流から共存へ』をテーマに定め、国際交流から一歩進んだ演劇祭として開催を続けている。上演される作品は、日本・韓国・中国を代表する演劇人による招聘作品と国際共同制作作品があり、シンポジウムなどもあわせて実施されている。

現在のBeSeTo演劇祭国際委員会[編集]

  • 中国
    • 季国平:演劇評論家/中国戯劇家協会 副主席
    • 王曉鷹:演出家/中国戯劇家協会 副主席/中国国家話劇院 副院長
    • 崔偉:演劇評論家/中国戯劇家協会 秘書長
    • 李華芸:中国戯劇家協会 国際部主任
  • 韓国
    • ヤン・ジョンウン:演出家/劇団旅行者代表/ソウル芸術大学教授
    • ユン・ハンソル:演出家/グリーンピグ代表/檀国大学教授
    • ソン・ギウン:劇作家・演出家/第12言語演劇スタジオ代表
    • イ・ヒジン:プロデューサー/プロデューサー・グループ DOT
  • 日本
    • 中島諒人:演出家/鳥の劇場芸術監督
    • 金森穣:演出振付家・舞踊家/りゅーとぴあ舞踊部門芸術監督/Noism芸術監督
    • 志賀亮史:演出家/百景社主宰
    • 重政良恵:劇団SCOT制作

開催歴[編集]

[3] [4]

第1回 (1994) - 第10回 (2003)[編集]

1994年はソウル (韓国) で開催。以降、韓国、日本、中国の順で持ち回り。

第11回 (2004) 日本[編集]

  • 会場…利賀、鳥取、静岡、東京
  • 参加作品
    • 「流行歌劇 カチカチ山」(鈴木忠志)
    • 「我愛桃花」(北京人民芸術劇院)
    • 「渡り鴉」(日中韓合同作品)
    • 「授業」(仲田恭子)
    • 「東方のハムレット」(劇団ノトル)
    • かもめ」(ジンジャントロプスボイセイ)
    • 「崔承喜 伝説の舞姫」(劇団美醜)
    • 「別冊 谷崎潤一郎」(SPAC)
    • 「目連救母」(福建省泉州市打城戯劇団)
    • 「インド伝統舞踊劇カタカリ『ドゥッシャーサナ殺し』」(サダナム・ハリクマルとカタカリ公演団)
    • 「メディア コンプレックス」(劇団可変)
    • 道成寺」(劇団山の手事情社)
  • 日本各地で活動する劇団による日本現代演劇の連続上演企画
  • シンポジウム等
    • 特別シンポジウム「グローバリゼーションと舞台芸術」
    • BeSeToシンポジウム「アジアの舞台芸術について-演劇を中心に」
    • ラウンドテーブル「舞台芸術の現在と今後の課題-世界とアジア」
    • 講演会「中国、韓国における演劇教育の現状と課題」
    • 展示「BeSeTo演劇祭の過去・現在・未来」

第12回 (2005) 中国[編集]

  • 会場…中国浙江省寧波市
  • 参加作品
  • シンポジウム等
    • フォーラム「中韓日若手演劇人の成長」

第13回 (2006) 韓国[編集]

  • 会場…議政府、ソウル
  • 参加作品
  • シンポジウム等
    • BeSeToシンポジウム「アジアの劇場文化における光、色、物について」
    • ワークショップ「中国伝統劇におけるキャラクターづくりと演技法」

第14回 (2007) 日本[編集]

  • 会場…利賀、東京、ほか
  • 参加作品
    • 「廃車長屋の異人さん―ゴーリキー作「どん底」より」(鈴木忠志)
    • 「剣を鍛える話―魯迅「故事新説」より」(鳥の劇場)
    • 「呉将軍の足の爪」(Power Doll Engine)
    • 「春柳社を探して」(任鳴、叢林) ※北京市朝陽区文化会館制作作品
    • 「女中たち」(劇団風磬)
    • 熊野」(石井幸一) ※利賀演出家コンクール最終審査上演作品
    • 雨月物語・蛇性の婬」(岡田圓) ※利賀演出家コンクール最終審査上演作品
  • 「劇的共振」と題して、日本各地で上演活動が行われる (東京、神奈川、茨城、静岡、京都)
  • シンポジウム等
    • トーク&パネルディスカッション「グローバリゼーションとナショナリズム―<多様な文化>の共存とその可能性をめぐって」
    • ラウンドテーブル「演出家の視座―アジアの舞台芸術の現在と今後の課題―」

第15回 (2008) 中国[編集]

  • 会場…中国江蘇省蘇州市張家港市
  • 参加作品
    • 「民族音楽劇 曲水流觴蘭亭会」(王佳納) ※広東省文学芸術界連合会 制作
    • ロミオとジュリエット」(劇団木花)
    • 「剣を鍛える話」(鳥の劇場)
    • 川劇 巴山秀才」(四川省川劇院)
    • 「玉飛鳳」(張家港市錫劇団)
    • 「心比天高」(杭州越劇院)
  • シンポジウム等
    • フォーラム「創意経済時代における演劇―舞台芸術の商業化再考」

第16回 (2009) 韓国[編集]

  • 会場…韓国
  • 参加作品
  • シンポジウム等
    • 「21世紀の東アジアにおける演劇の環境と教育―アーティストの訓練と一般への演劇教育」

第17回 (2010) 日本[編集]

  • 会場…東京、静岡、鳥取
  • 参加作品
    • 「羯諦羯諦―行く者よ、去り行く者よ」(鈴木忠志演出/高田みどりの打楽器と高野山南山進流聲明)
    • 「川劇 欲望の海〜オニール作「楡の木陰の欲望」より〜」(四川省成都市川劇院)
    • リア王」(劇団美醜)
    • シラノ・ド・ベルジュラック」(鈴木忠志演出/SCOT)
    • 「東京ノート」(青年団)
    • 白雪姫〜グリム童話『白雪姫』より〜」(鳥の劇場)
    • 「覇王歌行〜項羽、歌の翼にのる」(中国国家話劇院)
    • 「そんなに驚くな」(劇団コルモッキル)
    • 「Wannabe」(柿喰う客)
  • シンポジウム等
    • シンポジウム「国際共同の可能性と東アジアの未来」
  • ポストトーク/インタビュー

第18回 (2011) 中国[編集]

  • 会場…中国山東省済南市
  • 参加作品
    • 「隠婚男女」(山東省話劇院、斉魯晩報青年話劇団)
    • 「達人未愛狂想曲」(北京三拓旗劇団)
    • 「キルベス (Macbeth waved a Butcher's Knife)」(魔法陣演劇工作室)
    • 「授業」(百景社)
    • 夏の夜の夢」(劇団旅行者)
    • 「東京ノート」(青年団)
    • 「雷雨」(福建人民芸術劇院)
    • 「続琵琶」(北京曹雪芹学会、中国戯曲学院、北方崑曲劇院)
    • 羅生門」(中国国家芸術研究院)

第19回 (2012) 韓国[編集]

  • 会場…韓国
  • 参加作品
    • 「夢」(韓国国立劇団)
    • 「月の岬」(青年団)
    • かもめ」(第七劇場)
    • 「雷雨」(大連話劇院)

第20回 (2013) 日本[編集]

  • 会場…利賀、鳥取、東京
  • 参加作品
    • リア王」(SCOT)
    • 「隣にいても一人」(青年団)
    • 「旅......神話から"今"へ」(花傳[KADEN]シアター・カンパニー)
    • 女の平和」(百景社)
    • 京劇オイディプス王』」(浙江京劇団)
    • 「太宰治短編選―犬は猛獣である」(ヤンソン プロジェクト)
    • セールスマンの死」(鳥の劇場)
    • 「小町風伝」(演戯団コリペ)
    • アンドロイド版「三人姉妹」(青年団+大阪大学ロボット演劇プロジェクト)
    • 「多情という名の病」(第12言語演劇スタジオ)
  • フリンジ企画「BeSeTo+」として10作品を上演
  • シンポジウム等
    • シンポジウム「日中韓の演劇交流をめぐって」
    • テーブルトーク「日中間の演劇交流をめぐって」

第21回 (2014) 中国[編集]

  • 会場…中国
  • 参加作品

第22回 (2015) 韓国[編集]

  • 会場…韓国
  • 参加作品

第23回 (2016) 日本[編集]

  • 会場…利賀、鳥取、新潟
  • 参加作品
    • 「ディオニュソス」(鈴木忠志)
    • 蟹工船」(劇団ドン)
    • 孫悟空 白骨夫人編」(浙江紹劇芸術研究院)
    • 「麦克白!맥베스!!マクベス!!!」(志賀亮史 (百景社) +李卓群 (北京京劇院) +オ・セヒョク (劇団コルパン))
    • 劇的舞踊vol.3「ラ・バヤデール―幻の国」(Noism)
    • ジャングルブック」(劇団旅行者)
    • 「かごの鳥の青春―当青春不懐念胡蝶的傷」(陝西人民芸術劇院)
    • 「詩の教室」(鳥の劇場+劇団ティダ)
    • 「愛と精霊の家」(Noism0)
  • シンポジウム等
    • シンポジウム「海をつうじて行き交うもの 異なるものとの交流が未来をひらく」
    • シンポジウム「21世紀の国際交流と劇場文化」

第24回 (2017) 中国[編集]

  • 会場…中国浙江省杭州市
  • 参加作品

第25回 (2018) 韓国[編集]

  • 会場…韓国光州市
  • 参加作品
    • 徽劇「惊魂记」(安徽省徽京劇院)
    • 「語りの方式、踊りの方式」(グリーンピグ)
    • 「狐と鶴」(劇団ソウルケダム)
    • 「剣を鍛える話」(鳥の劇場)
    • 「呉将軍の足の爪」(Theatre apartment complex libido:)

[5]

第26回 (2019) 日本[編集]

  • 会場…鳥取
  • 参加作品
    • 「班女」「葵上」(鳥の劇場)
    • 「Mirroring Memories - それは尊き光のごとく」(Noism1)
    • 「授業」(百景社)
    • 舞踊劇「蝋細工の思い出」(北京演芸専修学院)
    • 「原野」(上海ドラマ芸術センター)
    • 「パンソリ[オセロ]」(アジア文化センター)
    • 「記憶の場所」(普遍的劇団)
    • 「手のない花嫁」(アートステージ・サン)
    • 「芥川龍之介をめぐる3つの小作品」(日中韓三ヶ国国際共同製作)
      • 『地獄変』(王剣男(中国国家話劇院))、『暗中問答』(キム・ジョン(Project While))、『眠らない方法』(松村翔子(モメラス))
    • 「演劇を通じた三ヶ国の学生の交流」
      • 『爪』(韓国芸術総合学校演劇院)、『雷雨』(中央戯劇学院)、『舞姫』(四国学院大学))

第27回 (2023) 中国[編集]

2020~2022は、新型コロナウイルス感染症により開催されなかった。

  • 会場…深圳
  • 参加作品
    • 「浮生六記」(上海大劇院)
    • 「Tree Won’t Seek for Shoe Store」(グリーンピグ)
    • 「父さんのすることはいつもよし」(クレドシアター)
    • 「アジアの物語」(IPKOASON)
    • 「小さなエイヨルフ」(鳥の劇場)
    • 「丁西林中華民国三喜劇」(北京人民芸術劇院)
    • 「マリア・カラス」(ルスタヴェリ国立劇場)
    • 「あの子」(中間劇場)
    • 「ユニコーン」(深圳パルテノンカルチャー)
    • 「盛宴」(福建人民芸術学院)
    • 「かくれんぼ」(暁角話劇研進社)
    • 「誤解」(百景社)

脚注[編集]

外部リンク[編集]