西南官話

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中華人民共和国の方言分布図(西南官話は青色の部分)

西南官話(せいなんかんわ、簡体字西南官话、英語:Southwestern Mandarin)は、中国語の北方方言(官話とも呼ばれる)の一種で、中国西南部の四川省重慶雲南省貴州省の大部分の地区、湖北省の西部、湖南省の西南部、広西壮族自治区陝西省南部、甘粛省南部、江西省の一部分、ミャンマーのコーカン特区で話されている。上江官話、上江方言とも呼ばれる。

西南官話は中国語の方言の中で話者人口が最も多く、使用地区の面積も最も広い方言である。統計によれば、西南官話の話者人口はおよそ2億人で、全国の人口の5分の1を占め、北方方言(官話)の話者人口の3分の1を占める。これは湘語粤語閩語の話者人口の総数に相当する。

歴史[編集]

明朝の滅んだ1644年張献忠が四川の中心成都で帝位につき、国号大西年号大順と定めた。これ以後、朝軍に攻撃を受けるまでの2年間、張献忠は四川を中心に中国の西南部を支配した。張献忠は嗜虐癖が異常に強く、惨殺を好んだ。中国の西南地区が地理的に華北東北から大きく隔たっているにもかかわらず、北方方言に属するのは、張献忠の虐殺と疫病と飢饉によって古代以来の四川人が全滅に近い状態となり、明末清初以後に四川に入植した人々によって現代の四川人が構成されるようになったためである。1671年から1776年までの間に湖北・湖南・広東省などからの移民600万人以上が、人口が数万人ほどにまで減少した四川省に移民している(湖広填四川)。

下位方言[編集]

下位方言として以下の12個が挙げられる。

特徴[編集]

  • 多数の地域は他の大部分の官話と同様に、陰平陽平上声去声の計四つの声調を持つ。古代入声は全て陽平に変化した。他のおよそ三分の一の地区では依然として入声が保存されている。
  • 基本的に他の官話方言と同様に、清音濁音の区別が存在しない。ただし湖南省の一部の地区の西南官話まだ区別する。
  • 他の官話方言と違って、 歯茎鼻音n軟口蓋鼻音ŋを区別しないが、両唇鼻音mは未だ完全に[n]に合流する。
  • 西南官話の軟口蓋鼻音ŋ末尾はピンイン「i」,「e」の後ろでは保たれず、 歯茎鼻音nと発音される。ピンイン「b」「p」「m」「f」の後の「eng」は「ong」と発音される。
  • 多くの地域では歯茎音s, ʦ, ʦʰそり舌音ʂ,ʐ,ʈʂ, ʈʂʰの区別が存在しない。ただしある限られた地域では北京官話のように歯茎音とそり舌音を厳密に区別する 。
  • 歯茎鼻音n歯茎音lを区別しない。
  • 唇歯音f軟口蓋音x(ピンイン「h」)を区別しない。

参考項目[編集]